記事のタイトル

Blackmagic Designの発表によると、Visible Studiosが世界的な大ヒットシンガーであるトーンズ・アンド・アイの最新ミュージックビデオ「Fly Away」のカラーコレクションおよび編集にDaVinci Resolve Studioを使用したという。DaVinci Resolve Studioは、出演者が宙に浮かび、空を飛ぶシーンなどのVFXと空の置き替えにも使用された。

トーンズ・アンド・アイの最新曲「Fly Away」は、2020年11月にリリースされた。この曲は、夢を追い、幸せを求めることを歌っており、聞く人のモチベーションを高める楽曲だ。同作では、草原でトーンズ・アンド・アイが熱唱する中、後ろでダンサーが次々と宙に浮かんでいく。

発表から1週間以内に数百万回の視聴回数に達した同作の撮影およびポストプロダクションは、メルボルンのVisible Studiosが行った。同社のプロデューサー兼カラリストであるティモシー・ホワイティング氏、エディター兼ディレクターのニック・コザキス氏、リアム・ケリー氏は、トーンズ・アンド・アイの大ヒット作「Dance Monkey」のミュージックビデオの制作にも携わっており、本作の制作にDaVinci Resolve Studioを使用することに決めた。また、カラーコレクションにはDaVinci Resolve Mini Panel、編集にはDaVinci Resolve Editor Keyboardが使用された。

トーンズ・アンド・アイのミュージックビデオその1

ポストプロダクションのほとんどをDaVinci Resolve Studioで行うことで、厳しい締め切りに間に合わせる大きな助けになったという。

ホワイティング氏:今回のビデオは非常に短納期で、メルボルンは都市封鎖が解除されたばかりの状態で、曲のリリース前にクリップを仕上げる必要がありました。作業は可能な限りDaVinci Resolve Studio内で行うようにしました。幸いにも、ちょうどメルボルンの都市封鎖が解除された時期でした。

しかし、ロックダウン中に様々なことを学んだので、解除後もDaVinci Resolve Studioを使って自宅で作業を行い、DRPを必要に応じて互いに送信し合いました。はるかにリラックスした仕事の仕方だったと言えますね。VFXアーティストは、各クリップのレンダリングが非常に簡単に実行できました。

本作では、金曜日の午後にフッテージを受け取り、月曜日までにはポストプロダクションを完了させる必要があった。撮影終了後、毎晩コザキス氏とケリー氏はフッテージを編集し、DRPファイルを書き出して、ホワイティング氏がカラーコレクションに取り掛かれるようにしたという。ホワイティング氏は、まず多数のVFXソースショットのグレーディングを行い、好天に恵まれず、撮影では得られなかった晴空にするため、空の置き換えを行った。

DRPを受け取り、読み込みが完了したら、DaVinci Resolve Studioのカラーページですぐに作業に取り掛かれました。VFXソースショットからまず取り掛かり、空の置き換えを行い、空を飛ぶ人々を作成するためにコンポジター用にいくつかのショットを書き出しました。その間、DaVinci Resolve Studioのカラーページで3Dキーヤーを使用して別の合成を完了させました。

レーベルからのフィードバックを受け、編集の一部に小さな変更がありましたが、それらの変更はDaVinci Resolve Studioのカラータイムラインで適用できたので、再コンフォームする必要はありませんでした。空を飛ぶショットは日曜日に仕上げ、月曜日の朝に最終的な空の置き換えを行い、カラーグレーディングを施し、その日の午後にマスターを納品しました。これら全てを撮影終了からわずか3日以内で行いました。

トーンズ・アンド・アイのミュージックビデオその2

本作は、ソフトでクリーンなイメージに満ちており、水中、広々とした草原、キャンドルの明かりで照らされた部屋、明るい光が差し込む暗い部屋など様々なショットを含んでいる。DaVinci Resolve Studioのカラーコレクションツールは、求めていたルックにするための微調整に活躍したという。

撮影監督のカール・アリソンはクリーンでソフトでありながら、イメージにある種のムードと形を求めていました。DaVinci Resolve Studioではイメージをソフトにでき、輝きを与えることができました。また、カラーツールでコントラストを選択的に追加しました。草原でのショットは、草の色を変え、イメージを全体的に明るくし、空を置き換えて、明るく幸せな雰囲気のルックに仕上げました。

同作のシーンの一つである、暗い部屋の中から出演者たちが明るい光を見ているショットにも、DaVinci Resolve Studioを使用したと同氏は語る。

撮影監督のカール・アリソンと照明のブランコ・グラボバックがウィンドウ越しに照明を照らし、左右にパンしてエフェクトを作り出しました。それをDaVinci Resolve Studioのブルームと光線エフェクトで強調しました。窓を通して、登場人物それぞれの夢を垣間見るエフェクトを作り出すために、左の窓に光線を追加しました。

トーンズ・アンド・アイのミュージックビデオその3

DaVinci Resolve Studioは、宙に浮かぶシーンと空のシーンで特に便利だったという。出演者が宙に浮かぶシーンは、Showtech AustraliaがVisible StudiosのVFXスーパーバイザーであるテオ・トゥーレン氏と共に制作した。俳優達をグリーンバックの前でワイヤーに吊るした形で撮影が行われ、草原で撮影された空が背景プレートとして使用された。

草原での撮影では、美しい夕焼けになることを期待していたのですが、残念ながらどんよりとした灰色の空模様となってしまいました。キー、Power Window、FXプラグインのマッチムーブをDaVinci Resolve Studioのカラーページで使用することで、空を完全に置き換えることに成功しました。

また、俳優達の足が宙に浮かんでいくショットを撮影する頃には、日が沈んでいました。これに対処するためにショットの露出を上げ、ショットを夜から昼に変換し、次にノイズを減らし、草をキーイングし、日没前に撮影したショットの草の色とマッチするようにカラーコンプレッサーを使用しました。最後に、空を置き換えて昼のショットに変身させました!