今年のInterBEEでみられた次世代放送環境に向けて期待度No1製品として、さくら映機の4K/8K60p対応ノンリニア編集機PRUNUSを紹介したい。ティザーなど前段情報がなかったこともあり、実機のデモを体験したときは製品化前でありながら、その完成度に驚愕してしまった。両モデルともHD同様の操作感を持ち、従来のワークフローのままマイグレートできる。放送番組を編集する必要機能が揃っており、内部処理および編集時でも異なる解像度/フォーマット形式の混在を可能とし、色域についてもBT.2020そして、S-Logなど多様なカメラLogにも対応するとしている。
両システムとも8K/4Kディスプレイをプレビューモニターとし、さらに複数台を接続することができる。8K PRUNUSでは、3G-SDI経由でDual Green方式の8K60pを出力、セカンドプレビューモニターとして4Kディスプレイへダウンコンバートして表示させられる。4K PRUNUSは3G-SDI経由で4K60pを出力する。
8K PRUNUSでのタイトル処理。HD PRUNUS同様の機能を持つ。8Kプレビューモニターでリアルタイムに確認できる
さくら映機社ブースの説明員によれば、8K対応モデルから開発を始めたという。8K60p素材データの高速転送や処理を担うハードウェアとソフトウェア開発ができれば4K版への移植は難しくないだろうという考えのもと、従来のPRUNUSからNHK仕向けに開発をしてきたこともあり、8K映像データを負担なく扱えるノンリニア編集機の開発が優先したようだ。8Kと4Kモデルでの編集機能での違いは、GPU処理での3Dエフェクトのみ。現在、4Kモデルで3Dエフェクト機能が搭載されているが、8Kモデルでの対応も遠くない時期に実現できるようだ。
また映像データのやりとりについて、8KモデルではパナソニックExpress P2ドライブから直接編集と書き出しが行え、4KモデルではソニーXQDメモリーカードからの直接編集と書き出しが行える。書き出しではダウンコンバートして実行も可能。両PRUNUSシステムは、来年早い時期に正式リリースができるよう、準備が進められている。
8K PRUNUSでの書き出し速度について。編集した差分を処理して書き出す。タイトル込み3ビデオレイヤーの40秒尺分の書き出しは、37秒で実行できた4K PRUNUS。従来のPRUNUSと同じく、USBで接続した武蔵社製リモートコントローラーMKB-88でリニア編集機ライクに制御できる(8K PRUNUSでも同様)
4K PRUNUSでの3Dエフェクト編集。 タイトル付の3レイヤーでも全く負荷なしでリアルタイムプレビューする
8K PRUNUSのハードウェアはラック式。 Dell 7910を3筐体とストレージ筐体で10RU。 13RUサイズに収納できる省スペースなシステムを実現している
(山下香欧)