Blackmagic Designの発表によると、人気バンドMisterWivesの新曲「Rock Bottom」のミュージックビデオの撮影に、Blackmagic Pocket Cinema Camera 6KとBlackmagic RAWが使用されたという。同ミュージックビデオのカラーコレクションには、DaVinci Resolve Studioが使用された。
MisterWivesはアメリカのインディーズバンド。「Rock Bottom」は、同バンドの新アルバムの一曲目を飾るトラック。「Rock Bottom」のミュージックビデオは、ジェイド・エラーズ氏により撮影・グレーディングされ、2020年4月下旬に公開された。
「Rock Bottom」ミュージックビデオ
同ミュージックビデオの中で、バンドのリードボーカル、マンディ・リーは、最初カリフォルニアのビーチや砂丘を歩いているが、いつしか鏡の中に入り込み、そこでダンスフロアで演奏するバンドメンバーたちを見つける。前半は薄暗いグレーの背景で始まるが、マンディが鏡の中に入り込むと、鮮やかなネオンカラーや様々なテクスチャーが入り混じり、バンドメンバーが待つダンスフロアでのきらびやかなシーンへと繋がっていく。
バンドメンバーが望むルックをキャプチャするため、撮影は複数のロケーションで様々な時間帯に行われた。これらのロケーションには人気のないビーチやの砂丘も含まれており、エラーズ氏と少人数の撮影チームは、カメラや照明などの機材に加え、45キロ超の鏡もすべて持ち運ばなければならなかったという。
エラーズ氏:全体を暗いトーンにして、ネオンカラーを目立たせることで、光は暗闇の中でこそ輝くということを示したかったんです。暗闇の中で縮こまっているのではなく、トンネルを抜けるために動き出そうというこの曲のメッセージを伝えるために、ミュージックビデオを完璧にキャプチャーする必要がありました。
Pocket Cinema Camera 6Kは小型ながらも高ダイナミックレンジに対応しており、低照明条件での撮影も可能であったため、エラーズ氏は曲のイメージに合ったロケーションで撮影できたという。
正直な所、すべてのシーンで撮影状況が大きく異なっていました。今回の撮影では徒歩での遠征が多かったので、低照明でも対応可能なカメラが必要だったんです。ビーチはかなり辺鄙な場所で、私たちはすべての機材を歩いて運びました。小さなカメラバッグにすべてを収納できたのは助かりましたね。
少人数の撮影チームで撮影現場まで徒歩で行くことを考えると、荷物は軽ければ軽いほど良いので、ブレ防止に10キロほどの重量のリグではなく、小型のリグを使用できることが重要でした。砂丘で1万3000歩くらい歩き回ったんですよ!そしてMVに出てくる鏡の重さは45キロ以上でした。ワンシーンのために、この鏡を持って砂の上を1マイルも歩いたんです。もちろん、その甲斐はありました!このMVは、血と、汗と、涙の結晶なんです。
ミュージックビデオ全体を通して、エラーズ氏は全く異なるデクスチャーや、予想しなかった光の問題に直面した。例えば、ふわふわした緑色のドレスの纏ったマンディが、グレーの砂丘を背景にしているシーンなどである。また、ダンスフロアのシーンで、黒い床に思っていたほど光が当たっていなかったことも問題であった。これを相殺して必要なショットを得るために、エラーズ氏はPocket Cinema Camera 6Kの13ストップのダイナミックレンジ、最大25600のデュアルネイティブISO、そしてBlackmagic RAWコーデックを使用して、高品質の生き生きとしたカラーとスキントーンを実現したとしている。
カメラセンサーのビット範囲のおかげで、ドレスを調整して少し目立たせることができました。これは非常に優れた機能で、時間も大幅に節約できました。ダンスフロアのシーンはとても良かったのですが、想像していた以上に難しかったんです。必要な露出を得るために、カメラのISOを限界まで上げる必要がありました。Pocket Cinema Camera 6Kは、この両方のシーンのビジュアルを強調できる機能を備えていました。