多様なカメラに対応するSHOGUN
ATOMOSは、例年通り各カメラメーカー新商品とATOMOSレコーダーの組み合わせをずらりと並べ、同社の商品名にちなんだ忍者によるステージショーや映像クリエーターによる4Kセミナーを開催するなど連日多くの来場者で賑わっていた。
同社は各カメラメーカーの新製品への対応が非常に迅速なことで定評があり、ブース内にはこの秋話題のカメラが並び、新製品のカメラを見るには、個々のカメラメーカーのブースを回るよりも、ATOMOSブースに寄ればまとめて見られるというメリットもあり、InterBEEでも人気の高いブースの一つとなっている。
ATOMOS社長 戒能氏が語るATOMOS最新情報
今回ATOMOSでは「SHOGUN STUDIO」や、9月のIBCで発表された「NINJA ASSASSIN」といった新製品のほかSHOGUNのアップデートもあり、ATOMOS株式会社 社長の戒能正純氏にその辺りのお話を伺った。
ATOMOS株式会社 社長 戒能正純氏
(※個人の役職名は取材当時の名称。2017年8月末、戒能氏はATOMOS株式会社 代表取締役社長を退任)
戒能氏:InterBEEの新製品としてはNINJA ASSASSINとSHOGUN STUDIOの2つがあります。NINJA ASSASSINはSHOGUNに装備されていたSDIを省いた機種で、その分お求めやすい価格になっています。また、赤いプロテクションカバーが付いており、カラーリングを見てひと目でSHOGUNとは違うのがお分かりいただけると思います。
一方SHOGUN STUDIOはSHOGUNを2台ワンパッケージにしてラックマウント仕様にしたものですが、単純に2つを一体化しただけでなく若干異なるところもあります。レコーダーが2台ありますので、記録メディアを跨いだリレー記録ができるほか、異なるコーデックで2台同時記録もできます。RS-422リモートが可能なので、従来の収録デッキ的な使い方ができるほか、AMP(アドバンスメディアプロトコル)に対応したイーサネット制御もできるようになっています。
新製品のSHOGUN STUDIOは2連装のラックマウントタイプだ。収録デッキ的な使い方が可能
SHOGUN STUDIOはSHOGUNを2つドッキングしただけではなく、電源の二重化や同期記録など、新たな機能が搭載されている
戒能氏:加えて、ゲンロックはINだけでなくOUTがあります。これにより、2台を同期させるだけでなく、外部の機器と同期するためのデイジーチェーン接続が可能です。また、電源が二重化されていて、一方の電源からの供給が途絶えても、継続運用できるようになっています。この様にSHOGUN STUDIOはラックマウントタイプなので、スタンドアローンで使うSHOGUNとは少し異なった設計になっています。
既に発売されているSHOGUNにも新しいニュースがあります。9月にEOS C300 Mark IIやEOS C500に搭載されているCanon RAW出力をSHOGUNに入力し、ProResまたはDNxで記録できるようになりました。
また、今回ブースに参考展示していますが、池上通信機のカメラ「HC-HD300」のVFでSHOGUNのステータスを確認する機能を実装しました。カメラのSDI出力をSHOGUNに入力し、SHOGUNのスルー出力をカメラにリターンとして入力することで、カメラのVFでSHOGUNのバッテリー残量やメディアの残量のステータスが確認可能です。まだ、開発途中のファームウエアですが、SHOGUNのRecタリーの表示も実現して正式リリース予定です。
発売になったばかりのパナソニックの4KカメラAG-DVX200。10ビットモードではRecボタンで本体記録。ユーザーアサインボタンでSHOGUNのRecトリガーの設定が可能
戒能氏:話題のパナソニック「AG-DVX200」はATOMOSブース内で2台展示しています。 1つは8ビットモードでRecボタンによる、SDカードとNINJA ASSASSINの同時記録仕様とし、もう1台は10ビットモードに設定しました。こちらではRecボタンによるRecトリガーが効かないのですが、ユーザーアサインボタンに「AUTO REC」を設定することでNINJA ASSASSINへの録画連動が可能になります。
最後に、既に発売しているPOWER STATIONですが、各カメラメーカーに対応した電源ケーブルが付属していることから、一眼カメラのACアダプターとして使えるということもあり、ご好評を頂いています。SHOGUNと組み合わせて使う際に、新しい話があります。SHOGUNのDCコネクターへPOWER STATIONから電源供給する仕様になっていますが、現在のSHOGUNでは、DCコネクターへの電源が優先され、電源供給が切れたらSHOGUNに搭載されたバッテリーに切り替わる仕様になっており、POWER STATION→SHOGUN本体バッテリーの順で駆動しますが、次期SHOGUNのファームウエアでは、これを逆にするバッテリー駆動優先モードが追加されます。バッテリー駆動優先モードにするとSHOGUN本体バッテリー→POWER STATIONの順で電源を使い、SHOGUN本体のバッテリーを交換したらまた、SHOGUN側のバッテリー駆動に戻りますので、カメラへの電源供給含めたシステム全体として、長時間にわたって運用が可能になります。
SHOGUNの今後の展開ですが、やはり4K60p記録のご要望が多く寄せられています。ただ、記録メディアのスピードの問題やSHOGUN自身のハードウェアの限界もあり、ファームウェアのアップデートでは対応できそうにありません。4K60p化は将来の新製品に期待していただければと思います。
赤いバンパーが特徴的なNINJA ASSASSIN。HDMIに特化することで手頃な価格になった。基本的にはSHOGUNと同じだが、SDI端子の有無、同梱アクセサリーやRAW対応などが異なる
発売後も数々のファームアップにより進化するSHOGUN。SHOGUNでCanon RAWをProRes/DNx収録することが可能
池上通信機のカメラと組み合わせ。SHOGUN本体のステイタスをカメラ側のVFで表示可能に