Blackmagic Designの発表によると、フォトグラファー/撮影監督である田島一成氏が、ファッションブランドkolorの「Spring Summer 2022 Collection」をBlackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2デジタルフィルムカメラで撮影したという。

ロボットアームに設置された複数のURSA Mini Pro 4.6K G2で撮影された同作品は、DaVinci Resolve Studioでグレーディングされて2021年7月にオンライン開催されたパリファッションウィークで公開された。

ファッションおよび広告写真やTVコマーシャル、ミュージックビデオの世界で長年第一線を走り続けている田島一成氏。同氏が今回撮影を手がけたのは、田中裕介氏が監督し、サカナクションの山口一郎氏が音楽を作曲した、ファッションブランドkolorのコレクションムービー。同作は、コロナ禍でオンラインでの開催となった今年のパリファッションウィークのために制作され、2台のロボットアームの間に設置されたウォーキングマシンの間をモデルが歩くという映像的に非常にユニークなものとなっている。

ロボットアームに装着された2台のURSA Mini Pro 4.6K G2が、ランニングマシーン上をウォーキングするモデルを撮影し、その様子を別の2台のURSA Mini Pro 4.6K G2で田島氏が撮影した。ロボットアームやランニングマシーンといった部分もあえて見せることで、よりインパクトのある映像に仕上がっている。

今回のロボットアームの導入について田島氏はこう説明している。

田島氏:監督が服の細部のディテールを見せたいのでロボットアームでモデルに近づいて撮ろうと決めました。カメラをロボットアームに取り付けることで、ステディカムやドリーではできない動きができます。

また、ロボットアームが撮影している様がかっこいいので、それ自体も演出として使うことにしたんです。そのためロボットアームを含めた引き画もメインの映像として使っています。引き画は、URSA Mini Pro 4.6K G2を搭載したドリーを円形レール上にのせたものと、中央に定点カメラとして設置したもので撮影しました。

定点カメラと円形ドリー用のURSA Mini Pro 4.6K G2にはAngenieux Optimo24-290mm T2.8を装着、ロボットアーム用には全てARRI MACRO 40mmレンズを使用して撮影を行った。

古めで味のあるレンズを使うことでビデオっぽい映像にならないようにしました。ファッションショーをある程度再現しようとすると、歩いているモデルをロボットが追いかけるのは大変です。

でも、歩かせた方が服のディテールはよくわかるのでランニングマシーンを使うことにしました。視聴者が飽きないように、ロボットアームの動きは2種類プログラミングを用意して、私が操作するドリーに搭載したカメラも動きをつけて撮影しました。

田島氏は以前、ミュージックビデオや短編映画の撮影などでBlackmagic Designのカメラを既に使用していた。

手頃な価格かつ、十分なクオリティが担保できるカメラ、そしてRAWで撮れるカメラということでURSA Mini Pro 4.6K G2採用しました。今回は黒い背景の中で人物の周りだけがほんわり光が当たっている構成だったので、暗部とハイライトのディテールを残せる階調があるかが重要でした。もちろん照明でも残せるように調整はしていますが、やはりカメラの階調の幅がちゃんとあるものでないと最終的に望んだ結果は得られません。

今回の作品は監督が編集したものを田島氏がDaVinci Resolve Studioでグレーディングしている。

DaVinci Resolveは5年くらい前から使っています。今回の作品は服の本来のディテールを見せる目的なので極端な色調整はせず、暗部にブルーを少し入れて、暗部をしめてハイライトを下げるくらいの軽めのグレーディングで仕上げたのであっという間に終わりました。

コレクションムービーの目的は、ファッションショーができない代わりにバイヤーさんやメディア、服を買ってくれる人に対して、コレクションの雰囲気を伝えつつ、どんな服かということをきちんと伝えることです。今回、服の細いディテールや風合いをきちんと表現できたので、そういったところを是非見て欲しいですね。