DaVinci Resolve Studio事例：「エルム街の悪夢3 惨劇の館」リメイク版の場合

Blackmagic Designの発表によると、「エルム街の悪夢3 惨劇の館」のリメイク版において、同作品を象徴するいくつかのシーンのリメイクにDaVinci Resolve Studioが使用されたという。この作業を担当したのは、オリジナル版の撮影監督、ASCのロイ・ワグナー氏。ワグナー氏が自身の作品の再撮影に踏み切った理由は、フィルムメイキング技術がどこまで進んでいるかを示すことだった。同氏は、DaVinci Resolveを使用して、撮影現場でのグレーディングと編集、さらにカラーコレクションとフィニッシングを行い、1987年に35mmフィルムで撮影されたオリジナル版と一致するルックを作り上げた。

現代のフィルムメイキング技術の実践として考案されたこのプロジェクトでは、オリジナル版と一致する建物セットが必要だったが、照明やカメラ、ポストプロダクションなど現代のツールを駆使して当時のルックが再現された。

ワグナー氏：Blackmagic製品は、カメラからDaVinci Resolve Studioまで、様々なプロの仕事で使用しています。

しかし、通常とは異なり、民生用カメラで撮影したフッテージでDaVinci Resolve Studioを使用したのは今回が初めてでした。携帯電話などで撮影すると、煙や高コントラストの照明、黒に近いシャドウ、強めのハイライトを処理するのが難しくなります。しかし、DaVinci Resolve Studioであればこの問題に対処できることは分かっていました。

DaVinci Resolve Studioは、このプロジェクト全体を通して使用された。制作チームは、DaVinci Resolve StudioをインストールしたワークステーションとDavinci Resolve Micro Panelを撮影現場に導入し、特定のルックを適用しながら撮影することで、目的とするスタイルが達成できることを確信しながら作業を行った。DaVinci Resolve Studioでオリジナル版と新しいフッテージを並べて比較し、リアルタイムで色の変更も行った。

DaVinci Resolve Studioは、撮影現場のほか、ポストプロダクションで編集とカラーコレクションにも使用されたので、他のソフトウェアに切り替える必要が一切なく、厳しいスケジュールの中でもスピーディな処理が可能となった。監督のルーカス・コロンボ氏は次のようにコメントしている。

コロンボ監督：撮影現場でカラーも編集もできたので、非常に良いスタートを切れました。

1つのソフトウェアですべての作業ができたので、このプロジェクトをわずか2日で完成させることができました。

その過程では、コロンボ監督はDaVinci Resolve Studioの高度なツール群を使用してフッテージの質を向上させ、視覚的な問題を解決することができたという。

コロンボ監督：カメラの能力を駆使して撮影した映像には感心しましたが、不要な圧縮アーチファクトやノイズがあることは予想していました。

しかし、それらの問題をDaVinci Resolve Studioでいとも簡単に解決できたのは大きな喜びでしたね。カラーページの時間的ノイズ除去ツールを使用して、ミッドトーンディテールをいくらか下げました。これにより、驚くほど滑らかでフィルム的なルックになったのです。その結果は、何もレンダリングせずにリアルタイムで確認できました！

ワグナー氏は、オリジナルシーンの撮影には1週間を要したが、リメイク版は1日で完了したことが、新しいテクノロジーを証明していると振り返る。作品が完成した後、コロンボ監督は、このプロジェクトはDaVinci Resolve Studioしでは不可能だったと感じたという。