NABにて、“クロマキーグリーンの終息”的なプレミア発表を飾った755 RAWメガピクセル、コマ300フレーム、16ストップを持つ新Lytroシネマカメラシステムは、フル映画や番組を撮るカメラシステムではない。システムレンタル費が$125,000(約1千5百万円)からで、ライトフィールドの知識を持つ技師とエディターも必要な上、システムを借りる期間と費やすデータ容量によって大きく費用が左右される。

ここで、スイッチャーメーカーで知られる、加Ross Videoがテレビ番組や生放送向けに提案してきた、4:2:2と0:4:4フル帯域幅を同時に出力できるACIDカメラシステムを紹介する。ACIDカメラは撮りながら、4:2:2出力とUltrachromeHRと呼ばれる、フル帯域のカラー情報を持つ、特許申請中の独自0:4:4コーディングフォーマットを出力。これらをCarbonite UltrachromeHRクロマキープロセッサで合成処理して、クロマキーエッジを持つフルカラー4:4:4信号を出力する。

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Carbonite UltrachromeHR、マルチチャンネル・クロマキープロセッサー

従来、帯域制限があるクロマでは、オリジナルのコンテンツから高解像度のキー信号を作成するのに十分な情報が含まれていないため、クロマキーでエッジに「ちらつき」が出てしまう。ACIDカメラでは、フル帯域でのカラー信号情報を出力するため、従来以上の品質のクロマキー生成ができるとしている。

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ACIDカメラには2モデルがそろっており、日本事情ではハイスペックを持つACID H200を選択するだろう。 ACID H200は最新の2/3” UAIT CMOSセンサーを採用した3板方式(2.6MP ×3)で、FHD 1080p対応。レンズは標準の2/3” B4マウントを使う。リアルタイムのレンズ色収差補正や、12色のベクトルカラーコレクション機能、超低騒音などが特長。

ACIDカメラはRoss Videoの持つ、設備制御と監視用のオープンソース“DashBoard”コントローラーから制御できるようになっている。ちなみに今年度のNABにおいて、本カメラは業界で最も権威ある賞のひとつとされるDigital Video magazine提供 NewBay MediaのBest of Show Awardを受賞している。

(山下香欧)