ATOMOSブース 360°全天球動画
RICOH THETA Sで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google ChromeブラウザおよびiOS/Android版YouTubeアプリが必要です。(アプリ起動はこちら)
ATOMOSは、先月出荷開始となった4K60p収録対応のSHOGUN INFERNOを中心に、ソニーやパナソニック、キヤノン、JVCケンウッド、ARRI、RED、ニコン、池上、富士フイルム、Leicaと様々なカメラメーカーのビデオカメラやデジタル一眼カメラと組み合わせて展示を行った。
その他にも、ATOMOSレコーダーで収録したメモリーパックを直接装填できるG-Technology社のストレージシステムによるワークフローや、著名クリエイターによる映像制作事例を取り上げたプレゼンテーションにより、収録からポストまでのノウハウや作業方法などを披露した。なお、恒例となっているプレゼント抽選では、会期中毎日BLADEシリーズ/FLAMEシリーズ/SHOGUN INFERNOが1台ずつ当たるイベントも開催された。
ATOMOS社長の戒能正純氏にSHOGUN INFERNOが対応している4K60pやHDRについてお話をお伺いした。
ATOMOS株式会社 社長 戒能正純氏
(※個人の役職名は取材当時の名称。2017年8月末、戒能氏はATOMOS株式会社 代表取締役社長を退任)
戒能氏:4K60pについては、ソニーのFS7やパナソニックのDVX200、UX180など、カメラ自身で収録できる物も増えつつありますが、SHOGUN INFERNOがあれば、ソニーのFS700やFS5※1でもFS RAW出力経由で4K60p収録ができるようになります。また、このInterBEEで参考出品されたJVCケンウッドのGY-LS300CHの4K60p HDMI出力対応ファームウェアアップデート※2や、来年発売が予定されているパナソニックGH5など、どんどん身近になってきていると感じています。
※1:NEX-FS700Jは、有償アップデートでRAW出力に対応、NEX-FS700RはFS RAW出力に標準で対応。PXW-FS5は、有償アップデートでRAW出力に対応
※2:GY-LS300CHの4K60p対応アップデートは、提供時期など詳細未定
発売されたばかりのソニーPXW-FS7M2とSHOGUN INFERNOによる4K60p収録
JVCケンウッドGY-LS300CHが4K60p出力に対応(参考出品)。SHOGUN INFERNOとの組み合わせで収録に対応
戒能氏:もうひとつのトレンドというかキーワードになっているHDRですが、収録からポストプロダクションまでのワークフローをどう行なうか、正しく認識されていない方が多いのではないでしょうか。もちろん、用語の難しさもありますし、ワークフローもまだ確立されていない事もあるでしょう。収録時にオンセットでHDRでモニタリングするべきかどうか意見が別れているとも聞きます。今後HDRの視聴環境だけでなく、制作側にとってもポピュラーになるためには、PQ(ST2084)、HLG(ARIB STD-B67)の違いや、Logガンマからのグレーディング作業をどうするのか、この辺りの情報が行き渡ると普及への道筋が見えてくるのではないでしょうか。
HDR収録にATOMOS製品がどう役に立つのか紹介させて下さい。2016年の春から発売を開始したSHOGUN FLAMEより、ATOMOSはHDRモニタリング機能を「AtomHDR」と名付けて打ち出して来ましたが、これはLogガンマ収録時の階調&ダイナミックレンジモニタリング機能と言えるものです。確かにLUTも適用できますし、1500nitのHDRライブモニターになるのですが、現状では、HDR映像で撮って出し向けではありません。PQガンマへのリアルタイム変換機能はありますが、PQガンマの性格上、必ずポストプロダクションで仕上げるものですので、あくまでも収録時のカメラの露出確認用とお考え下さい。
しかし、HLGへ対応すると話も変わってくるでしょう。例えば、今回のInterBEEで池上通信機さんが、HLG対応のスタジオカメラを展示されましたが、このCCUは12G-SDI出力を持っていて、今でもSHOGUN INFERNOと繋がるんです。SHOGUN INFERNOがHLGに対応すれば、サブモニターとしてモニタリングやHLGライブバックアップなんて事もできるようになります。SHOGUN INFENOは、今後HLG対応も予定していますので、HDR収録で使える機会がもっと広がると期待してます。
HDRが言われる前から、Logガンマ撮影はポピュラーになっていましたが、カメラで収録したLogガンマ映像をHLGやPQ、従来のRec709にするのにどういった作業が必要になるのか。かなり個人のノウハウに頼る部分が大きいと思います。さらにHDRになると、カメラによってダイナミックレンジやLogガンマ収録時のノイズレベルも違いますし、ポストプロダクション向けの本格的なHDRモニターはかなり高額なため、実際に触れて作業できるのは限られた人のみです。
SHOGUN FLAMEやINFERNOが、こういった現状を変えていく助けになればと願っています。Logガンマのモニタリングだけでなく、PQ/HLGのネイティブモニタリングに対応することで、使われる幅が広がります。もちろんマスターモニターに比べると表示品質は異なりますが、輝度を中心としたHDRモニターの目安にはなると思っています。
今後、HDRの一般的な解説やワークフローについて、PRONEWSさんの解説記事や、セミナーとかで啓蒙してもらえると嬉しいですね。2016年はHDR元年と言える年かと思いますが、2017年は普及期への入り口になることを願っています。
ATOMOSのストレージパックに対応したG-Technology社のG-Technology G-DRIVEとG-DOCKストレージドッグ