パナソニック株式会社は、IPネットワークを利用した高画質映像の伝送の技術であるVideo over IP(以下:VoIP)が注目されていることを受け、放送と通信の融合による新たな価値を創造するため、業界規格団体への参画や自社商品の開発、実証実験を行ってきた。その提案をより具体的に示すため、新開発Video over IP Gatewayを用いてキヤノン株式会社を始めとした放送映像機器会社との連携展示をNAB2016会場内にて行っている。
VoIPでの現実的な4K伝送実現のため、intoPIX社が開発したTICO(ティーコ)コーデックを採用。TICOは、ビジュアル・ロスレスが可能な軽圧縮技術で、繰り返し圧縮での安定性も高く、最小遅延が1ラインの固定遅延なためIP伝送に適している。またパナソニックは、4K/60pのベースバンド信号をIPパケットに変換し、TICO圧縮を採用することで最大3chの4K/60pを10GbEケーブル1本での伝送を可能にしたVoIP対応ゲートウェイを開発。SMPTE 2022、SMPTE 2059、SMPTE RDD 35に準拠し、1Uサイズで2系統の4K/60p信号又は8系統のHD信号や、ネットワーク経由での時刻同期を可能にし、将来的にはこのゲートウェイ機能を製品単体に搭載して、映像制作機器がVoIPで繋がる世界を築いていきたいと考えている。
この活動へ新たにキヤノンが賛同し、パナソニックと4K/60p伝送を視野に入れたVoIP実証実験を進めている。NAB2016会場内の各ブースにおいて相互連携したシステム展示を行っている。パナソニックブースとキヤノンブース間を10Gbitイーサーケーブルで結び、パナソニック開発のVideo over IP Gatewayを用い、両ブースに設置された4Kカメラ及びパナソニックブースに設置の4K映像サーバからの映像をスイッチングソフトウェアで自由な選択・表示が可能だ。