YouTubeのHTML5ビデオプレイヤーにある720p設定からHDのタグが消えていることに気が付かれただろうか?YouTubeのプレイヤーでは、一般的に“FHD(フルHD)”として知られる1080p(画素数1920×1080)のコンテンツをHDと定義するようになった。
パンデミックのさなか、YouTubeはネットワークのトラフィックと帯域確保の施策として、標準解像度SDでの視聴をデフォルトにする展開を、グローバルで行っている。HDでコンテンツを観るには、都度、設定でHDに変更しないと観られないようになっている。
今までは、360pまたは480p(画素数720×480)のストリーミングコンテンツは「標準解像度SD」で、720p(画素数1280×720)と1080p(画素数1920×1080)はHDとして分類されていた。720pフォーマットといえば、10年前では「高精細度ビデオ」に分類され、HDTVで使用されていた2つのフォーマット(720pと1080i)の1つであった。何が画像の品質に影響を与えるかについて深堀されずに「ピクセルが多いほど良い」という概念が定着しているが、実際、一般の視聴者の肉眼では、スマートフォンのディスプレイやPC上で鑑賞する720pと1080pの画質差異は、わずかにしか感じられない(同じフレームレートと仮定)。
YouTubeでは、動画コーデックをH.264/VP9/AV1の3種類を使い分けているようだが、720pと1080pの配信ビットレートの差は1.5倍ほどになり、視認による画質差異感よりも大幅に違う。よってYouTubeは、ネットワークのトラフィックを抑制しながらもユーザーの視聴エクスペリエンス品質を保つために、このタイミングで720pからHDバッチを外したのかもしれない。
(ザッカメッカ)