Blackmagic Designの発表によると、Panic! At The Discoの最新ミュージックビデオ「Dancing’s Not A Crime」が、URSA Mini ProとBlackmagic Pocket Cinema CameraでBlackmagic RAWを使用して撮影されたという。同ビデオはブランドン・ダーマー氏によって撮影された。

同ミュージックビデオは、同バンドのリードシンガー、ブレンドン・ユーリーを模倣した人形のBeeboが、ライブコンサートのバックステージへのアクセスを認められたものの、パーティーで遊びすぎ、バンドと交流するチャンスを逃してしまうというストーリー。この人形の原案者であるユーリー氏は、同ビデオのコンセプトを思いつき、監督のダーマー氏に連絡した。

「『Dancing’s Not A Crime』では、BeeboをPanic!のコンサートに溺れさせることを表現しようと考えました」とダーマー氏。制作チームは、予定通りの撮影にURSA Mini Pro、予定外の撮影にPocket Cinema Camera 4Kを使用した。「想定外の驚きの瞬間をPocket 4Kで撮影できたことが大きかったです」と、ダーマー氏。

撮影は主にドキュメンタリー形式で行われたが、ほぼ全ショットで人形が使用されたため、難易度は高かったという。「人形の使用は特殊効果ですが、多くの人はそれが特殊効果ということを忘れてしまいます」とダーマー氏はいう。ヴォイチェフ・キエラー撮影監督が率いるカメラチームは、Blackmagic Designカメラの柔軟性が重宝したと話す。

キエラー氏:私にとって、また今回のプロジェクトにとって、URSA Mini Proの優れた点は、カメラが軽いことと、それにも関わらず強烈なイメージを撮影できたことです。今回はラン&ガン撮影(撮ってすぐに移動する撮影方法)だったので、すべてハンドヘルドで撮影しました。4K撮影が可能で、15ストップのダイナミックレンジに対応しており、かつ腕が疲れないカメラは非常に重宝しました。

制作チームはBlackmagic RAWでの撮影を選択し、結果にも満足しているという。

キエラー氏:ダイナミックレンジは最高でした。コンサート会場での撮影は、非常に暗い瞬間や非常に明るい瞬間があります。このカメラはすべてに対応できました。

Blackmagic RAWを使用したことで、何も変更せずに長時間撮影することができた。これは、ライブイベントですばやく撮影を行う上で重要なポイントだとしている。

ポストプロダクションでは、カラリストのライアン・マクニール氏がDaVinci Resolve Studioでプロジェクトのフィニッシングを行った。同氏は、Blackmagic RAWはCinema DNGより大きく進歩していると話す。

マクニール氏:すぐに2つの優れた点が分かりました。カラースペースは素晴らしく、カメラRAW設定にアクセスできました。調整も可能でしたし、私と撮影監督が話し合う上でも役立ちました。また、私にとってコーデックの効率性は最も優れた点でした。再生は滑らかで、他のコーデックと比較してもはるかに効率が良いと思います。

ダーマー氏とキエラー氏は、Blackmagic Designカメラで撮影した画質と、マクニール氏との共同作業という2つの意味で、同ミュージックビデオのカラー調整も大いに楽しんだ。

キエラー氏:ライアンがポスプロで行う作業は、非常に素晴らしいものです。デジタルフィルムにおいて、カラーの作業は撮影の延長線上にあります。ライアンのように、真のアーティストでありテクノロジーにも精通している人物と仕事をすることは非常に重要です。彼は、私が想像もしなかったことを実現してくれるからです。私は彼に対し、可能な限り優れたイメージを渡すことに力を注いでいます。したがって、URSA Mini Proで撮影したBlackmagic RAWのイメージについて彼から良いフィードバックが得られた時、私は大変嬉しかったです。