米国の大手通信キャリアVerizon Communications(ベライゾン)がAOLを44億ドル(約5,280億円)で買収することが12日(現地時間)に明らかになった。買収金額はAOLの1株当たり50ドルで、5月11日の終値に17.4%のプレミアムを上乗せする条件のもと、44億ドルとなった。買収は今夏に完了する見通し。AOLはHuffington Post、TechCrunch、Engadget、MARKERSとAOL.comを所有しており、ベライゾンの完全子会社となる。AOLのティム・アームストロングCEOは買収完了後もCEOを続ける模様。

ベライゾンは米国市場最大のワイヤレスキャリアであるだけでなく、インターネットとTVプロバイダーでもある。米通信業界で顧客の争奪戦が激化する中、ワイヤレス技術を通して顧客を拡大するためにも、インターネットとメディア事業を強化して差別化を図る戦略だ。同社は先月、モバイル向けのビデオサービスをこの夏には開始するために、エコシステムのパートナーを探していることを公言していた。

ベライゾンはAOLからOne by AOLプラットフォームなどの広告技術を取り入れられる。AOLの広告収入は本年度の第一四半期において7%以上の増加を発表している。またAOLは、オンライン市場では米国内第四位の位置にいるが、Huffington PostやTechCrunchといった人気コンテンツサイトを持ち、2億近い顧客アクセス数を毎月保持している。

対してベライゾンでは、1億800万のワイヤレスの顧客、570万のFiOSのビデオ加入者と670万のインターネット加入者を有し、150か国でサービスを展開している。

AOLは以前、America Onlineという名前だった。買収を続けて事業を拡大し、2001年にはTime Warnerと融合してAOL Time Warnerと化したが、8年後の2009年にスピンアウトして独自事業の道へと進んでいた。

(山下香欧)