アプリの編集機能が機能しているライブストリーミングのオールインワン器機登場
今年のATENジャパンブースは、新製品が多い。その中でも一風変わった存在感を放っているのが「StreamLIVE HD UC9020」だ。サイズが小さいけれども高い機能性を持ったシンプルなライブストリーミングスタジオだ。ライブストリーミングのために必要なものはすべて用意されていて、コンピュータやモニター、複雑なソフトウェア設定も必要ない。そんな気になるUC9020の機能について、ATENジャパンの取締役 企画本部長のJovi Chan氏にお伺いした。
――StreamLIVE HD UC9020というのはどのような機材なのでしょうか?
UC9020は、iPadと組み合わせて使うポータブルでオールインワンのマルチチャンネルAVミキサーです。これまでYouTubeでライブ配信をしたい場合は、スイッチャーやオーディオのミキサー、映像の編集などの機材をそれぞれ準備する必要がありました。
UC9020を使えば、1080pビデオキャプチャ、ビデオスイッチ、ストリームを統合するミキサーデバイスブロードキャスター、ビデオコンバーター、ビデオスプリッター、オーディオミキサーをこの1つのコンパクトなボックスだけで可能になります。
YouTuberもこれ一台買うだけでも、すぐにライブ配信が可能なのが特徴です。国内では2019年11月中に発売予定です。
また、iPadは「iPad Pro」「iPad」「iPad Air」「iPad Mini」のすべてに対応しております。
――御社の製品の中でも、UC9020は新しいカテゴリーに属する製品のようですね。
当社には、「VanCryst」(ヴァンクリスト)と呼ばれるビデオソリューションの専門シリーズのラインナップがありますが、そちらのほうの開発チームではなくて、今回はSOHO向けの製品開発のほうのチームが作った製品になります。ターゲット層としてはYouTuberやコンシューマー向けのほうのお客様をメインで考えています。
ただ、UC9020は、一般のそのコンシューマ向けだけでなく、セミプロフェッショナルクラスにも十分使える仕様になっているというところが、この製品の面白いところです。
たとえば、生放送中にリアルタイムでテロップをいますぐに流したいときに、あらかじめ作っておいた素材を表示したり、その場で入力しておいて盛り上げることが可能です。
――これまでのハードウェア単体のスイッチャーと違って、テロップやレイヤーで編集できるビデオミキサー機能が特徴ですね。アプリはどういった使い勝手なのでしょうか?
UC9020のアプリは、App StoreからダウンロードできるATEN OnAirアプリになります。UC9020のコントローラーとしてだけでなく、モニター、画像レイアウトの編集、PIP設定の調整が簡単に可能です。画面上の右が実際に今ストリーミングを配信しているPGMプレビュー、左がその次のシーンのプレビュー画面のPRVプレビューなります。
例えば、プレビュー画面で画像の重なりを修正したい場合は、レイヤー編集で簡単に修正ができます。素材はPNGの透過型で用意していただいて、何枚も映像に重ねることが可能です。
また、事前に編集が終わったあとに、本体にメモリーが搭載されていて記録できます。事前に8つのシーンの編集を終えて記録をしておけば、iPadがなくても本体単体だけでも実は使えます。
プレビューをその場で確認しながら配信したいならば、iPadをつなぐことをお勧めします。かつ、途中で間違いに気がついても、すぐにその場で編集ができるというところが、UC9020の一番評価をいただいているところです。
――UC9020のビデオ入力環境はどのようになっていますか?
裏側をみていただくとわかりますが、4K HDMI入力ポートが1つと1080pHDMI入力ポートは2つの3つのHDMI入力ができます。
その3つのビデオ入力に対して、ピクチャインピクチャ機能や映像を重ねた演出をできるようになっています。ピクチャインピクチャ機能は大きさや位置を変えられます。編集が終わって、アプレイボタンを押した瞬間に配信のほうに反映される形になります。
――ライブストリームの対応はいかがでしょうか?
2つライブストリーミングプラットフォームをセットアップできます。あらかじめ申請をしていたサーバーURLとストリームキーを入力してそれぞれ2つ登録ができます。本体のGoLiveボタンを押すと、登録したURLのほうにストリーミングを開始、もう一度押すと停止します。配信は、登録したURLの1つか2つ同時にできます。
ちなみに、ATEN OnAirアプリには、オーディオミキサー機能も搭載されています。HDMIキャプチャ入力1つ、ダイレクトにつないでいるライン入力1つ、マイク入力1つなどを全部ミキシンしてストリーミングで流せるのも特徴となっています。
True 4K解像度、HDR10に対応したビデオマトリクススイッチャー登場
ATENジャパンブースでは、マトリクスのスイッチャーの新製品もいくつか展示されていた。
1つが、「VM6404HB」で、ATEN初のTrue 4K、4K HDR、60対応のマトリクススイッチャーだ。これまでの対応する4K解像度は、4,096×2,160@30Hz(4:4:4)、4,096×2,160@60Hz(4:2:0)までだったがTrue 4K規格への完全対応を特徴としている。4入力、4出力に対応しており、最近のHDRの規格のHDR10+、HDR10、Dolby Vision、HLG(Hybrid Log Gamma)すべてのHDRに対応している。
もう1つが、上位機種の32入力、32出力に対応できるマトリクススイッチャー「VM3250」。先ほど紹介したVM6404HBと同じで、シームレスの切り替えが可能。True 4K高解像度対応で、かつソースの切り替えの間にまったく黒画面がないというような処理を中のプロセッサで行っている。
地上波、BS、Cの4K放送を行う放送局もしくはポストプロダクションの現場に使われているほか、店舗や公共施設でよく見かけるビデオウォールでも使われているという。
マトリクススイッチャー「VM6404HB」
マトリクススイッチャー「VM3250」
ミキサーも含めた一体型や外部制御対応可能で、コストを抑えた4Kプレゼンテーションマトリックススイッチャー「VP1421」登場
今回初お披露目の4Kプレゼンテーションマトリックススイッチャー「VP1421」もブースの目玉展示だ。特徴は、一台でいろいろ揃っている。HDBaseT自身のトランスミッター、音声のミキサー機能、HDMIの入力ができてスイッチングが可能だ。
これまでは、ビデオマトリクススイッチャーとミキサーは別に用意されて、プロジェクターやディスプレイと組み合わせて会議室や教室のシステムを組むのことが多かった。
VP1421は、一台に映像入力、映像入力もHDBaseTも搭載している。映像にミキサーも内蔵しているということで、これだけでも音量の調整なども可能にしている。
入力はHDMI2つ、HDBaseT1つ、VGA1つの合計4つ。HDBaseT対応により、別々にソースからスイッチャーまでの間を伸ばすための延長器も必要ない。だいたいよく使うインタフェースが1つにまとまっているので、外部の機材を買い足す必要はないということも特徴だ。
出力は、HDMI1つ、HDBaseT1つの2つあり、HDBaseT対応のプロジェクターであればそのまま直結できる。受信機や延長器を用意する必要がないので機材の点数を少なくできる。
特にミキサーとかもすべて一体型にしており、全体的な金額もかなり小さくできる。かつ、外部制御対応も可能なのがVP1421の特徴だ。