Y.D.S. pro shopは、同社取り扱いブランドHOLLYLANDのワイヤレス映像伝送システム「Mars400s pro」が屋外使用可能になるアップデートを公開した。屋内でのみ使用可能だったMars400s proが、屋外OKになるとあって話題だ。そこで、HOLLYLAND国内代理店Y.D.S. PRO SHOPの八島伸行氏に今回のアップデートについて話を聞いてみた。
■これまでのMars400s proはなぜ屋外使用は禁止、屋内のみ使用可能だったのでしょうか?
HOLLYLANDのMarsシリーズは5GHz(5.2GHz)帯の電波を使用しています。 屋外で5GHz帯の電波を使用する場合、[人工衛星に影響を与えない(上空側へ強い電波が出ない)工夫が施された専用機器を利用する。]という条件が付きます。
この条件を回避できないために屋内利用に限定されていました。
●参考URL:無線LANの屋外利用について――なぜアップデートで屋外での使用可能になるのでしょうか?
簡単に言うと先ほどの屋外で利用するための条件「人工衛星に影響を与えない(上空側へ強い電波が出ない)工夫が施された専用機器を利用する」をクリアする機能を実装しました。
DFS(Dynamic Frequency Selection)という機能ですが、周囲で使用されている気象衛星など干渉してはいけないレーダー信号を検出します。つまり衛星の電波を検出する場所ではそのチャンネルは使用できないということです。もし検出した場合、Mars400s Proは動的に使用するチャンネルを変更します。
――アップデートによって通信品質、画質劣化、最大到達距離に変化はありますか?
特に変化はありませんが、DFSによる電波検出のための時間が必要となりDFS機能が働く3ch〜8chでは接続に1分半ほどかかります。
――野外で使用できる以外の見逃せない改善点はありますか?
これまで日本バージョンは5.2GHzの4チャンネルだったものが8チャンネルに増えました。5〜8chは5.6GHz帯を使用します。この仕様変更に伴い技適番号を取り直しました。
この仕様変更により本体への技適番号の表示変更は必要ありません(総務省確認済み)。
――今回のファームウェアは本国(hollyland-tech.com)では公開されていない日本向けのリリースとのことですが、国内代理店からの要望みたいな形で実現したものでしょうか?
2020年の2月ごろから要望は出していました。前向きに検討するが、技術的に難しい。テクニカルのスタッフと相談すると返答。DFS機能が搭載されれば革命的な商品になると説得しました。開発に半年から1年かかると言われましたが、それでも可能なんだ、やってくれるんだ、と期待しました。
5GHz帯で屋外使用ができるワイヤレスは他にもありましたが、業務で使用するにも躊躇するほどの値段です。かと言って2.4GHzのワイヤレスは飛ばないし、切れるし、使いたくない。なんとかDFSを実現して欲しいと頼みました。
思ったより早く新ファームウェアの知らせが届き公開にいたりました。HOLLYLANDはユーザーや我々代理店の声を大切に考えてくれる、本当に良いメーカーだと思います。
――今回のアップデートはMars400s proのみ対象ですが、今後別機種でも対応する可能性はありますか?
何らかのアップデートはあるでしょう。今はこれ以上のお答えは出来かねます(笑)。