Blackmagic Designの発表によると、カナダ・トロントに拠点を置くVFXスタジオIntelligent Creaturesが、テレビドラマ「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」のVFXにFusion Studioを使用しているという。このVFX作業には、同テレビドラマの新シーズンで使用される多くのエフェクトが含まれている。
BBCアメリカ制作の「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」は、過去の2シーズンで国際的な人気を博し、新シリーズは2015年の春に放送される予定。自分がクローンであることに気づいた主人公は、命をかけた国際的な陰謀に巻き込まれていく中で、彼女自身の他のクローンたちと出会い、協力していくことになる。このサイエンス・フィクションドラマには、膨大な量のVFXが含まれており、複数のクローンキャラクター、そして主人公とそのクローン達のやり取りを画面上で実現するために選ばれたのが、Intelligent Creaturesだ。
一般的に、テレビドラマの制作予算は映画の予算よりも低いが、今回Intelligent Creaturesに課せられた任務は、1940年代より映画で使用されている一般的な「双子エフェクト」を凌駕し、なおかつテレビドラマの制作予算内でエフェクトを作成することであったという。Intelligent Creaturesは、従来的なエフェクトを用いた幅広い経験と、革新的なVFXへのアプローチを組み合わせることで、クローン化した主人公や、新シリーズでの新しいクローンシーンを作成。Intelligent Creaturesがこれらのクローンエフェクトを作成するにあたり、メインで使用したVFXソフトウェアがFusion Studioだ。
Imtelligent CreaturesのVFX監督エリック・ドイロン氏は次のようにコメントしている。
ドイロン氏:オーファン・ブラック 暴走遺伝子」の3シーズンすべてを通じて、私たちが使用したソフトウェアはFusionだけです。FusionはIntelligent Creaturesのワークフローの礎と言えます。フッテージの取り込みから、合成、デイリーの作成、そしてクライアントのチェックと最終的なデリバリーなど、すべてのフレームはFusionを経由しています。
Fusionのカラー・ワークフローには特に感激しましたね。「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」では、オンセットモニタリング、編集、そしてビジュアルエフェクトおよび最終的なグレーディング作業まで、一貫したカラーでモニタリングが可能だったのです。
同テレビドラマでクローンが登場するシーンは、モーションコントロール・リグと様々な「双子カメラトリック」を使って撮影された。また、異なる合成ショットが使用されたことで、ダイナミックさを保ちつつ、複雑なビジュアルエフェクトが追加された。移動撮影によりリアルで説得力のあるシーンを作成し、さらに全工程においてFusionの機能を使用することでこれらの複雑なシーンを構築することが可能になったという。
ドイロン氏:私たちにとって、Fusionが必要不可欠である理由は、そのパワフルなツールセットを使えば、あらゆるショット特有の課題に取り組めるという点です。Fusionのロト、トラッキング、カラーノードなどの機能を使用すれば、複数のクローンキャラクターの合成作業をシームレスに実現できるのです。前シーズンにあった、クローン達のダンスパーティやシャワーのシーンは、Fusionで複数のクローンキャラクターを合成したパーフェクトな事例と言えるでしょう。