© 2015 BBC
BBCは、ウェンブリー·スタジアムで開催されたFAカップの決勝戦にて、LTE eMBMSとも呼ばれる、いわゆる4Gモバイル回線を使ったマルチキャスト4G放送を行った。英国の若手テレコム業者EE、そしてクアルコム、Huawei、EVSと提携して今回の実験に臨んだ。BBCおよびBBC R&Dは2013年から4G放送をプロジェクトとして立ち上げ、前記の企業らと提携してトライアルを重ねてきている。eMBMSを受けられるiPlayerとの組み合わせで、リニア放送を現場に持ち出せるアプリケーションとして注目している。
BBCスポーツから2台のカメラソースと中継放送の1ソースを提供してもらい、3つのライブストリームを使って実施した。中継車内のEVSのサーバのFanCastソリューションやStageboxの技術を活用してソースをEEのネットワークに直接転送。BBC R&DにてソースをリアルタイムにMPEG-DASHにエンコードしEEのネットワークに転送した。4G中継にはeMBMS(evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)技術が組み込まれる。これにより、オンデマンドによってネットワークからユーザー端末にコンテンツをストリーミングする従来の1対1で通信するユニキャストとは違い、同じライブビデオコンテンツを同ロケーションにいる複数ユーザーで同時に視聴できる。
試験視聴者側の端末には、クアルコムのeMBMSおよびMPEG-DASH over HEVC対応のチップセットSnapdragon 615が搭載されたタブレットに、今回の実験用にカスタム化した4G Broadcast EE appとOpta社のデータステータスを組み込んだ。2カメのアングルとリプレイの3つのストリームを切り替えて視聴でき、ユーザーに質問事項を提示できるようになっている。
© 2015 BBC
EEも意欲的にLTE eMBMS放送実現を支援しており、来年2016中に商用として開始できるようデバイスメーカーやコンテンツ事業者、放送事業者らとともに進めているという。
(山下香欧)