Shureは6月に発売になったAXT Digitalワイヤレスシステムのほか、10月発売のADシリーズ送信機や、2018年中旬発売予定のADXシリーズ送信機など、一新されたワイヤレスマイクを中心に世界初のデュアルダイアフラムダイナミックマイクロホンKSM8、AV会議ソリューションMicroflex Advance、大規模な国際会議などに最適なMicroflex Complete/Microflex Complete Wirelessなどを出展した。

AXT Digitalワイヤレスシステムはアナログからデジタルへの切り替え時期ということもあり、今回の出展で最も力を入れているようで、広いスペースをとってラインナップを披露していた。特にADX1M送信機は今までのワイヤレス送信機にはない小型・軽量化と、ボディパックとして使いやすい形状デザインを採用しており、注目の製品といえる。

その他にも磁気回路の上下にダイヤフラムを配置したデュアルダイヤフラム設計のダイナミックマイクKSM8や、指向性を任意に設定できる天井設置型とテーブル設置型の2タイプのデジタルアレイマイクロホンMicroflex Advanceなどを出展した。

AXT Digital ワイヤレスシステムのコーナー。信号安定性と明瞭度の高い優れた音質に加え、用途に合わせたシステム構成が可能。送信部はハンドマイク型のADX2およびAD2が、ボディパック型はADX1、ADX1M、AD1があり、受信機はAD4DとAD4Qの2機種および周波数管理プロセッサAXT600Jがラインナップされている

ADX1M送信機は仕込みマイクロホンに最適な目立たず装着しやすいコンパクトなデザインを採用しており、本体防水以外にもメンブレンボタンとLEMO3コネクターにより汗や水分の浸入を防止できるようになっている。また内蔵アンテナのセルフチューニング機能により、送信機の着け方にかかわらず常に信号を最適化し、安定した送信が可能

ボディパック型送信機ADX1。リモートコントロールを可能にするShowLink機能や妨害波を検知した際に、自動的または手動操作で、より安定性の高い周波数帯への切り替えが可能

AD1送信機は、チャンネル数を増加できるハイデンシティーモードへの切り替えが可能で、オーディオクオリティを劣化させずにTV6MHz幅において47chの同時使用を実現している。電源は単3形アルカリ乾電池×2個のほか、Shure製SB900Aリチウムイオン充電池が使用可能。単3形アルカリで約8時間、SB900Aで約9時間の駆動が可能

AD4DとAD4Qの2機種の受信機と周波数管理プロセッサAXT600J。広大なダイナミックレンジとAES-256暗号化機能に加え、マイクロホンのトランスデューサーからアナログ出力まで2ミリ秒という低レイテンシーを実現したほか、DanteおよびAES3といったデジタルインターフェースに対応。トゥルーデジタルダイバーシティとQuadversity受信機テクノロジーの採用により、ドロップアウトの原因となる信号減衰や干渉が発生する可能性を大幅に低減。Quadversityモードは、1組のダイバーシティアンテナを異なるゾーンに配置したり、1つのゾーン内のアンテナ数を2倍にすることができる。ハイデンシティモードは、優れた音質を維持しながら同時運用可能な最大チャンネル数を6MHz TV帯域当たり17チャンネルから47チャンネル(または8MHz TV帯域当たり23チャンネルから63チャンネル)に増加することが可能

ワイヤレスシステムの周波数選定や各種設定、モニタリングなどが行えるWireless Workbench 6。MacおよびWindowsに対応しており、各送信機からの受信状態や送信機の設定、チャンネル割り当てなどを行うことができる。現場の電波状況をスキャンして最適な周波数を各送信機に設定したり、運用中の受信強度をリアルタイムで波形表示することが可能

2枚のダイヤフラムで構成されたDualdyne(デュアルダイン)カプセルを搭載したKSM8。サイドインレットから入った音声は後部第2ダイアフラムを通過してから前部第1ダイアフラムに到達することで、第2ダイアフラムを抵抗回路として使用することで低周波数が部分的にブロックされるため、自然な低域特性と近接効果を大幅に低減できる。これにより、マイクロホンからの距離にかかわらず一定の音質を維持できるほか、安定した軸外直線性を実現している

KSM8とKSM9HS、SM58など他のボーカル用ダイナミックマイクと比較視聴できるコーナー。KSM8の優れた周波数特性や低域から広域までほとんど変わらない指向性を確認することができる

MOTIVデジタルマイク&レコーディングソリューションのコーナー。USBやLightning接続可能なマイクロホンのほか、オーディオインターフェースなどを出展。PCやiPhoneなどに直接接続して使用することができる

iPhone/iPad用動画撮影アプリShurePlus MOTIV VideoとオーディオレコーディングアプリShurePlus MOTIV 。今回新製品として出展したのはShurePlus MOTIV Videoで、非圧縮オーディオとビデオの同時収録をボタン1つで行うことが可能。オーディオメーターや波形表示などの機能も搭載されている。2018年リリース予定

AV会議ソリューションMicroflex Advance。天井からの収音に対応したシーリングアレイマイクロホンMXA910や、直径15cmほどのテーブルアレイマイクロホンMXA310およびDanteによるネットワーク接続が可能なオーディオネットワークインターフェイスANI4IN/ANI4OUTなどで構成される会議用収音ソリューション。ブラウザベースのユーザーインターフェースにより、複数の話者に向けた指向性を設定することができる

カンファレンスシステムMicroflex Complete Wireless。マイクロホンアクティベーションモードの選択により、各種ミーティングからアジェンダに基づく会議進行に合わせることも可能。オプションのSW6000ソフトウェアを使用すれば、参加者のID確認、アジェンダ管理、電子投票/採決など、参加者数が数百人に及ぶ会議でも効率的な運営を実現