カリーナシステムおよびカペラシステムズの隣接ブースでは、新たな収益を図る「広告差し替え」機能を実装した、放送局向けのインターネットTV放送配信システム「Cambria Live Broadcast」や、インターネット見逃し配信やスポーツ配信に適した、サイマル配信&VODシステム「Cambria Live Broadcast Manager」と組み合わせた自動化ライブ配信ワークフローなど、実際の放送局ユーザー事例を交えて紹介した。
カペラシステムズが開発するCambriaソリューションは、ソフトウェアベースによる柔軟な拡張能力を持ちあわせ、放送局のサービス拡張および今後のIPサイマル放送に適した対応が可能だ。IPサイマル放送、つまりテレビ番組をインターネットで同時に配信する「ネット同時配信」について、総務省では先月10月、法改正で2019年に全面解禁する方針を発表した。
Cambria Live Broadcast。放送事業者にとってライブプロダクション向けの馴染みやすいインターフェイスを持っている
既存の放送局ユーザーによる現場の声に応え、確実に機能を拡充しているCambria Liveは今回、局間制御信号やAPCなどの信号による「CM差し替え」に対応したシステムを実演した。例えばテレビ東京では、経済ニュース番組「Newsモーニングサテライト」のライブ配信を、Cambria Live Broadcastシステムを使って行っている。放送局が運用するインターネット配信では、放送のSDI信号を分配しているため、テレビCMがそのまま入っている。テレビCMはネット側で流せないため、ネット用のCMに差し替えている。タリー、局間制御信号やAPCなどの信号のもと、自動的にCMを差し替える仕組みだ。
またCambria Liveは、SSAI(サーバーサイド広告挿入)にも対応。Brightcove、OOYALAのアドサーバと交信し、視聴者にあったCMを流し込める機能を実装している。ビデオは挿入したCMと一緒にエンコードされるため、番組とCMの認識ができなくなる。つまりCMブロッキングを回避して視聴者に確実に届くため、視聴者数などの分析が可能だ。よってCM配信料が広告配信元に確実に支払われる。報道番組だと、例えばワールドサッカーの速報を行うこともあり、内容によってはネット配信ができないという権利関係が発生する。その場合のフィラー処理や、また緊急災害時での災害情報配信などに対応できる機能をCambria Liveは持っている。
毎日放送(MBS)では、Cambria Liveシステムを使って11月20日までゴルフ「ダンロップフェニックストーナメント大会」のインターネット配信を行っていた。時差編集ソフト「ClipCutter」も活用し、切り出し編集したハイライトクリップを即座に作成している
また、レコーダー機能を搭載した4K HEVCリアルタイムエンコーダ「MS-NEB-4K(仮称)」を参考出展した。来年の春頃の発売を目指すという。展示フロアで多く見かけた、ハードウェアベースの4K HEVCエンコーダと同様に、本エンコーダでもソシオネクスト社製のチップを採用しているが、Windowsベースのドライバーを完全独自で開発したという。ライブエンコードと同時に内部SSDおよびNAS/HDDなど外部ストレージにM2TS/MP4で長時間収録できる特長を持つ。
MS-NEB-4Kのワークフロー。4K HEVCライブエンコード、RTP配信しながら、同時収録およびHDモニターでプレビュー可能
(ザッカメッカ)