Blackmagic Design導入事例: ドクターマーチンのドキュメンタリー「Redefining Feminism in Punk: Los Angeles」の場合

Blackmagic Designの発表によると、ドキュメンタリーシリーズ「Dr. Martens Presents」の最新作「Redefining Feminism in Punk: Los Angeles」が、Pocket Cinema Camera 6Kで撮影され、DaVinci Resolve Studioでグレーディングされたという。

ドクターマーチンからの制作依頼を「光栄に感じた」というディレクターのアリソン・ロベルト氏は、次のようにコメントしている。

ロベルト氏:ドクターマーチンから連絡を受け、このエピソードでは、ロサンゼルスに存在する無数の世界の中から、好きな題材を取り上げて撮影して欲しいと依頼を受けました。個人的に、ロサンゼルスのパンクシーンに興味を持っており、政治的・社会的に大変混乱した現在、パンクがいかにメインストリームに復活しているかについて、撮影したいと思いました。

ロベルト氏は、Xのエクシーン・サーベンカ、Holeのパティ・シェメル、L.A. Witch、新進気鋭のバンドであるリンダ・リンダズを起用し、長年パンクにおいて女性が面してきた苦難や試練を扱うことを提案した。

ロベルト氏と長年共に仕事をしてきた撮影監督のセバスチャン・パケ氏は、同作の撮影にPocket Cinema Camera 6Kの使用を決めた。

パケ氏:Pocket Cinema Camera 6Kはここ数年使用しています。このカメラは、低予算のプロジェクトにシネマライクな品質をもたらすことができる点で、これまでの概念を大きく覆しました。この価格帯で、このような品質と深みが得られるカメラは他にはありません。

これまでに、ドキュメンタリーからミュージックビデオ、世界ツアーなど、同カメラで様々なタイプのプロジェクトを扱ってきたことから、撮影チームは、異なるスタイルの撮影用に複数のリグをすでに構築していた。同作の撮影において、それらのリグは非常に重要な役割を果たしたという。

Blackmagic Design導入事例: ドクターマーチンのドキュメンタリー「Redefining Feminism in Punk: Los Angeles」の場合

パケ氏:Pocket Cinema Cameraはコンパクトで、使いやすく、汎用性が高いので、このプロジェクトでは本当に助けられました。

各出演者との1時間のインタビューの直後、ロサンゼルスの街に出て、Bロール用に、リンダ・リンダズがエコーパークで踊ったり、スキップする姿などを"速攻"スタイルで撮影しました。Pocket Cinema Camera 6Kはリグとセットアップをすばやく交換できるので、美しい瞬間を非常に簡単かつスピーディに撮影できました。

「Dr. Martens Presents Redefining Feminism in Punk: Los Angeles」はロサンゼルスの新しいパンクシーンを中心として描かれているが、ベテランのミュージシャンの出演場面においても、多数の印象的なシーンがキャプチャされた。

パケ氏:この短編ドキュメンタリーの重要なシーンの一つは、ウィスキー・ア・ゴーゴーで撮影されました。

ハリウッドのサンセット大通りにあるこの有名なコンサート会場に、パンデミックが始まって以来初めて撮影のために戻ったのですが、これは私たち撮影スタッフにとっても、出演者にとっても、とても感情的な瞬間でした。これは、特にBackstage Passのギタリストであるジェニー・ショアにとって特別な瞬間でした。ジェニーは、1977年11月にウィスキー・ア・ゴーゴーでエルヴィス・コステロの前座を務めて以来、足を踏み入れるのは初めてだったからです。

最終的なグレーディングは、ベテランのカラリストであるRKM Studiosのライアン・マクニール氏が行った。同氏も長年ロベルト氏とパケ氏と共に仕事している一人だ。

マクニール氏:ライアンは私のスタイルを良く把握しており、方向性が似ているため、一緒に仕事するのが楽なだけでなく、楽しんで作業できます。

通常、視覚的・カラーのインスピレーションをライアンと共有し、それを基に残りの作業を任せることができます。ライアンからは「規定すれすれの彩度」というニックネームをつけられました。私がグレーディングの限界まで調整して欲しいと依頼するからです。

マクニール氏:アリは大胆なルックのフィルムが大好きなので、それを踏まえて常に作業をしています。質感があり、露出にフィルムのようなカーブを本作には求めていました。そのようなルックのインスピレーションを得るためにスチルフィルムの写真を多く使用しています。

Blackmagic Design導入事例: ドクターマーチンのドキュメンタリー「Redefining Feminism in Punk: Los Angeles」の場合

マクニール氏はBlackmagic Design製のカメラの映像を多数扱ってきており、常にPocket Cinema Camera 6Kのフッテージに感心していたという。

マクニール氏:ダイナミックレンジが素晴らしいですね。様々な照明条件でも、ハイライトとシャドウの重要なディテールがすべて得られるので助かっています。

本作では、ビンテージの雰囲気を追加するためにVHSフッテージが追加で使用された。

ロベルト氏:VHSのザラついていて、多数の欠点のある映像は、意図して起用したものです。90年代のミュージックビデオは、私にとって常に視覚的なインスピレーションとなっており、またドクターマーチンはローファイでDIYの精神を訴えかけているので、そういったルックを取り入れることは自然な成り行きでした。

マクニール氏:作品の他の部分には手を加えましたが、VHSフッテージのスタイルはオリジナルと変わりません。

ロベルト氏:ライアンは、グレインを追加し、彼独特のテクニックでフッテージを素晴らしいルックにしてくれました。

Pocket Cinema Camera 6Kのフッテージには、マクニール氏はDaVinci Resolve Studioに内蔵されている多数のツールを使用して、独自のスタイルのグレーディングを適用した。

マクニール氏:個人的にOFXプラグインのグローを大変気に入っています。非常に堅実なプラグインで、多くのことを達成できます。ソフトで、拡散したハイライトとわずかなハレーションが私の好みです。他に使用するツールは、プラグインのカラースペース変換です。これは、すべてのメディアを作業用に共通のカラースペースに統一できる優れたツールです。

ロベルト氏:完成した作品の出来映えだけでなく、パンクロックと、現在のパンクにも着実に引き継がれている、たくましい女性の歴史に関する力強い作品を制作できたことを誇りに思っている。

Blackmagic Design導入事例: ドクターマーチンのドキュメンタリー「Redefining Feminism in Punk: Los Angeles」の場合

ロベルト氏:パンクのDIYと反抗的な精神は、社会的な変化を切望する人々にとってのスローガンとなっています。これら2つが互いに強く結びついていることは明らかです。音楽業界において女性は多くの困難に面しています。この作品では、ロサンゼルス初の女性パンクバンドから、話題の新進気鋭の若いバンドまでの声を通して、女性たちの強さと反逆の精神について紹介しています。このストーリーは、パンクに詳しくない人にとっても楽しんでもらえると思います。