パナソニック遠赤外非球面レンズメイン写真

パナソニックは、遠赤外線の透過特性に優れたカルコゲナイドガラスを材料とする遠赤外非球面レンズの量産技術を開発を発表した。

新たに開発したガラスモールド成形工法と金型技術により低価格化(約1/2)を実現。また、接着剤不使用で高気密なフレーム一体レンズ(ヘリウムリーク試験でリーク量 1×10-9 Pa・m3/sec以下)など、さまざまな形状のレンズ製作が可能となり、試作受注を開始するという。

技術の内容は以下の通り。

(以下、プレスリリースより引用)

(1)研削・研磨工程をなくし低価格を実現するガラスモールド成形工法の前処理技術

従来のガラスモールド工法では、成形前に前加工としてガラス材料を研削・研磨する必要がありました。一般的には、硝材のインゴットから所定の大きさに切り出したのち略レンズ形状まで研削するため、多くの材料を廃棄するだけでなく、そのあとの研磨も含めると多くの加工時間が必要となり、コスト高となります。さらに、カルコゲナイドガラスは従来の可視光用ガラスと比較し、高価で非常に割れやすく傷つきやすい材料であることから、これらの工程で発生する廃棄や歩留まりが、コストに影響します。

そこで当社は、研削・研磨工程をなくした新たな前処理技術を開発し、これまでの前加工に掛かっていた工数コストを大幅に低減することで、レンズ価格を当社従来工法比約1/2までコストダウンすることに成功しました。

(2)カルコゲナイドガラス専用にカスタマイズした金型技術

カルコゲナイドガラスは成形時の温度変化による粘性の変化が大きい為、安定的にモールド成形することが困難です。そこで、熱変動を緩やかにする新たな金型材料を採用した専用金型を開発しました。この金型技術により、従来の可視光用ガラスの成形機をそのまま使用できること、そして高い歩留まりを達成できたことで、高品質で低価格なカルコゲナイドレンズのご提供を実現しました。

(3)フレーム一体レンズを実現するインサート成形技術

カルコゲナイドガラスは非常に割れやすく、鏡筒への組付け時にレンズ周辺部が欠けやすいという課題があります。そこで、インサート成形を応用した独自工法を確立し、鏡筒との接触部であるレンズ外周に欠けを防止するリング等を配したフレーム一体レンズの製造を世界で初めて実現しました。

開発したインサート形成技術は、接着剤を使用しない為、不要な脱ガスによる副作用もありません。一体成形可能なフレームの形状はリング状のものから、簡易な鏡筒形状まで様々なご要望に対応可能です。

さらに、レンズとフレームの高気密化(ヘリウムリーク試験でリーク量 1×10-9 Pa・m3/sec以下)が可能です。レンズとフレームの気密性が高いため、内部に配置する遠赤外センサーごとガス封止などが可能となり、内部の断熱やセンサーのカバーレスを実現できるため熱影響の減少や透過率の向上でセンサーの高性能化に寄与できます。

パナソニック遠赤外非球面レンズ説明写真