■ヴァイテックプロダクションソリューションズブース 360°全天球動画
RICOH THETA Vで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google ChromeブラウザおよびiOS/Android版YouTubeアプリが必要です。(アプリ起動はこちら)
コンセプトはFlowtechのセッティングスピードを実感できる体感型ブース
ヴァイテックプロダクションソリューションズブースの目玉は、軽量、短時間のセッティングが可能なFlowtech 100とFlowtech専用グラウンドスプレッダーだ。Flowtech 75は、今年4月に発売し、供給が間に合わなくなるほど人気の高い三脚だ。その一方で、ラインナップは75mmボール径のみであり、「シネマカメラシステムで使える100mm版はいつ発売されるのか?」と質問するのがメーカーとの定番のやり取りになっていた。
そしてついに、今年9月のIBC 2018でFlowtech 100を発表。InterBEEでは国内初展示とあって、多くの人の注目を集めていた。
新製品のFlowtech 100。こちらはVintenブランドモデル
ブースでは看板で100mmのボール径への対応をアピール
Flowtech 100は100mmのボール径に対応
すでに発売中のFlowtech 75の75mmボール径。比較の参考として掲載してみた
今年の同社ブースはFlowtech三脚の展示が中心で、Flowtech 100は約10台、Flowtech 75は10台から15台をずらりと並べて体験できるようになっていた。
Flowtech以外の三脚は、Flowtechと比較のために用意したという。たとえばスピードロックとFlowtechのスピード勝負や、ポジロックは重さの比較だったり、ダイヤル式のスプレッダーは操作の手間の比較するなど、Flowtechの特長を隅々体感できるようになっていた。
ブースの左半分はFlowtech 75、右半分はFlowtech 100のコーナーに分かれており、約10台ものFlowtech 100を展示。自由に体験できるようになっていた
VintenとSachtlerの2ブランドバージョンを発売
Flowtech 100はFlowtech 75と同じくVintenとSachtlerの2ブランドから発売される。Flowtech 100と75の機能はほぼ一緒で、ロゴと色の違いだけだ。100mmボール径であれば、VintenとSachtlerどちらのヘッドでも載るように共通化されている。
Sachtlerはドイツ、Vintenはイギリスのブランドだが、両ブランドのFlowtechの脚はイギリスで製造されている。Vitecグループは、2018年6月にイギリス・イングランド南東部のベリーセントエドマンドにAutocue、Autoscript、OConnor、Sachtler、Vintenの機材を製造する66,000平方フィートの工場を開設。こちらの工場にFlowtech三脚のカーボン素材を編み上げる特殊な機械を新規導入して、両ブランドのFlowtechが作られているという。
Flowtech 100はFlowtech 75と同じ、赤いロゴのSachtler(左)と水色のロゴのVinten(右)の2ブランドから発売
脚に使われる材質はカーボン製で、モータースポーツのカーボンファイバーを応用したもの。従来のカーボンより若干重いが、高密度に編み込むことにより強度を高めている。
気になるねじれはかなり堅牢に造られており、心配なさそうだ。この後に紹介するグラウンドスプレッダーと一緒に使うことにより、ほとんどねじれの心配はないといっていいだろう。
素早く高さを変更できるクイックリリースレバーを搭載
Flowtech 100の魅力は、なんといってもFlowtech 75で好評だったクイックリリースレバーの搭載だ。これまでの三脚は脚の上段と下段にブレーキ—が付いていてそれぞれ別に高さを調整する必要があり、瞬時に高さを調整することはできなかった。Flowtechのセットアップ方法は、一番上の手元に集約されたクイックリリースレバーを引き上げて三脚の必要な高さに調節し、高さが確定したらレバーを下げるだけで固定できる。この早さは世界最速級だ。
低い位置から高い位置へのセットアップの変更が数秒で行えるということは、撮りたいショットを逃す確率も低くなる。こういった意味でもかなり魅力的な三脚だ。
また、雨風や泥にも強い堅牢な耐久性を実現し、ちょっとやそっとでは壊れない。台風などの雨水や海水、砂が混入しても自動的に排出されるシステムも特長だ。
赤い部分がクイックリリースレバー
ワンタッチで脚部を開閉できるヒンジロック機構
Flowtech 75から引き続き、スプレッダーレスでも使用できるヒンジロックシステムも特長だ。ヒンジロックを解除して開脚した状態から脚を閉じると、各ロックポイントを通過するごとにクリックが聞こえて脚が開かなくなる。20°/46°/72°の三段階から状況に応じて脚の角度を調節できる。
ヒンジロックを解除すると開脚し、閉じていくと特定の角度でロックされてる
最も高く設定した状態は153cmだが、ヒンジロックを完全解除で90°に開くと高さは26cmとなる。しかも瞬時にこの高さに設定できるのは大変便利だ。
最も低くい26cmの状態
待望のグラウンドスプレッダーを展示
InterBEEで初公開されたグラウンドスプレッダーも大注目だ。これまでのグラウンドスプレッダーは、ノブ式のためにしゃがんでノブの調整をしなければならなかったが、新しいグラウンドスプレッダーはグレーのボタンを踏んで調整可能。立ったまま足で操作が可能なので、セットアップがとても楽だ。
数字が記入されているので、伸ばす位置を決められる。脱着もワンタッチで可能。Flowtech 75でも使用できる。単体の購入も可能で、価格は約7万円になる予定。
InterBEEで初公開されたグラウンドスプレッダー
グレーのボタンを足で抑えて伸縮させる
3ヶ所の伸縮位置は記入された数字を目安にできる
グラウンドスプレッダーは足で抑えて伸縮が可能
新製品のグラウンドスプレッダーはFlowtech 75にも対応する
Flowtech 75と異なるデザインの中間スプレッダー
Flowtech 100は、Flowtech 75の機能をそのまま踏襲しているが、中間スプレッダーだけは異なっている。Flowtech 100の中間スプレッダーは、ノブを回すことに4段階ごとにロックの位置を設定できる。取り付けもワンタッチで可能で、スプレッダー先端にあるリリースボタンを押し込み、セットするだけだ。
ちなみに、Flowtech 75の中間スプレッダーは機能的にはほぼ一緒なのだが、三か所止のアーム固定ノブを緩めたり、締める従来の方式のものとなっている。
Flowtech 100の中間スプレッダー。Flowtech 75とはデザインが違う
角度は4段階から選択できる
角度を平らにした状態
中間スプレッターは従来通り、ワンタッチで装着が可能
便利なキャリーハンドル
Flowtechは三脚の持ち歩きのスタイルも変えている。これまでの三脚は、カメラを外して肩に担いで持ち運ぶことが多かったが、Flowtechシリーズにはキャリーハンドルが用意されており、三脚を片手で持ち運ぶことができる。各脚は脚部固定用マグネットでが開かないように固定されるのも便利だ。
キャリーハンドルはFlowtech 75では別売りアクセサリーとして用意されていたが、Flowtech 100は標準で付属する。側面には、3/8のネジ穴のアクセサリードックが3ヶ所あり、小型のHDモニターをアームで搭載したり、Vマウントバッテリーを取り付けられるようになっているのもかなり使えそうだ。
キャリーハンドルは三脚にがっちり固定されている。取っ手はゴム製で覆われて持ちやすくなっている
ワンタッチで脱着可能なラバーフィート
Flowtech 75とFlowtech 100の共通機能として、ラバーフィートの取り付け方も新しくなっている。この原理を使ってパチンとワンタッチで取り外しや取り付けが可能になるように変更された。こちらも一瞬で脱着が可能だ。また、フィートのレバーがケーブルがひっかかってしまうトラブルが起きることがあったが、ケーブルがひっかからない丸みをもった形に変更されている。
ラバーフィートをスパイクの間に置き、レバーをロック位置に到着するまで持ち上げる
レバーはノブにケーブルがひっかからないデザインに変更されている
Flowtech 100では三脚と中間スプレッダーセットの販売も開始
Flowtech 100は、従来の三脚とヘッドのセットのほかに、Flowtech 75にはなかった三脚と中間スプレッダーのヘッドなしセットの販売も行われる。「Flowtech 75の三脚のみ購入したい」という声が多かったが、供給の問題でヘッドとのパッケージ販売を行っていたという。Flowtech 100では、そんな要望に応える形で三脚と中間スプレッダーのセット販売を実現したとのこと。価格は約40万円を予定している。
もちろん、従来通りのヘッドを付けたタイプも用意されており、Flowtechとヘッドをセットした値段を考えるとお買い得な価格といえるだろう。Flowtech 100の中間スプレッタータイプは2018年12月発売予定。グラウンドスプレッタータイプは2019年1月受注開始を予定している。
ヘッドもつけたタイプも発売中で、Sachtlerブランドのシステムパッケージの例になるが、FSB10ヘッドからVideo 18ヘッドまで5種類をラインナップ