NAB前となると新製品が放送業界メーカーから噂されるが、ARRIからもALEXAラインに新しいモデルが登場する。ARRIは3月18日にALEXA SXTを発表した。名前にスーパー拡張テクノロジー(SXT)がついているとおり、ALEXAの継承をしつつ新しいプロセッサパワーの恩恵を享受したもの。

従来の3.4K ALEV IIIセンサーを搭載していながら、内部の新しい基板アーキテクチャによりUHD(3840×2160)をProResフォーマットおよび4K Cine(4096×2637)で記録できるようになった。従来のオープンゲート(Open Gate)による4:3と16:9のセンサーモードでARRIRAWもしくはProResコーデックで記録できる。

ARRI AMIRAカメラが持つカラーマネージメントエンジンを採用し、ALEXAセンサーによるフィルム制作環境の広色域をサポート。ALF-2(ARRIのルックファイル2)、ASC CDL(カラーディシジョンリスト)に加え3D LUTに対応。ALF-2はARRI MiniとAMIRAと同じものになるので、撮影シーンによってARRIマルチカメラを使ったとしても後での編集は楽だ。更にオプション機能として、オンセットのプレビューにRec2020ガンマ値を使うことでデイリーから最終のグレーディング作業がスムーズに行えるという。

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記録媒体にはCodexの最新ドライブを使用する。カメラ本体には新しいCodexのメディアベイが搭載されており、最新の2TB対応SXRドライブを挿入できるようになっている。メディアはそのほかにもXRキャプチャドライブやSxSとCFast2.0カードが使える。

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また本カメラはALEXA XTのリプレイス版とも言える位置づけになる。現在、本カメラシリーズの正式な出荷は年内半ばとしか示されておらず、ALEXA XTと同様にALEXA SXT EV、SXT PlusにSXT Studioモデルがラインアップされる。またモジュラー式のALEXA XT Mモデルを除くALEXA XTシリーズを所持しているユーザーには今後、ALEXA SXTの機能が持てるモジュールを有償で提供する予定。ただしALEXA SXTが今後加えていく新機能へ対応できるかは保証できないとしている。今回の発表で開示されている情報は限られており、実機が初お目見えするのはNAB2015の予定。

(山下香欧)