© Daniel Power/Focus Features
Blackmagic Designの発表によると、LAに拠点を置くビジュアルエフェクト(VFX)スタジオMoving Targetが、新作映画「Land(原題)」で、VFX/モーショングラフィックソフトウェア、Fusion Studioを使用したという。
2021年サンダンス映画祭でプレミア公開された「Land」は、アメリカの厳しい大自然の中で、人生の意味を模索する一人の女性の姿を描く感動のストーリー。ロビン・ライト演じるエディは、大きな悲しみの後遺症から抜け出せず、かつて属していた日常に留まることができずにいた。不安に苛まれたエディは、広大で厳しいロッキー山脈に引きこもる。デミアン・ビチル演じる地元のハンターがエディを死の淵から救い出し、エディは再び生きる道を模索することになる。
合成スーパーバイザーを務めたジェレミー・ネルソン氏は、大自然の天候を強調するなど、同作のVFXシーケンスにFusion Studioを使用した。
ネルソン氏:同作のストーリー展開では、"雪"が重要な役割を果たしています。このためいくつかのショットでは、Fusion Studioの3Dパーティクルシステムを使って気象現象を作り出しています。パーティクルの作業を他のVFXアーティストに任せるのではなく、Fusion Studioのツールを使って自分で迅速に作成することができました。すべてのショットを1日で仕上げ、必要に応じて調整しました。これで時間を大幅に節約できましたね。
ネルソン氏は、序盤のドライブのシーンでも3Dパーティクルツールを使用したという。
エディがロッキー山脈に向かって車を走らせるシーンでは、シーンの見栄えを良くするために、フッテージから道路標識や他の車などのエレメントを削除し、カメラアングルを変更するなど、Fusion Studioの3Dプロジェクションツールを活用しました。
また、3Dパーティクルシステムと置き換えツールを使用して、道の横にある川に流れを作り、DaVinci Resolve Studioでエレメントをループさせてシーンを完成させました。エディットページでフッテージを必要な長さにトリムし、それをクロスディゾルブすることで、シームレスな川のループ映像を作成したんです。その後、Fusion Studioに映像を戻し、VFXの作業を完成させました。
ネルソン氏が気に入っているFusion Studioのツールは、グリッドワーパーである。このツールは高いプロダクションバリューをすばやく作成できる。例えば、エディが山小屋で打ちのめされて床に倒れているシーンである。この時エディは栄養失調状態であったため、ネルソン氏とMoving Targetのチームは、グリッドワーパーを使用して異なるルックを試した。
Fusion Studioのグリッドワーパーと2Dトラッキングツールを使ってエディの痩せこけたルックを作成し肌の質感を変えました。その結果、エディのあばらが浮き出て顔はやつれ、顔色が悪くなっています。Fusion Studioのツールはデータを共有できるので、作業のスピードがアップします。メモを参照にしたり、最終的にどの程度までルックを強調したいかに応じて、エフェクトをすばやく調整可能です。
このようなシーンでは適切なバランスを保つために微調整が必要なので、迅速に改訂版を作成できることが非常に重要です。結局、オリジナルの映像に近い自然なルックを採用したのですが、これがVFXの面白さです。様々なバージョンを試さない限り、何がベストなのか分かりません。だからこそ、スピーディで多目的なツールが必要なのです。