Blackmagic Design導入事例:国際イベント「SCEWC 2021」の リモート・ライブプロダクションの場合

Blackmagic Designによると、蘇州に拠点を置くSRTVMIXが、Smart City Expo World Congress(以下:SCEWC)2021と中国の各都市間を結ぶオンライン通信のリモート・ライブプロダクションおよび配信に、ATEM Constellation 8Kライブプロダクションスイッチャー、ATEM 1 M/E Advanced Panel、HyperDeck Studio 4K Pro放送デッキ、Teranex Miniを組み込んだライブプロダクション・ワークフローを使用したという。

2011年よりバルセロナで開催されているSCEWCは、都市のための国際的な主要イベントであり、世界中の都市イノベーションを集結させることを使命としている。SCEWCの主催者は、バルセロナのメイン会場における対面型のショーに加え、世界中各都市の専門家や業界リーダーたちのオンライン・インタビューを含むデジタルプログラムを作成した。バルセロナのSCEWC 2021会場に制作スタジオが作られ、司会者がその場、あるいはインターネットで、インタビューの受け手や講演者から話を聞いた。

SRTVMIXは、バルセロナの制作スタジオのフィードと、中国各都市の講演者のフィードの切り替えを任された。これにより、スタジオでは、上海にあるSRTVMIXからのフィードに対応するだけで良く、多くの都市からのフィードを一度に扱う必要がなくなった。SRTVMIXのテクニカル・ディレクターである胡嘉張氏は、次のようにコメントしている。

胡氏:18系統のフィードを切り替える必要がありました。そのうち16は中国の各都市から、2つはバルセロナからのフィードでした。また、バルセロナの司会者は英語で話し、中国の講演者は中国語で話すので、会話には同時通訳が入っていました。映像とオーディオの切り替えの他に、グラフィックの作業も必要でした。この失敗の許されないプロジェクトが2日間続いたんです。私たちがATEM Constellation 8Kを選択した理由は、ビデオ/オーディオのコネクターの豊富さ、パワフルなグラフィック機能、そしてその信頼性です。

40個の12G-SDI入力が搭載されているので、18系統の入力フィードを簡単に扱うことができました。また、各入力にフォーマットコンバーターが内蔵されているので、システムの複雑さを劇的に軽減でき、外付けのフォーマットコンバーターにかかるコストや、テストにかかる時間も削減できました。これが、同じフォーマットコンバーターを搭載した新しいATEM Constellation HDライブプロダクションスイッチャーが、ここ中国で人気となっている理由だと思います。

ATEM Constellation 8KはMADI接続に対応しており、外付けのデエンベッダーやエンベッダーが必要ないため、複雑さやコストが軽減された。

胡氏:オーディオに関して、必要な作業は18系統のSDIフィードをATEM Constellation 8Kに直接接続し、スイッチャーのMADI出力をオーディオミキサーのMADI入力に接続するだけでした。18フィード全てにオーディオ・デエンベッダーやエンベッダーをインストールする必要はありません。

SRTVMIXはまた、ATEM Constellation 8Kの2つのSuperSourceプロセッサーを最大限に活用したという。

胡氏:講演者がプレゼンを行っている際、2つのレイアウトを切り替える必要がありました。ひとつは、講演者とプレゼンテーション用のスライドのサイズが同じレイアウトで、もうひとつは、サイズが異なるレイアウトでした。予めATEM Software Controlで2つのレイアウトをカスタマイズし、ATEM Advanced Control Panelの特定のボタンに割り当てておいたので、ボタンを押すだけで2つのレイアウトをすばやく切り替えることができました。マクロ機能でも同じことが可能ですが、SuperSourceを使用すると、慌ただしい中でもミスの可能性が低くなり、より多くのビジュアル・エレメントをイメージに追加してより魅力的なルックにすることができます。

マスターの収録には、HyperDeck Studio 4K Proが使用された。

胡氏:最近は、より多くのクライアントが、少ない容量で高解像度を得られるH.265で、4Kプロジェクトの納品を希望しているので、発売されてすぐにこのレコーダーを発注しました。

私が気に入っている機能は、内蔵スピーカーとモニタリングジャックです。テクニカル・ディレクターとしては、ほとんどの場合ヘッドセットは自分がカメラマンに指示するために使用しますが、騒がしい環境では、モニタリングにBlackmagic Audio Monitor 12Gを使用します。

SCEWC 2021は政府関係者も参加する国際的なイベントであるため、ライブプロダクションを成功させるには、信頼性も重要なファクターであった。

胡氏:私は、信頼性はライブプロダクションの前提条件であると考えています。長年の使用で、Blackmagic Design製品の信頼性に対する自信が培われてきました。2012年に私たちが最初に使用したライブプロダクション・ソリューションでも、オリジナルのATEM Television Studioライブプロダクションスイッチャー、HyperDeck Studio SSDレコーダー、SmartView DuoなどのBlackmagic Design製品を採用していました。

また、SRTVMIXでは、3つのDeckLink 8K Proキャプチャー・再生カードを組み込んだワークステーションや、配信ソフトウェアを作成している。これは、低予算のプロジェクト用のスイッチャーとして機能する他、ATEMスイッチャーと合わせて使用するとキャラクタージェネレーターとしても機能する。

SRTVMIXは、各ライブプロダクションシステムをフライトケースに収納し、信頼性をさらに高めるために温度やノイズをコントロールしている。

胡氏:2020年の4月に、政府関連のクライアントから、コロナ発生以降の業務やビジネスの再開を促進するためのプロジェクトを数多く受けるようになりました。4月から7月まで、毎週1つのプロジェクトを完成させる必要がありました。各プロジェクトは3〜4日続き、さらにリハーサルもあります。Blackmagic Designのシステムは24時間体制で稼働していましたが、これだけ酷使しても壊れることはありませんでした。

私がBlackmagic Designを知ったのは、テレビCMの業界に入った時です。DeckLinkカードが非常に人気でした。DeckLinkの優れた機能性、信頼性、そして低価格は、他のBlackmagic製品にも受け継がれています。このため、独自の高度なライブプロダクションワークフローを使用して、クライアントにより良いサービスを提供できます。