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パナソニックは、Lマウントシステムに対応したフルサイズミラーレス一眼カメラ「S5 II」と「S5 IIx」を発表した。発売日や価格、ラインナップは以下の通り。

■LUMIX S5 II:2023年2月16日発売、希望小売価格はオープン

  • S5 IIボディのみ:市場予想は税込248,000円前後
  • S5 IIレンズキット(S 20-60mm付き):市場予想は281,000円前後
  • S5 IIレンズキット(S 20-60mmとS 50mm F1.8付き):市場予想は300,000円前後

■LUMIX S5 IIx:2023年6月下旬発売、希望小売価格はオープン

  • S5 IIxボディのみ:市場予想は274,000円前後
  • S5 IIxレンズキット(S 20-60mm付き):市場予想は306,000円前後
  • S5 IIxレンズキット(S 20-60mmとS 50mm F1.8付き):市場予想は334,000円前後
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左はS5 II、右はS5 IIx

像面位相差AFの導入でオートフォーカスを改善

S5 IIとS5 IIxの共通の機能から紹介しよう。S5 IIシリーズは、カメラのキーデバイスであるエンジンとセンサーを刷新。新ビーナスエンジンは、従来機種のS5に対して演算性能は約2倍、バッファメモリーは約4倍と大幅に性能を進化している。

新開発の24.2Mイメージセンサーは、LUMIX初の像面位相差AFに対応し、快適な撮影を可能としている。イメージセンサーのほぼ全域をカバーする779点の測距点を配置し、被写体までの距離を高速高精度で算出して、ダイナミックに動く被写体を捉え続けられるとしている。

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S5 IIには像面位相差AFに対応した新開発の24.2メガイメージセンサーを搭載

S5やGH6では、DFD/コントラストAFによる空間認識AFを特徴としている。S5 IIシリーズでは、LUMIXとして初めて像面位相差AFを採用。「像面位相差AF」、「DFD/コントラストAF」「認識AF」を掛け合わせて、今まで苦手としてきたシーンを中心に改善。人体全体を捉えて追従するアルゴリズムと、距離情報を取得できる像面位相差AFの組み合わせにより従来困難だったシーンも対応できるという。また、ズーム中のAFに関しても、一部レンズはファームアップで対応としている。

「アクティブI.S.」搭載で手ブレ補正機能をさらに強化

手ブレ補正テクノロジーも大きく進化している。S5のボディ内手ブレ補正「B.I.S.」や手ブレ補正機能 「Dual I.S.2」「電子補正」「手ブレ補正ブースト」に加え、S5 IIシリーズでは新たに「アクティブI.S.」を搭載。横ブレ、縦ブレ、回転補正方向の補正割合を最適化し、手ブレ補正ユニットの能力を最大限活用できる制御を実現。歩き撮りや望遠時のフィックス撮影での手ブレ補正効果は、従来比200%の大ブレまで補正可能としており、臨場感のある自然で滑らかな映像表現ができるという。

また、従来機種のS5に対して約4倍のバッファメモリーを搭載。最大30コマの高速RAW連写を実現し、ローリングシャッターの抑制も進化をしている。

C4K 60p/50p、4:2:2 10bitの無制限記録を実現

動画性能は、LUMIX S1HやGH6の動画DNAを継承。C4K 60p/50p、4:2:2 10bit記録や6K 30p/25p、4:2:0 10bit記録などの高画質な動画を無制限に記録可能としている。新エンジン搭載による3Dノイズリダクションの進化や新たにリアルタイムLUT機能を搭載しているという。

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シーンに合わせた複数のLUTをカメラに読み込み、カメラ内で記録することが可能

操作性の向上を実現

ユーザビリティでは、直感的な操作を実現している。ストレスフリーな操作性を従来機種から継承。S5では4方向操作とプッシュ操作に対応のジョイスティックを搭載していたが、S5 IIシリーズでは斜めを含めた8方向対応ジョイスティックを搭載。ユーザーインターフェースもコントロールパネルを更新し、迷いのないメニューデザインを実現している。

フリーアングルモニターは、大型3.0型約184万ドットタイプを搭載。OLEDファインダーは高精細368万ドットタイプを搭載している。

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コントロールパネルを新規搭載。8方向対応ジョイスティックやOLEDファインダーは高精細368万ドットタイプに強化されている

カードスロットは、SDダブルスロット仕様でUHS-II対応、バッテリーグリップはS5と共用可能。S5 IIシリーズでは、USBの給電対応と充電対応を実現している。

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左側面には、HDMIのType Aを搭載。さまざまな機器と直接接続を可能にしている。

パナソニック、「S5 II」発売説明画像

より動画のプロ向け機能を搭載したS5 IIx

S5 IIと同時発表されたS5 IIxは、より動画に特化したバージョンだ。S5 IIxは、HDMI RAW動画出力対応やUSB-SSD記録、ALL-Intra動画記録、ProRes動画記録に対応。また、ライブ配信機能として、無線ライブ配信やUSBテザリング、有線ライブ配信にも対応する。「LUMIX」のロゴを黒くしたブラックエディションと呼ばれるデザインも特徴で、「LEICA」のロゴを黒くしたSL2-Sと同じ特別モデルらしい差別化が図られている。

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S5 IIx。デザイン、高度な動画精度、ライブストリーミングこの3点を特徴としている
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電子ビューファインダー部の「LUMIX」ロゴは黒塗り。ライカSL2-Sと共通のイメージを感じる
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ボディ前面の「S5 IIx」ロゴも黒で、オールブラック仕上げを実現している

S5 IIシリーズは、LUMIXシリーズのフルサイズスタンダード機の基本性能をぐっと底上げしてきた印象だ。S5 IIは写真も動画も撮影したいというクリエイターに必要十分な機能を持ち、S5 IIxはより高度な映像制作やライブ配信機能を必要としているクリエイターに最適なモデルとなりそうだ。ちなみに、フルサイズ廉価版モデルとしてS5の併売は続くという。2023年は、S5シリーズの3ラインナップに注目の年となりそうだ。

■S5、S5 II、S5 IIxの主な機能の違い

S5 S5 II S5 IIx
ビーナスエンジン 新ビーナスエンジン(L2 Technology)
24.2MPイメージセンサー 新24.2MPイメージセンサー
動画RAWデータ出力(ver2.0以降) 動画RAWデータ出力(有償アップデート) 動画RAWデータ出力
リアルタイム認識AF リアルタイム認識AF(像面位相差AF)
手ぶれ補正テクノロジー 手ぶれ補正テクノロジー(アクティブI.S.)
最大7コマ/秒(AFS/AFC)RAW 最大30コマ/秒(AFS/AFC)RAW
USB-SSD記録
ALL-Intra動画記録
ProRes動画記録
無線有線/IPストリーミング
ジョイスティック(4方向) ジョイスティック(8方向)
デュアルSDスロット(UHS-II×1、UHS-I×1) デュアルSDスロット(UHS-II×2)
micro HDMI Type D HDMI Type A