Blackmagic Designの発表によると、ウィーンに拠点を置くAustrian Film ArchiveがBlackmagic Cintel Film Scannerを導入し、4Kマスターおよびデジタルシネマ・パッケージを作成できるよう設備を拡張したという。

フィルムコレクションおよびフィルムドキュメンタリーのキュレートを請け負うAustrian Film Archiveは、オーストリア国内で最大規模のオーディオビジュアル文化財コレクションを保有している。同機関の主な目的は、その包括的なコレクションを様々なプレゼンテーション方法を用いて一般公開することで、このコレクションには、過去120年間に渡って作成された20万以上のフィルム、そして4万8千以上のフィルムプログラムが含まれている。

高解像度マスターに対する要望が増加の一途をたどっている現状を受け、Austrian Film Archiveの技術部門を束ねる常石史子氏は、Vision2Seeに接触を図り、Austrian Film Archiveの既存のWindowsベースの環境にBlackmagic Cintel Film Scannerを組み込むことに関して相談を持ちかけたという。これまで、Austrian Film Archiveによる35mmのアーカイブ映像のスキャンは、ほとんどSD(DigiBeta)のみに限られていた。

常石氏:一握りの復元作業を除き、35mmフィルムアーカイブのデジタルHDへのスキャン処理はまだ始まってすらいませんでした。Cintelの技術により、HDスキャンの工程を飛ばして、Ultra HD 4Kでスキャンできるようになったのです。

Austrian Film Archiveの既存のワークフローはWindowsベースで、ファイバーチャネル接続を介して高速ストレージRAIDにアクセスできる。Thunderbolt 2を介してリアルタイムでRAWのログファイルをキャプチャーし、Austrian Film Archiveのネットワークに保存するために、Vision2SeeはSuperMicro Serverを選定した。

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スキャンした映像は、DaVinci Resolveを搭載した3台のワークステーションからアクセスでき、これらのファイルはネイティブ12-bitのリニアCintel Raw Image(CRI)からDPXへと変換され、DIAMANT-Film Restorationソフトウェアで処理された後、DaVinci Resolveで編集およびグレーディングが施される。完成したリマスターコンテンツは、DaVinci ResolveのeasyDCPプラグインを使い、QuickTimeマスターやデジタルシネマ・パッケージ(DCP)として納品される。

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常石氏と彼女が率いるチームは、9月にリリース予定の「K. -u. -K.」というDVDのために、現在Cintelを使い集中的な復元プロジェクトに着手している。

常石氏:このDVDは、最も要望が多い、オーストリア・ハンガリー帝国時代の素材を集めて編集したものです。また、スキャンした素材は、ウィーンのMetro Kinokulturhausで開催される展示会でも特集が組まれる予定です。

Blackmagic Cintelの優れた点は、操作の容易さだと思います。Cintelの操作は非常にシンプルなので、誰でも習得できます。また広いダイナミックレンジに対応しているので、リアルタイムでヒストグラムを確認する必要がありません。処理中に常に誰かがスキャナーの前にいる必要はないため、大幅な節約となります。Cintelは、1910年に撮影されたニトロセルロースのフィルムなど、私たちが考えていた以上の素材を扱うことができます。