Blackmagic Designの発表によると、インディーズ映画「Night Caller(原題)」が、URSA Mini Pro 4.6K G2で撮影され、編集およびフィニッシングにDaVinci Resolveが使用されたという。
骨太のホラー・スリラー「Night Caller」は、電話占い師のクレメンタイン・カーターが、連続殺人犯からの電話を受けたことをきっかけに、複雑な謎に巻き込まれていく姿を描いている。犯行前に殺人を予見したことで、クレメンタインは追いつ追われつの恐ろしいゲームに巻き込まれる。
「Exorcism at 60,000 Feet」、H.P.ラヴクラフトの「The Deep Ones」などのカルト的な作品で知られているチャド・フェリン監督は、早くから「Night Caller」を制作するための資金調達を始めていたが、インスピレーションを得て、すぐに制作を開始することにした。
フェリン監督:The Deep Ones」は、芸術的にも金銭的にも大成功を収めました。これにより、私たちのチームには(低予算映画の王者と呼ばれる)ロジャー・コーマンのエッセンスが注入されたようで、数ドルの資金を集めて、低予算ですぐに作れる映画をすぐに制作したいと思うようになりました。
シネマトグラファーのカイル・マコノギー氏が参加し、2人はザラザラとした質感で影のある70年代、80年代の映画を研究した。「Night Caller」は、このスタイルからインスピレーションを得ている。マコノギー氏は、これまでの経験から、URSA Mini Pro G2で得られるイメージを知っていたので、「Night Caller」の撮影にこのカメラを選択した。
マコノギー氏:G2は本当に素晴らしいカメラです。これまでに数本の長編映画をG2で撮影しましたが、使用するたびにその良さが分かりますね。機能性に優れており、画質は非常にリアルでフィルムライクです。実は前作ではURSA以外のカメラを使用したのですが、なぜURSAを使わなかったのだろうとずっと後悔していました!
撮影期間はわずか10日間だったので、チーム全員がすばやく行動する必要があった。
フェリン監督:このように慌ただしい撮影は困難ではありますが、得るものもあります。
マコノギー氏は、限られた予算とスケジュールの中で、この作品で独自のスタイルを開発したという。
マコノギー氏:50年代の硬い光や70年代のフラットな自然光など、古い映画では映りの悪い照明が受け入れられることを常に羨ましく思っていました。私の経験上、URSA Mini Proは理想的とは言えない照明条件においても、自然でフィルムライクな画が撮れる数少ないカメラのうちのひとつですね。
クレメンタインがロビーで霊能者の同僚と会話するシーンがあります。このロビーの照明は、薄汚れた白いプラスチックに覆われた年代ものの蛍光灯でした。照明を取り替えたり追加の照明を用意する時間も予算もなかったので、自然光で撮影したのですが、このシーンのルックは私の一番のお気に入りになりました。Blackmagic Designのカラーサイエンスは、フィルムストックのようなルックなので、このように優れたフィルムのテクスチャーを実現できます。
限られた予算での撮影では使用できる機材も限られているので、その場の照明だけで撮影することもある。
URSA Mini Proの低照明条件における性能は、必ずしも評価されているとは言えません。しかし、露出を上げなければならない状況でも、驚くほどディテールをキャプチャーできます。ある重要なシーンでは、クレメンタインは屋外の長い階段を通って殺人事件の現場を訪れます。これは夜のシーンですが、あまり明るくない街灯とAsteraのライトチューブひとつだけで、とても広い空間を効果的に照らすことができ、シャドウ部分のディテールも残すことができました。
70〜80年代のクラシックなルックを再現するには、カラーとサチュレーションが需要な要素であるが、マコノギー氏は、G2ではこれが可能であると確信していた。
G2のカラーレンダリングに勝るものはありません。他のデジタルカメラでは、アルジェントやレフン(映画監督)のような高彩度のルックにしても、サチュレーションを50ポイント上げただけに見えないようにするのに苦労しました。
他のメーカーのカメラでは、色が非常に人工的に見えてしまうんです。しかし、URSA Mini Proと第5世代カラーサイエンスは違いました。クレメンタインの占い部屋には、競合する色が多くあります。中国製のランタンの明るいオレンジ色、デスクのすぐ隣にあるネオンサインの青と赤、そしてコンピュータースクリーンから出ている緑色などです。かなり様式的なルックでしたが、ポスプロではとても自然に再現できました。
真の低予算映画制作の精神に基づいて、フェリン監督は今回初めて無償版のDaVinci Resolveを使用して編集を行なったが、移行が非常に簡単なことに驚いたという。
フェリン監督:DaVinci Resolveでの編集は素晴らしいです!前作と前々作は他のソフトを使って編集したので、新しいシステムに移行することに関して、様子見の状態だったんです。しかし思い切ってやってみて本当によかったですね。
正直なところ、DaVinci Resolveは、私がこれまでに使った中で一番の編集ソフトウェアだと思います。そして私のようなケチな制作者にとって、無料であるということはさらに嬉しいことですね。
マコノギー氏は、撮影を担当しただけでなく、DaVinci Resolveでのグレーディングも行なった。
マコノギー氏:早い段階から、チャドのどのようなルックにしたいか尋ねると、彼は決まって「70年代のルックだ」と答えていました。グレーディングで、薄汚れたフィルムストックのようなルックにしようと試みました。カスタムLUTを作るところから始めて、適度な量のグレインを追加しました。これを撮影時にG2でリファレンスに使用し、希望するルックを実現するのに役立てました。
また、Blackmagic RAWでの撮影も素晴らしかったですね。Blackmagic RAWは非常に寛容かつ自然で、極端な調整にも適しています。全編を固定クオリティQ0で撮影しましたが、フッテージはおよそ6TBでしたね。時間に余裕がなく、カード交換やアンロードが不可能だと分かっている時はQ5で撮影しましたが、Q0で撮影したかQ5で撮影したか分からないほどでした。
LUT、Blackmagic RAWの品質、そして優秀なスタッフのおかげで、マコノギー氏は希望するルックをそれほど苦労せずに実現できたという。
私は通常、DaVinci Resolveで適度な頻度でPower Windowを使用しますが、今回は照明スタッフのラファ・ボラ氏が良い仕事をしてくれたこともあり、撮影した映像がしっかりしていたので、あまり手を加えずにすみました。