AMD、キヤノンの自由視点映像システムにVersal AI Coreシリーズ採用。リアルタイムのエッジAI処理を実行

AMDは、キヤノンの自由視点映像システムにAMD AI Engineテクノロジーを搭載した「Versal AI Coreシリーズ」が採用されたことを発表した。同社によると、Versal AI Coreデバイスは、機械学習ベースの強力なエッジ映像処理をキヤノンのカメラシステムにもたらすという。

キヤノンの自由視点映像システムは、スタジアムやアリーナを取り囲んで配置された高解像度カメラで構成され、スタジアム内のあらゆる位置や角度から見たフィールド上のプレー映像を放送視聴者に配信可能。同テクノロジーにより、フィールドの中でプレーを見ているような体験を提供するとしている。キヤノンの自由視点映像システムは、米国の複数のプロ用バスケットボールアリーナや、世界中の一流スポーツ施設に導入される見込みだ。

キヤノンの専務執行役員兼イメージンググループ管掌である山田昌敬氏は次のようにコメントしている。

山田氏:このシングルチップのVersalソリューションを導入することで、当社のシステムは我々が想像していた以上のことをリアルタイムで行えるようになります。Versal AI Coreの強力なエッジ処理能力により、複数の機能を同時に働かせることができるようになるため、放送事業者は臨場感のある新しい視聴体験を提供することが可能になります。

Versal AI Coreシリーズによって実現する高性能の超低レイテンシー処理により、画像処理に要する時間が大幅に短縮されるため、従来のアーキテクチャーでは数分要していたライブリプレイ映像の生成を、ほぼリアルタイムで行えるという。また、放送局は試合や選手の統計データなど、ライブイベント中に測定されたデータを収益化可能だとしている。

キヤノンの技術は、AIベースのインテリジェントな映像処理をエッジで今後実行予定だという。これにより、データセンターにおけるワークロードが削減される。Versal AI Coreは、施設に設置されるキヤノン製カメラの背後にある画像処理システムに搭載され、エッジでMLを駆使してキヤノン独自の画像検出アルゴリズムや、セグメンテーションアルゴリズムを実行できるようになるとしている。

AMDのアジア太平洋地域担当バイス・プレジデントであるヨーセフ・カリロラヒ氏は、次のようにコメントしている。

カリロラヒ氏:ライブ放送中のエッジ側での機械学習の実行は、業界初の素晴らしい試みとなります。キヤノンのカメラシステムは本当に試合の中にいるような、これまでにない臨場感を視聴者に提供します。Versal AI Coreシリーズは、キヤノンの最先端システムの要として、スポーツ中継の新時代を切り開く上で重要となる、低レイテンシーのエッジ処理を実現します。