ハリウッドスタジオ、デジタルコンテンツ配信会社やメディアテクノロジー企業が集まったコンソーシアムDigital Entertainment Content Ecosystem(以下:DECE)は、デジタル著作権ロッカーシステム「UltraViolet」を7月31日に終了することを発表した。DECEは、ハリウッドコンテンツのデジタル配信のための一連の規格を策定するために結束したコンソーシアムで、UltraVioletはメディア業界の「ユニバーサルDRM」として、規則を管理するためのバックエンドシステムの一環であった。

UltraVioletデジタルロッカー(UV)サービスは2011年に、ディズニーを除く主要ハリウッドスタジオの支援を受けて登場し、Lionsgateや独立系スタジオ、WalmartのVuduサービス、FandangoNow、Sony Picturesのようなスタジオによって運営されているオンラインサービスと提携している。DECEによると、UVには現在、3,000万人以上のユーザーアカウントがあり、ユーザーは3億以上の映画やテレビ番組コンテンツをライブラリに保管しているという。

UVサービス終了について、DECEは順次ユーザーに通知するとしている。サービスは終了しても、コンテンツメディアを購入した販売店とオンライン配信サービスのサポートは持続するようで、ユーザーには既存の保存ライブラリを削除しないよう呼び掛けていく

例えばWalmart系列のオンラインビデオサービスVUDUの場合、VUDUのアカウントを持っているユーザーならば、DVDやブルーレイに同梱されていた期限切れのUVコードを使ってVUDUのオンラインからコンテンツを再購入することができる。UVは、イギリスやフランスなど国際的サービスへと広がっていたが、今後の米国外ユーザーへのサポートについては明らかになっていない。

UVが終息に向かう背景には、オンラインコンテンツの多様化、コンテンツサービスの多角化が影響している。ディズニーは2014年に開始した独自のデジタルロッカー「Movies Anywhere」に加えて、同ネーミングのオンラインサービスを2017年10月に開始しており、ディズニー、20世紀フォックス、ソニーピクチャーズ、ユニバーサルピクチャーズ、ワーナーブラザーズの5つの主要スタジオからの新作を含む、7,500以上の最強コンテンツを提供している。2018年末の記録ではユーザー数は米国内で600万人以上、コンテンツダウンロード数は1億5000万という。

UVと大元のDECEは、ディズニー以外にもApple、Google、Amazonといった大手企業からの支援を受けていない。加えて昨年から20世紀フォックス、ライオンズゲート、そしてユニバーサルは、それぞれリリースした新しいコンテンツでUVのサポートを止めている。

(ザッカメッカ)