Blackmagic Designの発表によると、人気ロックバンド「MAN WITH A MISSION」のヒットシングル「Dive」のミュージックビデオのグレーディングにDaVinci Resolve Studioを使用したという。グレーディングはレスパスビジョン株式会社のカラリスト、田中基氏が担当した。

MAN WITH A MISSIONは、2012年のメジャーデビューから、トップ10入りのシングルを4枚、トップ4入りのアルバムを4枚持つ人気バンド。今回の「Dive」は、映画「新宿スワン」のテーマソングでもあり、同作品の主演俳優である綾野剛がミュージックビデオに出演していることでも話題となった。MAN WITH A MISSIONのメンバーが演奏する場面と俳優の出演シーンで構成されたこの作品は、コンクリートの無機質な場所で、全体的に暗めながらも強めの照明を複数の方向から焚いている。ダークな雰囲気を作りつつ、カメラの動きときつめの照明の動きがスピード感を出し、同曲のクールさを存分に引き出している。グレーディングを行った田中氏は次のようにコメントしている。

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田中氏:グレーディングの際はある程度こちらからルックを何パターンか提示して、その中からベストなルックを監督やDPに選んでもらうスタイルで作業を進めました。この作品は全体を通して照明がキレイに入っているので、その光を効果的に見せるためにハイライトと暗部に色を入れたり、ハイライト部分にツヤを足したりしました。

人物のショットでは、クオリファイアーのルミナンスを使用してハイライト部分のメリハリを出しています。ルミナンスのみを使うことで、照明があたっていればキーを取れます。そのルミナンスの範囲を広げたり狭めたりすることによって、顔の陰影を作りました。

また、DaVinci Resolveで気に入っている機能のひとつとして、田中氏はソースタイムコードでタイムラインのショットを並び替えるモードを挙げている。

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レスパスビジョン株式会社 カラリスト 田中基氏

田中氏:編集したタイムラインをソースタイムコードで並び替えることによって、今回の作品で言えば、バンドが演奏しているショット、人物のショットといったそれぞれのショットがブロックごとに並ぶため、グレーディングが効率的に進められるんです。どんなカメラの素材がきても、DaVinci Resolveなら読み込んでくれる。そして、どんな重い素材を扱っていても難なく動作する部分は使いやすいですね。私は古くからDaVinci Resolveのコントロールパネルを使っていますが、Control Surfaceも旧型の使いやすい部分を受け継ぎつつ、さらに進化している点もいいですね。

カラーグレーディングは1枚の静止画に対しては求められているものが作りやすいんです。ただ、別のアングルや他のショットとの繋がりを、限られた時間内でどううまく表現するか、というのがカラリストに求められていることのひとつだと思っています。様々なカメラの素材が混ざっていると、繋がりには更に気を使います。Control Surfaceを使ってのグレーディングは、作業効率を上げて色作りの部分に多く時間を割けるので、限られた時間で作品のクオリティを高めたいクライアントの方のニーズに応えることができます。