Blackmagic Designの発表によると、ポストプロダクションスタジオであるSoundfirmにてカラリストのデイドラ・マクルランド氏(CSI)が、「RED DOG」(2011年)の続編「RED DOG:True Blue」のカラーグレーディングにDaVinci Resolve Studioを使用したという。

2011年の「RED DOG」の制作に携わったクリーフ・ステンダース監督と、プロデューサーのネルソン・ウォス氏、脚本のダニエル・タプリッツ氏が再びチームを組んだ続編は、西オーストラリアのピルバラで牧場を営む祖父の元で暮らすことになった、レヴィ・ミラー演じる11歳の少年ミックを中心に描かれている。ミックは退屈で厳しい牧場での生活を覚悟していたが、そこで神話、冒険、そして一匹の負けん気の強い犬と出会う。この犬はやがてオーストラリアの伝説となる。「RED DOG:True Blue」は、2016年12月26日にオーストラリアで公開予定。

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ステンダース監督は舞台となった地域の1960年代のイメージをまとめたムードボードをグレーディング用に用意した。

マクルランド氏:ムードボードには家族写真や風景写真が含まれており、これらはすべてエクタクロームフィルム独特のルック、つまり力強いカラーと光沢のあるブラックを有していました。アボリジニー画家のアルバート・ナマジラが描いた絵も参考にしました。赤やオレンジの大地、遥か遠くの青みがかった山々、ユーカリのセージグリーンなどです。

マクルランド氏によると、DaVinci Resolve Studioのカラーマッチパレットでカラーブーストを慎重に使用すれば、オーストラリア内陸部のカラーをほぼ忠実に実現できるという。

マクルランド氏:希望通りの肌のトーンを得るのに、ミッドトーンディテールが非常に役立ちました。高コントラストの照明条件では、ミックと牧場使用人であるテイラー・ピートの肌のトーンが全く違っていたことがジレンマでした。テイラーは特長的なカウボーイハットを被っていたため、顔が一層暗く見えていました。DaVinci Resolve Studioのトラッキング機能はとても優秀だったので、スキントーンの調整やフレーム内のトラッキングを効率的に行えました。

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別のシーンでは顔が逆光で照らされ、帽子の影になり露出が十分ではなく、マクルランド氏は顔が見えるようにルックを調整する必要があった。

マクルランド氏:形が複雑だったので、背景をロトスコープして後ろの空のディテールを保つことはできませんでした。そこで、別のショットの空で太陽光線のレイヤーを作り、極めてソフトなエッジのキーイングを行って、影の部分に重ねました。また、木々越しの日没のシーンでも同様の処理を行いました。グレーディングにより空が露出過多になったので、先に撮影されたショットの別の空を使って、夕焼け雲をキーイングしました。

DaVinci Resolve Studioのカスタムカーブも、フレームの飽和した部分をコントロールするにあたって、他の部分に影響を与えずに済むので役に立ったという。

マクルランド氏:迫力あふれる火事のシーンの後は、疲れ切ったすすだらけの消防士と牧場使用人のショットでした。煙と埃を通すと、彼らの一部は黒こげになったように見えました。すすと埃の感じを出すために、Lum vs.Satカーブを使用して暗い部分を真っ黒に見えるようにしました。埃に覆われたルックを得るのに非常に適したツールですね。

極めて多くのルックに対応でき、複数のバージョンが作成でき、クライアントのチェックのために画面に表示できる機能を持っているDaVinci Resolve Studioには非常に助けられました。また、複数のPowerGradeスチルビンを作成できるのは、類似したショットのスチルだけでなくグレードも次のリールに持ち越せるので便利でした。