去る3月30日、東京・日本橋のグラスバレー社にてNAB2018のプレスカンファレンスが開催された。同カンファレンスでは、NAB2018の出展情報の説明や、新製品や製品のアップデートについて紹介が行われた。

同社の代表取締役 北山二郎氏からは、NAB2018の出展概要と、2月に発表されたSAMの買収について紹介・説明が行われた

グラスバレーの親会社となるBeldenはSnell Advanced Media(以下:SAM)を2018年2月に買収。SAMは今後グラスバレーに統合され、両社の人材・技術・製品が組み合わせることで、コンテンツ・メディア業界で最も広範囲なポートフォリを展開できるとしている。

同社のNABブース(サウスホール/SL106)では、「HDR」「クラウド(仮想化)」「IP」をキーフォーカスとして、同社のライブプロダクション、ニュース、コンテントデリバリー、ネットワーキングといった各種ソリューションを中心とした製品群のデモを行う。

NAB2018出展予定製品

NAB2018に出展する新製品を紹介する同社のEditing Systemsバイスプレジデント&ジェネラルマネージャー 竹内克志氏

同社の竹内氏からは、NAB2018にて展示予定の新製品として「EDIUS 9.2」、「XRE Transcoder 9」、「EDIUS Turnkey」、「T2」、「SAMインテグレーション」の詳細が紹介された。また、粟島氏からはEDIUS 9.2のHDR系機能について説明・デモンストレーションが行われた。

■EDIUS 9.2

バージョン9.2はEDIUS 9ユーザーへの無償アップデート。4月10日よりダウンロード可能となる。アップデートの主な機能は、HDR系機能の拡張と、クラウドサポート機能の拡張だ。EDIUSのクラウドサポート機能では、Amazon WorkSpace上のEDIUS 9からEDIUSのソースブラウザ機能がAmazon S3に対応。EDIUSのクラウドからAmazon S3に対して直接アクセス可能となった。なお、このクラウドサポート機能は、通常のEDIUS 9での対応ではなく、個別案件のオプションとして提供される。

プロダクトマネージャーの粟島憲郎氏からEDIUS 9.2のHDR系の機能拡張について説明が行われた

HDR系の機能拡張には、HDR編集に対応した新しいビデオスコープや、カラースペースリストの編集機能の追加、MyncアップデートによるHDR対応が含まれる。また、Workgroup(ターンキー)のみの機能として、モニターコントロール機能が追加された。

HDR編集に対応した新しいビデオスコープ

HDR編集に対応した新しいビデオスコープでは、nits表示に対応。カーソル機能としてウェーブフォームとヒストグラムに任意の輝度レベルのラインが追加された。同社はこれまでもEDIUSのHDR機能を充実させてきたが、ユーザーからHDR対応ビデオスコープのリクエストを数多く受け、やっと実現できた機能だとしていた。

カラースペースリストの編集機能が追加された

カラースペースリストには、ARRI ALEXA Wide Gamut(Log C)と、DJI D-Gamut/D-Logのカラースペースが追加された。今回のカラースペース追加により、ProResでARRIのLog Cで撮影した際に、カラースペースを正しく読み込んで編集することができるとしていた。また、プライマリーカラーコレクション、クリッププロパティー、ビンのところで出てくるカラースペースのリストが編集できるようになった。具体的には、カラースペースの中でこの機能を表示/非表示にすることや、名前の変更、順序の変更などが可能となり、ユーザーが使いやすいようにカスタマイズできる。

その他にも、Canon Cinema RAW Lightデコードパフォーマンスの向上、Apple ProRes MXFのインポート、Sony VENICE RAWのインポート、Matrox IO Hardware driver v8に対応している。

Myncバージョン1.4ではHDRのプレビューが選択可能

同社のメディア管理ソフトウェア「Mync」がバージョン1.4にてHDRに対応した。HDRのプレビューが選択でき、モニターに適したカラースペースで映像を確認可能。HDRのストーリーボードの編集も行える。HDR MP4 10bit(H/265/H.264)エクスポートにも対応しており、ソニーのインスタントHDRや、パナソニックGH5のHLGファイルなどを簡単に編集し、HDR(PQ/HLG)エクスポートが可能。HDRのメタデータが付加されたMP4を活用することでYouTubeやテレビでのHDR再生が可能。

会場ではEIZOのモニターColorEdge PROMINENCE CG3145とターンキーを接続してデモンストレーションを行った

Workgroupのみの追加機能となるモニターコントロール機能では、EDIUS 9のプロジェクト設定のカラースペースとモニターのカラーモードが同期し、変更すると瞬時に切り替わる。PCとモニターはUSB経由でコントロールしている。現在サポートしているモニターはEIZO社製モニターColorEdge PROMINENCE CG3145、ColorEdge CG318-4K/CG248-4K。

映像信号としてSDIをHDMIに変換して入れており、モニターコントロールするためにUSBで接続。2本のケーブルでモニターとターンキーをつないでいる

■XRE Transcoder 9

XRE Transcoderは、EDIUSをベースとした製品。ウォッチフォルダによる自動変換や、ジョブモニタによる変換ジョブなどの管理、同時に2つの変換ジョブ、複数のXRE Transcoderを使ったジョブ分散、システムインテグレーション用のSDKの提供などが可能。

XRE Transcoder 9の新機能には、Effect Template機能(HDRサポート/グラフィックオーバーレイ/アスペクトレシオの変更/スピード変更)や、H.265・HEVCのインポートおよびエクスポート、オーディオのみのファイルサポート、Canon社のC200 RAWインポート、8Kサポートなどが含まれる。Effect Template機能では、EDIUSを使用してプロジェクトテンプレートを作成可能。

■EDIUS Turnkey

EDIUSターンキーの新モデルHDWS 4K3

ノンリニア編集ワークステーションとして、EDIUSの編集ターンキーシステムの新モデル6製品を発表。HDWSの特長は、RAID構成や冗長電源を採用した安定性、EDIUSの性能を最大限に利用するチューニングなどがある。新モデルのラインナップと価格は以下の通り。

【HDWS】:2018年5月発売
4Kモデルの性能向上、8Kモデルリリース、Winsows 10対応、EDIUS 9.2

  • HDWS 4K3 Elite(フラグシップモデル):オープン価格
  • HDWS 4K3(メインストリームモデル):価格3,300,000円
  • HDWS 8K:価格20,000,000円

【REXCEED】:2018年6月発売
性能向上、Winsows 10対応、EDIUS 9.2

デスクトップ:

  • REXCEED Z4000:価格1,780,000円
  • REXCEED Z2000:価格998,000円

ラップトップ:

  • REXCEED X15LT G4:価格798,000円
■T2 UHD(仮称)

デジタル・ディスクレコーダーT2 UHD(仮称)をNABで展示。T2 UHDはT2のフロントパネルおよび操作性と、ワークステーションモードを継承。4KおよびUHDや、プログレッシブをサポートしており、リダンダント電源を採用している。2018年7~9月に発売予定。仕様は暫定のため、仕様変更の可能性がある。

■SAMインテグレーション

SAM製品のRIOに関して紹介。RIO製品は今後も継続予定だが、継続の形態は今のところ未定だという。NABの同社ブースではRIOをニュース関連製品の一部としてEDIUSと同じ場所に展示予定。