Blackmagic Designの発表によると、リベンジアクション・スリラー映画「Beckman」が、Pocket Cinema Camera 4KでBlackmagic RAWを使って撮影され、DaVinci Resolve Studioでグレーディングされたという。同作にはデビッド・A・R・ホワイト、ビリー・ボールドウィン、ジェフ・フェイヒー、バート・ヤング、ブライトン・シャルビノらが出演している。

デビッド・A・R・ホワイト演じる“ベックマン”は、苦悩を背負った殺し屋。暴力の世界から離れ、ロサンゼルスの小さな教会の牧師となった。3年の間、過去を忘れようと努力してきたが、養女であるタビサ(ブライトン・シャルビノ)が、カルトの教祖(ビリー・ボールドウィン)と人身売買組織の集団に誘拐されてしまう。

怒りにかられ復讐に燃えるベックマンは、隠居生活を打ち切り、街を血で染めることを決意する。ベックマンを止められるのは、新たに芽生えた信仰心だけである―彼が信仰心を忘れなければ、運命を変え、自身の魂を救うことができる。というストーリー。

脚本/監督を務めたガブリエル・サブロフ氏が「Beckman」に着手したのは、ホワイト氏がシリーズ物の復讐スリラーの作成を持ちかけた2018年の秋であった。

サブロフ氏:もともと「Beckman」は、7つのエピソードのうちの1つとして思いついたものです。私たちの好きないくつかの復讐映画のエレメントを抜き出して混ぜ合わせたような、単純な復讐のストーリーでした。

制作チームは、いくつかのエピソードをまとめて将来的に1本の劇場映画にすることを目指していた。しかし、制作が始まりすべてが順調に運ぶと、エピソードシリーズにする代わりに、劇場映画として「Beckman」だけにフォーカスを当てることを決断した。

撮影に関しては、サブロフ監督は予算を考慮する必要があった。予算が限られていたため大勢のスタッフを雇う余裕はなかったが、劇場品質の映像は必要不可欠であった。Pocket Cinema Camera 4Kは、理想的なソリューションに思えたという。

低予算のインディーズ映画の撮影はスピード勝負です。特に低予算で大掛かりなアクション映画で、1日に20以上のセットアップで撮影しなければならない場合はなおさらです。撮影に数名のスタッフを必要とするような大型のカメラは適しません。また、大型のカメラはエスタブリッシング・ショットやBロールをすばやく撮影したい場合にも、不必要な注目を浴びてしまいます。

大きさと使い勝手の良さがキーポイントである一方、価格も等しく重要であった。

様々な制作スタイルを模索していたので、「Beckman」で使用する機材は、できれば所有したいと考えていました。脚本がエビソード用のものだったので、5ヶ月に渡って週末に撮影することで、制作を分散させることができました。つまり、私たちにとっては、機材を買うという選択がベストだったのですが、小型で低価格ながらも超高品質のPocket Cinema Camera 4Kはニーズにぴったりでした。完璧なソリューションでしたね!

シネマトグラファーの役割も務めたサブロフ監督は、Blackmagic RAWで撮影することを決めた。常に完璧な照明を得られるとは限らないという撮影状況を考慮してのことである。

Blackmagic RAWで撮影することで、一貫性のない照明や色温度の混在を簡単に修正できました。インディーズ映画では、ベストなロケーションで撮影できないことがよくありますが、Blackmagic RAWフォーマットでは、実際より撮れ高が高くなりますね。今回のプロジェクトでは、何の変哲もないロケーションでの撮影が多く、照明やクリエイティブなグレーディンを駆使して色気のあるルックを作る必要があったため、これは非常に重要でした。

ポストプロダクションでは、サブロフ監督はDaVinci Resolve Studioを使用した。同氏は予告編のグレーディングを自分で行い、本編のグレーディングは、Filmpoolのカラリストであるエリック・ヤルカット・チェイス氏と共同で行った。サブロフ監督は、埃っぽくコントラストの強いフィルムのようなルックを希望していた。

Blackmagic RAWを使用することで常に最高品質で自然な映像を得られるので、あとはカーブで微調整するだけでした。DaVinci Resolve Studioは「Beckman」ワークフローのMVPですね。これらのツールを駆使したことで、低予算のアクション映画をハイクラスの作品のように仕上げることができました。私はカメラマンとしての経験こそありますが、スペシャリストではありません。

グリップなしで撮影し、照明やカメラ専属のスタッフもいなかったので、Blackmagic RAWで“安全な”イメージを撮影し、ポスプロでルックやスタイルを改善する方法を採りました。

サブロフ監督は、Pocket Cinema Camera 4Kは価格や品質の面だけでなく、信頼性の面でも正しい選択であったと振り返る。

このカメラはパーフェクトに機能したので、現場で話のネタになることもありませんでした。機材が壊れたり暴走したりするようなことが、現場で一番面白いネタなんです。例えば、100マイルドライブして替えのカメラを取りに行ったとか、あるいは即席のアイスボックスでカメラを冷やさなくてはならなかったとか、そのような話です。

今回の撮影で、Pocket Cinema Camera 4Kではそのようなエピソードは生まれませんでしたね。カメラはこうあるべきですね。

「Beckman」は9月22日より、Universal Home VideoデジタルおよびDVDで公開予定。