株式会社イメージディバイスは、4Kシステムに対応した新大型中継車の導入に伴い、去る2015年9月14日に千葉県・浦安市にある同社にて、新大型中継車のお披露目会を開催した。
イメージディバイスは、音楽のプロモーションビデオやコンサート収録などの撮影および制作を行っている。同大型中継車は、従来のHD中継車と同様にマルチフォーマットに対応しており、4Kシステムでの運用も可能。CCUは最大20台収容可能で、ルーターの信号取り込み数はHD80CAMまで対応している。SWerは2M/E、4MELite。オペレーション卓は32ボタンで3列の大型パネルを採用。制作室だけではなく、VE室が拡幅できるため、最大で10人のオペレーションが可能だ。
大型中継車のオペレーション卓
同大型中継車の制作室には4K対応のテレビを6台搭載しており、映し出す素材のレイアウトは、PCで自由にアレンジ可能となっている。車内にはスイッチャー「HVS-2000」や、ルーター「MFR-8000/5000」、フレームシンクロナイザ「FA-505/1010」、マルチビューワ「MV-4200」などの朋栄製品が多数搭載されている。
大型中継車内の前方にある制作室
車内には朋栄社製品をはじめ、さまざまな機器が搭載されている
大型中継車の全長は10.68m、全幅2.495m(拡幅時:3.495m)、全高3.6m、総重量18.570t※画像は拡幅時
同大型中継車の導入について株式会社イメージディバイス 撮影技術の橋本英司氏は次のようにコメントしている。
橋本氏:新型の中継車導入を検討しようと思った時に、「4Kの対応」と「複数台のカメラ撮影に対応できる車」という2つのコンセプトがありました。現状コンサートのHD収録の中では最大で60台ぐらいのカメラを使用する場合があるので、それを1台の中継車でモニタリングできるシステム、最低でも20台はオペレートできるシステムに設計しています。
また、朋栄の機材はスイッチャーなどを以前より使用していたので信頼性もあり、まだ決まり切っていない4Kのシステムの中で現状できることを朋栄の方々に相談しました。その際に新型のスイッチャーを提案していただき、システムルーターは大型のシステムでもインプット/アウトプットの数が足りるので、朋栄の機材を導入しました。
株式会社イメージディバイス 撮影技術 橋本英司氏
また、同大型中継車の設計は全て自社内で行っている。
橋本氏:中継車の設計を自社で行わなければ、結局システムがどうなっているかがわからないため、トラブルが起きた時に対処できないので、自分たちで理解して使いこなせるようにするため、自社で車内の設計を行いました。また、以前より導入しているHDの中継車も自社で設計しています。
制作室に2M/Eビデオスイッチャ「HVS-2000」を設置。橋本氏は「2M/Eスイッチャですが、MELiteを併用することで4Kに対応するので導入しました」とコメントしていた
制作室にはHVS-2000のサブパネルとして2M/Eのコントロールパネルが使用されており、メインのコントロールパネルとは別運用が可能だ
マルチビューワ「MV-4200」は4K映像を2系統出力でき、解像度の不足を解消できたという
同大型中継車は2015年8月16日に稼働を開始し、現在までに日本武道館や日産スタジアムなど、3件のコンサート撮影で使用している。現在、4Kでの運用予定はないとのこと。