EIZOは、米BOXX Technologies社の国内正規代理店であるトーワ電機株式会社と共同で「映像制作に最高のクオリティとパフォーマンスを EIZO×BOXX最強コンビネーション」というテーマで出展。
EIZOは4K表示に対応した広色域モデル「ColorEdge CG318-4K/CG248-4K」と「ColorEdge CG277」、参考出展としてHDR対応モニターを出展したほか、ネットワーク経由で複数のモニターを管理することができる「ColorNavigator Network」といったソリューションなどのデモも行われた。
参考出展のHDRモニター。放送業界向けにHybrid Log-γ形式のHDR映像をリアルに再現できる開発中のモニターを展示していた(発売時期、価格未定)。意外と奥行があったが、現状はバックライトの冷却のために必要だという。画面の均一性などは画面の複数箇所で細かに制御しており、画面全域にわたって均一な表現が可能となる。発売が楽しみだ
BOXX Technologiesは、NVIDIA Quadro M6000や、CPUに36コア/72スレッド動作のIntel XeonプロセッサーE5-2600 v3を搭載した映像制作業界向けに特化した高性能ワークステーション「APEXX5」や、NVIDIA Quadro M5000を搭載した「APEXX4」シリーズをEIZOのモニターとともに展示。映像制作やCGなどでは高速なCPUとGPUを搭載したマシーンが必須とされており、業界で定評のあるBOXXとの共同出展になったようだ。
ブース正面には「マルチディバイスのグレーディング色基準に」というタイトルの下に民生用の4K液晶TV、ColorEdge CG318-4K、ソニーの有機ELマスターモニター、NVIDIA Quadro M6000を搭載したBOXX TechnologiesのワークステーションAPEXX5があり、「映像制作に最高のクオリティとパフォーマンスをEIZO×BOXX最強コンビネーション」というテーマを象徴していた
「ColorNavigator 6」のエミュレーション機能は、テレビやモニターなどの表示をエミュレーション表示することができる。同コーナーにはソニーの業務用有機ELマスターモニターと民生用の4K液晶TVがあり、こうした最終色基準となるデバイスがある制作フローにおいて、その表示をColorEdgeで疑似再現できることの利点をデモしていた
ColorEdge CG318-4Kは、31.1型のIPSパネルを採用しており、DCI 4K(4096×2160)の解像度を持っている。入力は、DCI 4K60pの表示が可能なDisplayPort 1.2×2系統と4K30pまで対応したHDMI×2系統を搭載しており、デジタルシネマに用いられる規格であるDCI-P3をほぼ忠実に再現できるほか、Adobe RGBも99%をカバーしている。放送規格であるRec.709、EBU、SMPTE-Cは100%カバーしているという。特に人の目が敏感に捉えやすいグリーン方向の色領域が広く再現できるようになっていることから、人肌や青空、新緑などの繊細で鮮やかな表現が可能なようだ。
放送系でも4Kによる制作が一般的に行われるようになり、作業を行うPCモニターの表示も今まで以上に注目されるようになってきた。一昔前までは色編集などで使うソフトを搭載しているベクトルモニターなどで管理することが多く、表示色の確認は最終的にマスターモニターで確認するフローだった。PCモニターは単に作業用として使っていて、色などは全く信用していないというわけだ。
ColorEdge CG318-4K/CG248-4Kは、Rec.709、EBUといった色域対応だけでなく、3D-LUTを活用した正確な色表示や画面全体における輝度や色度のムラを極力無くした設計となっており、今までのPCモニターとマスターモニターという作業スタイルから1台のモニターによるシンプルな作業スタイルを実現できる。
モニターの調節というとカラーバーを表示して見た目で調節するのが一般的で、プロープや専用測定器を使った調節を行っているのは、高価なマスターモニターだけという方も少なくないかもしれない。ColorEdge CG318-4K/CG248-4Kはキャリブレーションセンサーを内蔵しており、無償の専用カラーマネージメントソフトウェアColorNavigator 6/NXを使い簡単に高精度なキャリブレーション行うことができるようになっている。
実際に会場ブースで実演していたが、ソフトを起動すると内蔵されているプロープが自動的に画面に出てカラーパッチを読み取って調節するため、使用者は何も行う必要がない。また、こうしたキャリブレーションは定期的に行う必要があるが、これもあらかじめ決めたスケジュールで自動で行うことができるという。
「ColorEdge CG248-4K」に内蔵されたキャリブレーションセンサー。キャリブレーションを実行すると自動的にカラーパッチが画面に表示される
キャリブレーションの経過は画面に表示されるようになっている
さらに、モニター管理ソリューション「ColorNavigator Network」を使うことで、複数のモニターを遠隔で一括管理でき、定期的なキャリブレーション実行やその結果などを表示してくれる。
モニター管理ソリューション「ColorNavigator Network」により、複数のモニターを一元管理できる
キャリブレーションを行った日時や経過時間などのログを表示
個々のモニターのシリアルNo.や使用時間、管理場所などの詳細情報を遠隔で一覧表示
個々のモニターのキャリブレーション対象となるカラーモードの詳細設定が可能
UHD放送を意識したRec.2020での運用
UHD放送への過渡期にあたる現状では、UHD放送を意識して撮影データを広色域のRec.2020で運用するケースも増えている。このときRec.2020データが、現行放送の色基準Rec.709で放送される場合に、どのように見えるか確認する必要がある。ColorEdge CG318-4K/CG248-4Kには、Rec.709の範囲を超えた部分をグレイアウトしたり、クリップしたりして表示する機能があり、色域外の色の有無や、色変換された場合に違和感がないかどうかを確認することが可能だ。あらかじめこの機能を使ってプレビューすることで、どこをどの程度補正する必要があるかあたりを付けることができるだろう。
Rec.709色域外警告機能が搭載された「ColorEdge CG318-4K」
画面右側がRec.709色域外警告を表示をしたところ。この映像ではグローブの赤色の一部分がグレーで表示されているが、ここがRec.709色域を超えた部分
色域の違いのみならず、最近のカメラはLog記録が可能なものが当たり前となってきているので、カラーグレーグレーディング作業におけるモニタリング環境がますます重要になってくるであろう