毎年大きなイベントスペースを設け多くの来場者を惹きつけているアドビは、今年もIntelと共同でブースを構えていた。今年は、Ultra MAGIC・Ultra COLOR・Ultra HDの3つのキーワードをテーマとしており、「Adobe Creative Cloud」や「Adobe After Effects CC」の次期アップデートのほか、「Adobe Media Encoder CC」や「Adobe Audition CC」の次期アップデートの先行デモも行われた。11月30日に提供が開始された、これらのアップデートのうちいくつかについて、アドビシステムズの古田正剛氏にお伺いした。

CCシリーズの次期アップデートについて訊く

古田氏:Adobe Premiere Pro CCの11月アップデートでは、DNxHR、Open EXR、HEVC(H.265)、HDRに対応するDolby Visionコーデックが新たにネイティブ対応となりました。さらに、LumetriカラーでのHDR編集やLumetriスコープでのHDR対応、オプティカルフローによる高品質スロー映像などが主な新機能として挙げられます。

ハイダイナミックレンジ対応という点では、今回のアップデートは第一段階として位置づけられ、LumetriカラーエフェクトでのHDR映像処理が可能となっています。

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これにより、最大1万のレベルまで扱えるようになります。また、LumetriスコープでもHDRモードが利用できるようになっています。

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Open EXR形式への出力では、RGB 4:4:4 12-bit PQにも対応しており、この場合はRec.709 sRGBだけでなく、DCI P3やRec.2020にも対応します。

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書き出しの項目には4K放送でも使われるHEVC(H.265)が追加されました。

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また、HEVC(H.265)の書き出しプリセットには、8K UHDも用意されています。

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フレームレートも最大300まで対応しています。これは4K/8Kでは120という話の他にH.265の中に4Kで最大300というのも出てきましたので、いち早く対応できる部分は対応しています。

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クリップの再生速度変更時の補完方法として、新たに「オプティカルフロー」が追加されました。映像の動きを解析し、よりスムーズなスロー映像が生成されます。

Adobe Audition CCでは、リミックスという、楽曲を分析して指定した長さへ再構成する機能が次期アップデートとして追加されています。

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リミックスは曲の長さを自由に変えることができる機能です。映像の長さを変えた場合など曲の尺を調整する場合にも役立ちます。イントロ部分や間奏などを解析して自然な形で尺を変えることができる機能です。もちろん長くも短くも設定できます。細かな調節もできるようになっています。

また、Adobe After Effects CCの次期アップデートは、Lumetriカラーエフェクトの搭載やICCカラープロファイルの更新で、HDR profiles(SMPTE 2084 PQ EOTF<Dolby Vision>準拠)、ARRI Log/Look wide color gamutプロファイル、HDTV/UHDTVディスプレイプロファイル、SDTVディスプレイプロファイル、DCDM/DCI P3プロファイル(より多くのホワイトポイント、従来の不正確なプロファイルを更新)、ACES/ACEScg作業用スペースプロファイルの対応などが披露された。

古田氏:今回のアップデートで、Premiere Proで提供されていたLumetriカラーエフェクトがAfter Effectsにも搭載され、編集とエフェクトの間で一貫して扱えるようになりました。

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作業用のカラースペースとしてARRIやDCI P3、Rec.2020といったプリセットが増えています。ツールで何ができるかではなくて何をしたいからツール選択する時代になってきたと思います。映像制作はCreative Cloudだけで全て賄うという方法もありますが、他メーカーも含めて様々なツールを使いこなすうえでのプラットホームとして弊社の製品を活用していただければ嬉しいですね。

なお、Adobe Media Encoder CCでは出力時の映像レベルを放送基準内に抑える機能や出力時のオーディオラウドネスを基準内に抑える機能、Facebookへの直接出力機能、DNxHR、 HEVC(H.265)Level 6.2まで対応(4K解像度なら最大300fps、8K解像度なら最大120fpsのハイフレームレート)といった出力対応フォーマット強化が図られている。