Blackmagic Design導入事例:オーストラリアのカルト作品続編「SONS OF SUMMER」の場合

Blackmagic Designは、1977年のカルト作「メル・ギブソンの青春グラフィティ(原題:Summer City)」の続編である「Sons of Summer」が複数のBlackmagic Designデジタルフィルムカメラで撮影され、編集、グレーディング、VFX、オーディオポストプロダクション・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioでグレーディングされたことを発表した。

同作はオーストラリアのプロデューサーであるフィル・アバロン氏によるシリーズ三作目で、1977年に低予算で制作された一作目はメル・ギブソンのデビュー作となる映画。メル・ギブソンは、その2年後に「Mad Max」でブレイクスルーを果たす。二作目は1988年の「Breaking Loose:Summer City II」だ。

クライブ・フラーリー氏が監督を務めた同作には、オーストラリア人俳優のイザベル・ルーカスとニュージーランド人俳優のテムエラ・モリソンを主演に迎えている。過去二作と同じ世界を舞台にした本作は、ジョー・デビッドソン演じる、問題を抱えているがカリスマ性のあるサーファーのショーンが暗い過去から逃れようとする様子を描いている。

ショーンとサーファー仲間は、父の命日に敬意を表すために海岸地方を旅行することに決めた。しかし、金銭問題を逃れようとした試みはあえなく失敗する。ショーンは大量のドラッグを盗み、殺し屋が復讐の鬼と化してショーンを狙っている。一人また一人と殺されていく中、ショーンはその手が着実に自分に近づいていることを察知する。また、ガールフレンドが誘拐されたことで、物事を正しい方向に持っていくための計画を企てなければならなくなった。

同作の構想段階において、プロデューサーのティム・マドックス氏は、長年の知り合いである撮影監督のアンソニー・ローズ氏に連絡を取り、同作のルックの作成を依頼した。

マドックス氏:2022年の始めに、アンソニーと共に様々なカメラでドキュメンタリーを撮影しました。その際に使用したカメラと比較して、Blackmagic Designのカメラがいかに使いやすいかアンソニーが語っていたのを思い出したんです。本作の制作にアンソニーが参加することになった際に、ルックについて入念に話し合いを行いました。アナモルフィックレンズが大好きだと話した際に、アンソニーがBlackmagic Designのカメラ一式を撮影に使うというアイデアを思い付いたんです。フィルムのようなルックを得られたことに加え、プロデューサーの立場としては、費用対効果に非常に優れているのはうれしいボーナスでしたね。

Blackmagic Design導入事例:オーストラリアのカルト作品続編「SONS OF SUMMER」の場合

ローズ氏はBlackmagic Designの多様な製品を使用して、各シーンのニーズを満たした。これには、3台のURSA Mini Pro 12K、1台のURSA Mini Pro 4.6K G2、2台のPocket Cinema Camera 6Kデジタルフィルムカメラが含まれる。

ローズ氏:3台の12Kカメラを用いてほとんどのシーンを8Kで撮影しました。2台をAカメラとBカメラとして、そして3台目をステディカムにリグ組みして使用しました。

それに加えて、URSA Mini Pro 4.6K G2をハイスピード撮影に、2台のPocket Cinema Camera 6Kカメラを撮影しにくい場所で使用しました。例えば、車内でジンバルに取り付けて使用したり、カーチェイスのシーンでは目立たないように車にリグ組みしました。

ローズ氏は、これまでにオーストラリアおよび海外の250本以上のビデオ、無数のテレビCMを手掛けており、そのキャリアは20年以上に及ぶ。同氏は、Blackmagic Designカメラではフィルムのようなルックと雰囲気が得られるので大変気に入っているという。

ローズ氏:予算が厳しい中、複数のカメラを事前に構築して、準備ができた状態で撮影に挑んだので、時間とお金を節約できました。12Kカメラには960GBカードを挿入したSSDレコーダーを使用したので、終日撮影ができました。これには非常に助けられました。また、最低限の照明を使用した高コントラストの低照明条件においても、センサーが確実に映像を捉えられる高い信頼性があります。

グレーディングにはDaVinci Resolve Studioが使用され、同作はほぼ全てがBlackmagic Designの製品で制作された。

ローズ氏:Blackmagic Designのカメラで撮影されたフッテージをDaVinci Resolveでグレーディングしたので、簡単に希望のルックにすることができました。グレーディングには1000 nitのモニターを使用して作業したのですが、Blackmagic Design製品で撮影されたフッテージは活き活きした映像となりました。カラリストは「Elvis」のグレーディングを終えたばかりだったのですが、Blackmagic RAWファイルには感心していました。

監督のクライブ・フラーリー氏とプロデューサーのフィル・アバロン氏と仕事ができることを同氏は光栄に感じたと語る。

ローズ氏:クライブとフィルは、本作の撮影における私のアプローチをすぐに信頼してくれました。日程が厳しかったので、作業を迅速かつフレキシブルに行う必要がありました。撮影にはアナモルフィックを使用することにしました。これは大きな一歩でしたが、フィルムにシネマライクな雰囲気を加え、ワイドスクリーンのフレーミングを試したかったので、最適な選択肢だと考えました。

「Sons of Summer」は、オーストラリアでは2023年のイースターに公開を予定している。アメリカでは2023年中旬に複数のプラットフォームでの公開が予定されている。

Blackmagic Design導入事例:オーストラリアのカルト作品続編「SONS OF SUMMER」の場合