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シグマは2021年8月4日、ミラーレス専用設計のフルサイズ対応「SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports」を発表。それに合わせて同社代表取締役社長、山木和人氏登壇のオンラインイベント「SIGMA STAGE Online」を開催した。すでに発売されている一眼レフ用150-600mmとの違いについて詳しい紹介が行われたので、その様子を紹介しよう。
デジタル一眼レフカメラ用150-600mmをミラーレス専用設計にリニューアル
SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsは、DG DNレンズタイプのフルサイズミラーレスカメラに専用設計されたレンズ。LマウントとソニーEマウントの2種類をラインナップする。
シグマは現在、デジタル一眼レフカメラ用に同焦点距離のレンズをSportsラインとContemporaryラインでラインナップしている。しかし、仕様はまったく同じだが製品コンセプトが異なるという。
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これまでのSportsラインは、超望遠レンズが多用される撮影現場での高い信頼性と、ズーム全域での高い光学性能の両立を目指して設計。高い信頼性を実現するために、防塵防滴構造を採用し、ハウジングはすべてアルミ製としている。
一方、Contemporaryラインは、高い汎用性を目指して設計されており、より多くのユーザーに使用できるように、よりコンパクトで軽量な設計になっている。どちらのレンズもミラーレスカメラが主流になりつつある現在でも人気が高く、特にContemporaryラインの方は、常に需要が高く、品薄状態が続いているという。
150-600mmが発売以来、人気の理由は大きく分けて2つとしている。焦点距離が600mmであることから、野生動物やスポーツ、飛行機、鉄道などの撮影に最適であること。また、どちらのレンズもズーム全域で非常に高い光学性能を実現しており、多くのユーザーからの支持される大きな要因だとしている。
しかし、ユーザーからの不満がないわけではなく、Contemporaryラインのユーザーからは防塵防滴機能、Sportsラインの方は軽量化を望む要望が多数寄せられたことを受け、フルサイズミラーレスカメラ専用で同じスペックの150-600mm F5-6.3を新たに開発するプロジェクトをスタート。開始するにあたり、3つの目標を掲げたという。
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目指したのは光学性能の向上や防塵防滴構造、小型・軽量化
1つは光学性能のさらなる向上。現行の150-600mmの光学性能はすでに非常に優れており、多くの写真家から高い評価を得ているため、光学品質をさらに向上させるべきかどうか迷い、当初山木氏はContemporaryラインにして、軽量・コンパクトにしたいと考えていたが、エンジニアからは改良の余地がまだあると指摘されたという。
2つ目は防塵防滴構造などSportsラインと同等のメカ機構の実現。これにより、雨天時や海辺での撮影など、過酷な状況下でも高い信頼性を確保。
3つ目は、デジタル一眼レフカメラ用の150-600mm Sportsよりも大幅な小型・軽量化の実現としている。
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レンズ構成はFLDガラス4枚、SLDガラス2枚を含む15群25枚
まず、「光学性能のさらなる向上」は、FLDガラス4枚、SLDガラス2枚を含む15群25枚の構成。FLDガラスは、蛍石とほぼ同じ特性を持っており、この2種類のガラスがレンズ全体の光学性能を大きく向上させているという。
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シグマの3本の150-600mmレンズのMTFチャートを比較。右の2つのチャートはデジタル一眼レフカメラ用で、左のチャートはフルサイズミラーレスカメラ専用の新しい150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports。
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MTFチャートは、レンズの予想される光学性能を示すもので、縦軸が光学性能、横軸が像高を表す。左側が画像の中心部、右側が画像の周辺部で、曲線が高いほど、光学性能が高い。上のMTFチャートはワイド端での性能、下のチャートはテレ端での性能を表している。
右2本のデジタル一眼レフ用レンズは、中央から隅まで非常に良好な性能を示しており、レンズの高い光学性能を証明している。左のフルサイズミラーレス用の新製品150-600mmは特に600mmでさらに優れた性能を示している。
新しい150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsの光学性能は、幾何光学的なMTFでより明らかしている。これまでのMTFチャートは波動光学MTFであったが、幾何光学的MTFは回折の影響がないため、レンズの実際の設計データを確認しやすいとしている。
新しい150-600mmの600mmでの光学性能は、ズームレンズとしては卓越しており、どちらかというと望遠単焦点レンズのMTFチャートに近いものがあるという。
このレンズの光学設計者が目指したのは600mm単焦点レンズの性能で、理由は600mmがユーザーが最もよく使用する焦点距離だからだという。そのため、このレンズの600mmでの光学性能については特に安心して使用いいただけるとしている。
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次に高い光学性能を実現した背景を紹介。光学設計者は、特にコマ収差、非点収差、倍率色収差の抑制に注力。コマとは光学的な収差のことで、画像の周辺部に彗星のような尾を引いて表示される。この収差により、画像のディテールが失われる。
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非点収差はコマ収差と似ているが、周辺部の点像がメリディオナル方向とサジタル方向の2方向に広がる。この収差もまた、画像のディテールを失わせる原因となる。
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倍率色収差は、異なる波長の光が一点に集まらないと、色のにじみが発生する。
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コマ収差、非点収差、倍率色収差を抑えることで、画面の中心だけでなく、周辺部まで非常にシャープで鮮明な画像を得ることがでたという。
次にメカ的な仕様の実現を紹介。新しい150-600mm F5-6.3 DG DN OS|Sportsの内部には、液体や細かい砂が入らないようにするためのゴムシーリングを多数搭載。
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また、ガラスの前玉に撥水・防汚コーティングを施しており、レンズの前玉についた水を素早く拡散が可能。このレンズは、防塵防滴構造と撥水・防汚コーティングにより、雨の日や砂漠での撮影など、様々なシーンで活躍できるレンズとしている。
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オートフォーカスの速度については、ステッピングモーターで制御されたAFアクチュエーターにより、高速で静かなAFと動体への優れた追従性を両立。
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レンズを左手で持ったとき、ボディ中央部に3つのAFロックボタンがあり、レンズを使用しながら簡単にアクセスできる構造を実現。これらのボタンは、フォーカスロックはもちろんのこと、ソニー Eマウントカメラでは各種カスタム機能を設定可能。
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本体にはシグマが初めて採用したズームトルクスイッチを搭載。このスイッチには、S、T、Lの3つの設定があり、それぞれ「スムーズ」「タイト」「ロック」を意味する。「スムーズ」に設定すると、ズームリングを非常に簡単に動かすことができ、「タイト」に設定すると、ズームリングの回転トルクが重くなり、レンズを上下に向けてもレンズが自重で動いてしまう現象を気にすることなく、ズームリングを任意の位置に設定可能。「ロック」に設定すると、ズームリングをワイド端でロックが可能。
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一番上には、フォーカスモード切替スイッチを搭載。オートフォーカスとマニュアルフォーカスの切り替えがすぐにできる。フォーカスリミッタースイッチは、フォーカス距離を、フルフォーカス、10mから無限遠、最短撮影距離から10mまでのいずれかに制限が可能。
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OSスイッチは、モード1、モード2、OFFが選択可能。モード1は一般的な撮影に適しており、モード2は、水平、垂直、斜めのいずれかに流し撮りしているときに効果的に働くように設計。
一番下のスイッチは、カスタムモードスイッチで、C1、C2、OFFのいずれかを選択可能。C1はダイナミックビューモードで、ライブビューでOSの効果がわかるようになっている。C2はモデレートビューモードで、ライブビューではより自然な構図で表示される。
また、Lマウントのレンズでは、同社のUSB DOCKを介して、フォーカスリミットの距離をカスタマイズが可能。アルカスイス互換の三脚座が付いており、三脚リングは非常にスムーズに回転し、90°間隔のクリック機構を備えている。
このレンズの3つ目の目標は、重さを最小限に抑えること。SIGMA 150-600mm DG HSM OS | Sportsは、2.8kg。新しい150-600mm F5-6.3 DG DN OS|Sportsはコンパクトに設計されており、重量は2.1kg。一眼レフ用150-600mm Sportsよりも軽量を実現。
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三脚取り付けリングはレンズ本体に固定されており、三脚座は取り外し可能。三脚を使わない場合に三脚座を外すと、レンズの重さは2kgになるという。
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軽量望遠レンズを求めるならば約1.1kgの100-400mmがお勧めで、長い焦点距離なら150-600mmが最適
シグマのフルサイズミラーレスカメラ用超望遠レンズは、150-600mmが2本目のラインナップとなる。1本のレンズは、SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN | Contemporaryで、焦点距離を多少犠牲にしても超軽量の望遠レンズが必要な場合は約1.1kgのこちらのレンズをお勧めするという。もっと長い焦点距離が必要な場合はこの150-600mmが最適だとしている。
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SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsは、8月27日に発売。価格は税込198,000円。
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