Photo Credit: Nicola Dove

Blackmagic Designの発表によると、New Wave Entertainmentが20世紀フォックスの「オリエント急行殺人事件」の広告キャンペーンのサウンドデザインにFairlight DAWを使用したという。アガサ・クリスティの小説を原作にした同作は、ヨーロッパを旅する豪華列車に閉じ込められた13人の見ず知らずの乗客と車掌が、互いに犯人ではないかと疑い合う様子を描いている。

New Wave Entertainmentは、ロサンゼルスに拠点を置くマーケティング会社でポストプロダクション/フィニッシングを専門としたサービスを提供している。チーフエンジニア兼シニアミキサーのマーク・ロドリゲス氏によると、今回のキャンペーンではサウンドエフェクトが重要になる、と同社はプロジェクトの開始当初に気づいたと言う。

ロドリゲス氏:機関車のサウンドや背景の環境音に、叫び声、銃声に加え、列車の汽笛を多用してミュージカルのような雰囲気をサウンドエフェクトを使って生み出しました。サウンドエフェクトを多く使うと、編集やミキシングに若干時間がかかるのですが、Fairlightのスピードはその遅れを補う以上に早いんです。また、Xynergiコントローラーを使うとボタンを1〜2回押すだけで数百のコマンドが実行できるので、このプロジェクトの膨大な量のサウンドエフェクトを編集する際に助かりました。

ロドリゲス氏らは、以下で構成される8台のFairlightシステムを使用した。5台の3.5ベイのEVO 24フェーダーコンソール、1台の3ベイのEVO 18フェーダーコンソール、3台のXE-6フェーダーパネルを組み合わせたXynergiコントローラーに加え、2台目のXynergiコントローラーには1台の編集ベイを接続した。

ロドリゲス氏:過去18年に渡ってFairlightを使用しています。弊社自身やクライアントのニーズに合わせて、Fairlightも成長しているのが、その理由です。編集の速度、編集機能自体、ミキシングルーム間でのコラボレーション機能がFairlightを使用する大きな要因ですね。信頼性が高いことも極めて重要な要素ですね。システムがダウンすることで、納品を遅らせることはあってはならないので。

Fairlightでは、他のプロジェクトを読み込み、現在のプロジェクトにコピーできるため、これも同社のワークフローに欠かせない画期的な機能だとロドリゲス氏は語る。

ロドリゲス氏:現在のプロジェクトを開いたままで、他のプロジェクトに行き、スポットやミックスをコピーし、必要なオーディオエレメントを探すために別のプロジェクトを検索し、それらを現在のプロジェクトに瞬時に移動して使用できます。また、ビデオスクローラーではビデオの各フレームのビデオストリップが表示されるため作業には欠かせません。会話の同期の調整やサウンドエフェクトを配置する場所をフレーム単位で確実に探すことができます。前後に位置するフレームをクリックするだけで、タイムラインを移動できます。

統合デュアルビデオトラックを使用して、映像をオフラインとファイナルに分割して、フレームアキュレートであることを確認しています。これはバージョン間でコンフォームを行う際にも非常に便利です。映像が変わる場所が的確に分かるので、どのオーディオを使用するべきか簡単に分かり、すべてをゼロからやり直すのではなく、以前の作業を生かして作業できるため、非常に多くの時間を節約できます。クライアントとの承認作業中に、現在のスポットに、他のスポットの最後の部分を編集できるのは本当に素晴らしい機能ですね。オーディオでビデオの編集が行われることはあるんです。後日ビデオ編集ベイでラフカットを仕上げる場合でも、ガイドラインとしてビデオエディターが使用でき、作業のスピードアップに繋がります。

New Wave Entertainmentには複数の部門があるため、Fairlightのシステムは様々なプロジェクトや納品ファイルに使用されている。「オリエント急行殺人事件」では、同社は国内と海外テレビ用スポットCM、テレビ/ラジオ/オンライン用の予告編に加え、映画館での広告、舞台裏映像、SNS用(Instagram、Facebook、Snapchatなど)マーケティングCMの制作を行なった。

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ロドリゲス氏:今回のプロジェクトのような作品では、テレビ放送、SNS、映画館での放映用に個別のプロジェクトをFairlightで作成し、納品用の圧縮を個別に行うことで、多くの時間を節約できます。スポットは225個以上で、それぞれ最大10バージョンまであったため、約2250ファイルが納品されたことになります。

Fairlightの速度が非常に早いことに加え、ミキシングルーム間でスポットやミックスを自由に移動できるため、3つのミキシングルームで本作の作業を行い、最終的に1つに統合することができました。各スポットが承認されたら、専用の部屋でステムファイルの作成を行いました。これは、ミキシング担当者がクライアントと他のスポットの承認を行いながら、ファイル作成者がミキシングルームから承認済みのスポットを受け取って作業ができたため、承認プロセスの中断や遅延を招くことなく行えました。

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ロドリゲス氏は、Fairlightの触覚コントロールの速度について、さらに以下のように言及した。

ロドリゲス氏:30個以上のマクロプリセットを設定でき、各ボタンで実行できるコマンド数に制限がないのは、本当に素晴らしいですね。ビデオベイでの映像と統合作業のためにファイルを渡すにあたって、デジタルファイルは特定の方法で整理されている必要があります。デジタル納品用のマクロは、300以上のコマンドやボタン操作をマクロキーを一押しするだけ実行します。コントローラー・ジョガーホイールは、オーディオのスクラブに絶えず使用しています。また、高速でスクラブして、特定のビデオショットを見つけるのにも役立っています。