Blackmagic Designは、オールインワンUltra HDライブプロダクションスイッチャー「ATEM Television Studio Pro 4K」を発売開始した。希望小売価格はUS$2,995(国内:税別339,800円)。

ATEM Television Studio Pro 4Kは、放送用ハードウェアコントロールパネルと8系統の12G-SDI入力のスイッチャーを一体化したスイッチャー。2160p59.94までのあらゆるHD/Ultra HDフォーマットに対応する。すべての12G-SDI入力には、再同期機能に加え、独立したフォーマットおよびフレームレートの変換機能が搭載されており、様々なフレームサイズやフレームレートの最大8系統の異なるソースを接続でき、それらをクリーンにスイッチング可能。スイッチャーは、あらゆる入力をプログラムの出力フォーマットとフレームレートに自動的に変換する。

Fairlightオーディオミキサーを内蔵しており、Fairlightオーディオのツールを今回初めてライブプロダクションスイッチャーに統合した。ATEM Television Studio Pro 4Kは、各入力に独立した6バンドのパラメトリックイコライザーを搭載している。ダイナミクスにはエクスパンダー/ゲート、コンプレッサー、リミッターがを搭載。

新しいATEM Advanced Chroma Keyerを搭載しており、新しいキーヤーは、色範囲の選択およびサンプリング用のサイズ変更可能なオンスクリーン・コントロール、フォアグラウンド/バックグラウンド/エッジ調整のコントロール、スピル/フレア抑制用のクロマ修正ツールを搭載している。ATEM Television Studio Pro 4Kは極めてクリーンなキーを抜いて、ブルー/グリーンバックを置き換え、プロ仕様の放送品質の合成が実現できるとしている。

12G-SDIに加えて、2チャンネルのアナログオーディオ入力、RS-422、イーサネット、内蔵IEC電源、プログラム出力、Aux出力も搭載。SDIおよびHDMIマルチビュー出力にも対応しており、すべてのソース、プレビューおよびプログラム出力、ラベル、オーディオメーターなどを1台の大画面テレビや放送モニターでモニタリング可能。

可搬性を重視した設計となっており、エフェクトやトランジションを含むライブスイッチング・プログラムの制作が可能。ハードウェアパネルには、ソース切り替え用の大きな発光ボタンがついており、さらにそれらに対応するオーディオボタン、ワンタッチのトランジションボタン、ダウンストリームキーヤー、フェード・トゥ・ブラック、メディアプレーヤー、カットボタンなどにも対応している。また、ソース/プログラムビデオ確認用の内蔵LCDスクリーン、スピンノブ、そしてメニューおよび設定調整用の追加ボタンも搭載している。プログラムで使用したいソースのボタンを選択し、「CUT」あるいは「AUTO」ボタンを押すだけでソースを切り替えられる。エフェクトやグラフィックキーを使用することも可能。

ミックス、ワイプ、ディップなどのトランジションは、フロントパネルのボタンを押すだけで行える。37種類のトランジションに対応しており、ボーダー、ボーダーの色、幅、位置、方向などをカスタマイズできる。さらに、内蔵2D DVEでライブビデオの位置、サイズ、スケールをすべてリアルタイムで変更可能なデジタルビデオ・エフェクトを追加できるため、ピクチャー・イン・ピクチャーエフェクトの作成や、ソースをスクイーズ、スライドするDVEトランジションの使用、独自のグラフィックを用いたグラフィックワイプトランジションを作成可能。

Blackmagic Studio Camera、URSA Mini、URSA Broadcast、Micro Studio Cameraと使用している場合、トークバック、タリー、カラーコレクション、カメラコントロールなどの完全なリモートコントロール・ソリューションが行える。追加のケーブルや独自仕様のコントロールボックスを購入する必要はない。これらのカメラはリモートコントロール可能なカラーコレクターを内蔵しているため、コントロールパネルからカメラのカラーバランスの調整や、独自のルックの作成が可能。さらに、互換性のあるレンズで、フォーカスおよびアイリス調整、カメラ設定の変更、PTZのリモートコントロールも行える。

また、メディアプールを内蔵しており、90フレームのUltra HD、360フレームの1080HD、あるいは1440フレームの720HDビデオを保存して2系統のメディアプレーヤーで使用可能。メディアプールはフラッシュメモリーを使用するため、電源を切ってもイメージは保存される。さらにアップストリームキーヤーも搭載。グリーンバックの完全なクロマキーイングを実現でき、天気図、グラフィック、バーチャルセットを画面に挿入できる。アップストリームキーヤーは、クロマ、パターン、シェイプ、リニアキーイングに対応している。

2系統のダウンストリームキーヤーも搭載しており、グラフィックやウォーターマークを容易にビデオに追加可能。アルファチャンネル付きのProRes 4:4:4:4モーショングラフィック・ファイルのソースとして、HyperDeck Studio MiniをATEM Television Studio Pro 4Kと使用できるため、フィル&キーグラフィックをライブビデオに合成したり、ソース間のトランジションでアルファチャンネル付きのモーショングラフィックをリアルタイムで使用できるとしている。

さらに、SDIカメラ用のトークバックコンバーターも内蔵。トークバックの情報はSDIプログラムリターンフィード経由でカメラに送信され、仕様頻度の低いSDIオーディオチャンネル15、16が使用される。スタジオ外にリポーターがいる場合、オーディオ遅延により自分の声がヘッドセットでエコーして聞こえることがあるが、ATEM Television Studio Pro 4Kは、ミックスマイナス機能でこの問題に対応。リポーターに、自分たちの声を除いたプログラムオーディオを送信できるため、リポート中に自分自身の声のエコーに煩わされることはないとしている。

ATEM Television Studio Pro 4Kは、Mac/Windows対応のソフトウェアコントロールパネルを無償で同梱しており、複数のユーザーが同時に接続可能。1人のスタッフがプログラムスイッチングを担当し、別のスタッフがオーディオミックスやグラフィックのアップロードなどを担当し、さらに別のスタッフがリモートでカラーバランスを調整したりカメラをコントロールすることができる。

Blackmagic Design CEOのグラント・ペティ氏は次のようにコメントしている。

ペティ氏:ATEM Television Studio Pro 4Kは、最先端の放送スイッチャーの技術を、可搬性に優れたコンパクトで洗練されたデザインに詰め込みました。大型で高価なスイッチャーと同じ機能がすべて使用できるにも関わらず、標準の機材ラックやフライアウェイキットに収まる点でエキサイティングな製品です。フルサイズの1 M/Eハードウェアコントロールパネルの速度で作業できるため、複雑でペースの速いライブイベントにも対応できます!

なお、ATEM Television Studio Pro 4Kは、2018年4月9日から12日(米国時間)に米国ラスベガスで開催中のNAB2018の同社ブース(サウスホール/SL216)にて展示されている。