ソニーは、独自技術を用いた小型で軽量なセンサーとスマートフォン(専用アプリケーション)のみで、モーションキャプチャーやVR(バーチャル・リアリティ)へのリアルタイムなモーション入力を実現するモバイルモーションキャプチャー「mocopi」を2023年1月下旬に発売する(予約受付開始は12月中旬)。ソニーの直販サイト「ソニーストア」での販売価格は税込49,500円。

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mocopiは、全身の動きを含むアバター動画やモーションデータ制作を屋内外で手軽に実現するだけではなく、モーション入力デバイスとして、VRChatなどの対応サービスでリアルタイムにアバターを操作することも可能だ。

通常、モーションキャプチャーを用いた映像制作には、専用の設備やオペレーターが必要だが、mocopiは、同社独自のアルゴリズムを活用することで、少ないセンサー個数で高い精度のモーション計測を実現する。

また、取得したモーションデータを、メタバース向けサービスや3D開発ソフトウェアに連携できるソフトウェア開発キット(Software Development Kit、以下:SDK)を2022年12月15日から提供予定。同SDKは、仮想空間での映像表現の自由度を高めるほか、フルボディ(全身)トラッキングなどのモーションデータの活動用途を拡大することで、メタバースやフィットネスを含む領域での新たなサービスの開発を可能する。

ソニーは今後、mocopiと連携するサービスを開発するパートナー企業の拡大にも努めるとしている。サービス連携を期待するVRChat Inc. CTO兼共同設立者のジェシー・ジョードリー氏と、株式会社HIKKY CEOの舟越靖氏次のようにコメントしている。

ジョードリー氏:VRChatは、PC用VRヘッドセットを用いたフルトラッキングの領域で業界を牽引してきました。今回、ソニーのmocopiの登場により、スタンドアローン型VRヘッドセット向けにも同機能を提供できることを嬉しく思います。市場には様々なVRヘッドセットが登場しています。mocopiと組み合わせて、あらゆるヘッドセットのユーザーにVRChatのフルトラッキング機能を存分に体験してもらいたいと考えています。

舟越氏:ソニーのような国際的な企業が、スタートアップであるHIKKYやクリエイター達が奮闘する、勢いはあれど若い新市場に対して「攻めた」製品でアプローチしていただけることを大変嬉しく思っています。このようなデバイスは我々の手で開発・販売するにはハードルが高く、けれども市場の本質的な課題解決には必須のものです。日本が世界に誇るソニーの技術力やノウハウで提供される今回のデバイスは、多くのクリエイティブレボリューションの機会を創るものだと、確信しております。

主な特長

装着が容易な小型・軽量センサーで、データ取得やモーション入力が可能

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直径32mm×厚さ11.6mm、重さ8gの小型センサーを6か所(頭部、両手首、腰、両足首)に装着し、専用アプリケーションをインストールしたスマートフォンとBluetooth接続することで、アバター動画とモーションデータの制作が可能。

データ取得には、ソニー独自のアルゴリズムを使用することで、少ないセンサー個数で高い精度のモーション計測を実現する。各センサーは、付属のマジックテープ式バンドやクリップで身体に容易に固定できることに加え、完全ワイヤレス型のため、電源やケーブルといった場所の制約を受けない。

同商品とスマートフォンがあれば、屋外でも手軽にモーションデータを制作することができるほか、VRChatなどの対応サービスへモーション入力できる。

アバター動画の制作やデータ書き出しなどをスマートフォンのみで実現

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スマートフォン上でアバター動画を制作

専用アプリケーションでは、装着したセンサーから取得するデータを用いてアバターを操作し、スマートフォン上でアバター動画を制作できる。アプリケーションで使用するアバターは、初期設定の素材以外に、外部データをインポートして設定可能。制作したアバター動画は、アプリケーション上でmp4などの動画データやモーションデータとして書き出し、スマートフォン上に保存できる。

メタバース向けサービスや3D開発ソフトウェアと連携するSDKを提供開始

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SDK提供により、フィットネス領域など新たなサービス開発も可能に

mocopiで取得するモーションデータと、メタバース向けサービスや3D開発ソフトウェアを連携するためのSDKを12月15日から提供予定。同SDKを利用することで、センサーから取得するモーションデータをPCでリアルタイムに受信し、UnityやMotionBuilderなどの3D開発ソフトウェア上で即時確認しながら編集できることに加え、ソーシャルプラットフォームのアプリケーション経由で配信可能だ。同SDKの提供によりモーションデータの用途を拡大し、メタバースやフィットネスなどの領域での新たなサービス開発に貢献するとしている。

環境配慮への取り組み

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プラスチック使用量ゼロ パッケージ(イメージ)

ソニーグループでは、2050年までに環境負荷ゼロを目指す環境計画「Road to Zero」を策定しており、この達成に向けて段階的に環境中期目標を設定しながら行動している。環境中期目標では、2025年度までに新たに設計する小型製品のプラスチック包装材全廃を目指しているという。

同商品は個装パッケージのプラスチック使用量ゼロを実現。ソニーは持続可能な社会の実現に向けた取り組みを継続していくとしている。