カリーナシステム株式会社とカペラシステムズは共同ブースにて、放送事業者が目指すインターネット配信サービスを支援する、様々なシステムと各種ツールを紹介している(ホール3/No.3304,3307)。カペラシステムズでは、ライブエンコードおよびファイル変換のソフトウェアを開発している。それら符号化と圧縮技術を組み込み、関連インターフェースを開発して日本の放送事業者向けにシステム販売を展開しているのが、カリーナシステムだ。

ライブエンコードソフトウェア「Cambria Live」をベースに、マルチカメラによるライブプロダクションを強化したオールインワン型システムや、番組自動配信とUDP IPに対応した「Cambria Live Broadcast」や、ファイルコンバートソフトウェア「Cambria FTC」が揃う。そして今回は、ライブ配信に加えて回線やVTRから素材をサーバに取り込みながらカット編集ができる時差編集ソフトウェア「Clip Cutter」と、ファイル変換システム Cambria FTCの組み合わせによる、放送局やケーブル事業者向けの一連したライブto VOD配信ワークフローを紹介している。

ブースでは、中継によるハイライト編集のように、収録しながらClip Cutterでカット編集を行ってクリップを作成することで即座のダイジェスト映像・配信が行えるシステムを、デモを交えて紹介。そのままカットポイントのタイムコード情報をCambria FTCが読み込み、任意のフォーマットに変換してVODサーバへ転送するといった作業フローが可能になり、放送側のニュース番組のダイジェスト版VODや、リニア放送番組の見逃し視聴配信といった運用で有効性を発揮する。

151119_cutter2

従来だと最初のフレームがVODのサムネイルになるが、Clip Cutterでは任意のフレーム位置をサムネイルにすることができる

151119_cutter

Brightcoveのクラウドベースの動画配信プラットフォームに直接ストリームを転送することができるのは大きな特長

「Sylphid Scheduler(シルフィールド・スケジューラー)」は、Webブラウザ上で、ネットワークエンコーダの録画コントロールやシステム監視が行える管理システム。たとえば回線側からの信号を、ネットワークエンコーダ「MEDIASYNERGY NEX」とSylphid Schedulerを使って自動収録を行いながら、Clip Cutterで編集していくことができる。MEDIASYNERGY NEXでは、突発的な割り込み収録が発生した際に、全面のタッチパネルからマニュアルで録画操作が行えるようにもなっている。

カペラシステムズでは、4K60p対応ユニバーサルトランスコーディングソフトウェア Cambria FTCの最新版で処理をした映像クオリティをディスプレイにて再現。正式リリース版は4K60p対応としているが、実際は8K120pの処理も可能な範囲としている。

151119_cambriaFCT

納品規定パラメータ値などに合わせて細かいパラメータを事前に設定してファイル変換を行うことができる

151119_Live+Manager

「CambriaLive Broadcast Manager」という、複数のLiveを管理、モニタリングするソフトウェアベースの管理システムも登場した。

151119_manager

ネットワーク上のCambria Liveをすべて管理できる

151119_channel_monitering

マルチチャンネルを1つのディスプレイ上で一括モニタリングすることができる。ディスプレイするチャンネル数は自由に可変できる

また技術参考展示として、現在開発中の顔認識や文字認識より独自メタデータを映像処理時に付加できるといった解析ソフトウェアのデモンストレーションを行っている。将来的にダイナミックリターゲティングといった広告挿入にも応用できるとみられるが、どのような運用シーンで活躍できるかは現在、調査中だという。

151119_score

両チームのスコアを認識してメタデータされており、任意のリストを選ぶと対象のシーンが表示される

(山下香欧)