Blackmagic Designの発表によると、中国のWuhan(武漢)テレビが、同局初となるフル装備HDスタジオにBlackmagic Studio Camera 4K、ATEM 2 M/E Production Studio 4K、ATEM 1 M/E Production Studio 4K、Teranex 2D、Universal Videohub 72、SmartScope Duo、Blackmagic OpenGear Converterを組み込んだワークフローを導入したという。

Wuhanテレビは、湖北省の省都にある武漢市を拠点とする副省級テレビネットワーク。8つのテレビチャンネルと5つのラジオチャンネルを有し、2012年にHD/SDの同時放送を開始した。近年Wuhanテレビは、12台のカメラを備えたHD中継車を導入し、HDポストプロダクションネットワークを完成させたが、2016年末に初のフルHDスタジオとなる280平方メートルのHDスタジオを構築した。同スタジオは、Wuhanテレビを代表するライブニュース番組「武漢ニュース」などの番組制作に使用されている。Wuhanテレビ制作センター所属のエンジニアであるLu Hui氏は次のようにコメントしている。

Hui氏:スタジオカメラ、スイッチャー、レコーダー、モニターなど、新しいHDスタジオ用に導入したBlackmagic Design製品の多くは4K対応です。つまり現行のHDに加え、将来的により高い解像度のプロダクションにも対応可能なので堅実な投資と言えますが、そのコストは他社のHD製品よりも低価格だったんです。

信号経路を保護するため、5台のBlackmagic Studio Camera 4Kを含むスタジオ内外からのすべてのソースは、ATEM 2 M/E Production Studio 4KおよびUniversal Videohub 72に接続されている。Universal Videohub 72はスタジオ内のすべての信号を管理するビデオルーターとしてだけではなく、ATEM 2 M/E Production Studio 4Kスイッチャーのリダンダント・ユニットとしても機能している。

放送事業部からのフィードやロケ現場のリポーターからの4Gフィードなど、スタジオ外からのフィードはTeranex 2Dに送信され、フレーム同期およびオーディオのデエンベッド、そして必要に応じてスタンダート変換が行われ、これらの信号はTeranex 2Dの2系統の出力からATEMスイッチャーおよびUniversal Videohubへと送信される。

Hui氏:以前は、多くの変換ボードを使用して特定の種類の変換を行っていました。しかし、Teranex 2Dは1089種類の変換と画像処理を1台のユニットで実現でき、フレーム同期やオーディオのデエンベッドも可能です。Teranex 2DのフロントパネルにあるLCDスクリーンで入力信号をモニタリングできるので、外部モニターが必要ないのは非常に便利ですね。

ATEM 1 M/E Production Studio 4Kスイッチャーは、ATEM 2 M/E Production Studio 4Kからのプログラムフィードと、キャラクタージェネレーターおよびグラフィックシステムからのフィードの切り替えに使用している。冗長性を確保するために、Universal Videohub 72の出力ポートのうちの1つはバックアップフィード専用になっており、ATEM 1 M/E Production Studio 4Kからのプログラムフィードはフェイルセーフ・ルーティングスイッチへ送信される。さらに、Blackmagic OpenGear Converter Audio to SDIを使って、オーディオミキサーからのオーディオを、フェイルセーフ・スイッチからの出力フィードにエンベッドしている。このフィードは光ファイバーを介して放送システムへ送信される。

Hui氏:ATEMスイッチャーは、タリー、トークバック、フィードバックなどの内蔵機能との一体感に優れているため、非常に扱いやすいですね。Blackmagic Studio Camera 4Kを1本の二芯光ファイバーケーブルでATEMスイッチャーに接続するだけで、これらの機能を使用できるのです。

マスターの収録にはHyperDeck Studioが使用されている。HyperDeckは、ソースとしてTeranex 2D経由でATEMスイッチャーおよびUniversal Videohub 72に接続されている。技術ディレクターの前にはATEM 2 M/E Broadcast PanelおよびATEM 1 M/E Broadcast Panelが置かれ、それぞれのATEMスイッチャーのコントロールを担っている。同様に技術ディレクターは、メインのビデオスイッチ機能に問題が生じた場合に備え、Videohub Smart Control PanelでUniversal Videohub 72をコントロールしている。

技術波形モニタリングにはSmartScope Duo 4Kが使用されており、オペレーターはVideohub Smart Controlを使って、Universal Videohub 72に接続されたあらゆるソースを選択する。従来のカメラコントロールとは異なり、5台のBlackmagic Studio Camera 4Kは、黒レベル、アイリス、カラーバランスなどの設定を、コンピューター上のATEM Software Control Panelで調整することでコントロールが可能。

Hui氏:ATEM Software Control Panelは、Blackmagic DesignのスタジオカメラをコントロールするCCUであると同時に、ATEMスイッチャーの設定やメディアプールの管理が可能なソフトウェアであり、ATEMコントロールパネルのバックアップとしても使用できます。スイッチャー、コンバーター、ビデオルーターなど、Blackmagic Design製品の多くは同一のイーサネットスイッチに接続できるので、直感的なインターフェースを採用したソフトウェアアプリケーションで簡単に管理、コントロールできます。