株式会社ニコンは、超小型マシンビジョンカメラ「LuFact」を2022年8月31日に発売する。カメラヘッドは「LuFact AH020-MR」と「LuFact AH080-MR」の2機種、I/F変換ユニットは伝送規格が異なる「LuFact A1000-G(GigE Visionモデル)」と「LuFact A1000-U(USB3 Visionモデル)」をラインナップ。
LuFactは、ニコンがデジタルカメラで積み重ねてきた独自の画像処理技術から生まれたニコン初のマシンビジョンカメラ。撮影を行うカメラヘッドから画像処理を行うインターフェース変換ユニット(以下:I/F変換ユニット)を分離することによってカメラヘッドの超小型化を実現した。
LuFactのカメラヘッド「AH020-MR」とI/F変換ユニット「A1000-G」は、ソニーグループの半導体製造会社でスマートファクトリー化を推進しているソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社(以下:SCK)の「CR2プロジェクト」にニコンが参画し、SCKの協力のもとニコンが開発。SCKの製造現場での性能評価を経たのち、正式にSCKで採用されたという。
カメラヘッドの超小型化により、既設の装置や生産ラインに取り付けやすく、高い自由度を実現。超小型かつ軽量なため、ロボットハンドにも取り付けが可能で、ロボットを使用した作業の精度向上にも貢献するとしている。
生産ライン上や設備内などに取り付けて撮影するカメラヘッドと、発熱源となるI/F変換ユニットを分離して設置できるため、生産ラインに与える熱影響を低減。また、カメラヘッド周りの温度が高くなる環境下でも、I/F変換ユニットを離すことで、サーマルシャットダウンによる撮影停止を抑えられるという。
カメラヘッド「AH020-MR」は高感度モデル、「AH080-MR」は高解像度モデルとなっており、レンズ交換式カメラのように撮影対象や用途などユーザーの要望に応じてカメラヘッドを変更して使用できる。
LuFactシリーズのカメラを制御するアプリケーションを容易に開発するために、ソフトウェア開発キットとして、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、開発者向けリファレンスマニュアル、サンプルコードを用意。短い工数で柔軟なアプリケーションを開発できるとしている。主な仕様は以下の通り。
カメラヘッド
- 撮像素子:
AH020-MR:1/2.8型 CMOSイメージセンサー
AH080-MR:1/1.8型 CMOSイメージセンサー - 有効画素数:
AH020-MR:1945(H)×1097(V) 213万画素
AH080-MR:3864(H)×2180(V) 842万画素 - 実行画素数:
AH020-MR:1920(H)×1080(V)
AH080-MR:3840(H)×2160(V) - 実効イメージサイズ(実効撮像面積):
AH020-MR:水平:5.568mm(1920×2.9μm)、垂直:3.132mm(1080×2.9μm)、対角:6.388mm
AH080-MR:水平:7.680mm(3840×2.0μm)、垂直:4.352mm(2160×2.0μm)、対角:8.812mm - 走査方式:プログレッシブスキャン
- カラーフィルタ配列:モノクロ
- 電子シャッター:ローリングシャッター
- 感度:
AH020-MR:F2.0[条件]被写体照度:500lx、ゲイン:0dB、露光時間:39.7528ms
AH080-MR:F8.0[条件]被写体照度:3100lx、ゲイン:0dB、露光時間:21.267ms - 出力フレームレート:
AH020-MR:[12bit]120fps設定:約119.8fps、60fps設定:約60.06fps、30fps設定:約30.03fps [10bit、8bit]120fps設定:約120.12fps、60fps設定:約60.06fps、30fps設定:約30.03fps
AH080-MR:120fps設定:約114.8fps、60fps設定:約59.8fps、30fps設定:約30.0fps - レンズマウント:Sマウント
- 外形寸法(W×H×D):20mm×20mm×43.2mm
- 質量:25.5g
I/F変換ユニット
- 外形寸法(W×H×D):54mm×35mm×96mm
- 質量:203.5g
- 電源:PoE(IEEE802.3af準拠)、USB給電(A1000-Uのみ)
- デジタルインターフェース:
A1000-G:GigE Vision
A1000-U:USB3 Vision - 出力方式(ピクセルフォーマット):
A1000-G:GVSP Mono8/Mono10Packed/Mono12Packed
A1000-U:Mono8/Mono10p/Mono12p
ソフトウェア開発キット
- 対応OS:Microsoft Windows 10 64bit版
- 開発言語:C/C++
- 開発環境:Microsoft Visual Studio 2019