Simmod Lens（以下：Simmod）は、キヤノンFD 85mm F1.2 L用の再生ガラス製リアエレメントを発表した。同社の創設者兼オーナーのRon Sim CSC氏の精神に基づき、一部の人のための贅沢品ではなく、ユーザーがFD 85mm F1.2 Lレンズをシネマスタイルの撮影に適用できるような、手頃な価格のソリューションとなっている。
近年、キヤノンFDレンズの人気は急上昇しており、DPやクリエイターから最も支持されているのがFD 85mm F1.2 Lだという。光学設計が同じなので、希少で高価なキヤノンK35 85mm T1.3の代用品として日常的に使われている。滑らかなボケ味、薄い焦点深度、キヤノンらしい描写がFD 85mm F1.2 Lを唯一無二の存在にしているという。
なぜ40年以上前に出たレンズのガラスエレメントをリメイクし広く普及させるのか？
Simmodは、高品質のスチルレンズをシネマ撮影に適したものにコンバージョンする、コンバージョンキットの供給で知られている。同社はレンズマウントメーカーであり、キヤノンFDからEFへのオリジナル開発者であるEdmika社と共同で、FDからEFへのシネコンバージョンキットを開発し、世界中のビンテージキヤノンレンズ撮影者のための有用なソリューションとなっている。
当初FD 85mm F1.2 Lレンズは、リアエレメントを純正ハウジングから取り外すのが困難なため、DIYでのコンバージョンは提供していなかった。そのため、Simmodでは、レンズをカナダにある同社のオフィスに送付し、プロによるEFへのコンバージョンを依頼する必要があった。現在では、DIYキットを購入し自分で簡単な手順を踏めば対応でき、万が一リアエレメントを破損しても適度なコストで交換できるため、このサービスは不要となった。
複雑な技術的課題
すでに存在するレンズのエレメントを再製造するのは、誤差が許されない上に、40年以上前の設計と一致させなければならないため困難だという。また、オリジナルの配合や仕様は、キヤノンのアーカイブから簡単に入手できるものではない。さらに、FD 85mm F1.2 Lの後玉は非球面。つまり、表面のカーブは単純な球体の一部ではなく、複雑なプロファイルになっており、再製造ははるかに困難である。Simmodは、非常に複雑な手作業によるガラス成形プロセスと最新の測定・製造方法を組み合わせて、このレンズの複製に成功した。
キットでの販売
FD 85mm F1.2 L用FD-EFシネコンバージョンキットは、オリジナルが破損した場合にすぐに使用できるように交換用エレメントを標準装備、または破損した場合に交換を待つ余裕がある場合は「なし」で注文することが可能。
また、オリジナルが傷ついたり破損した場合は、この交換用リアエレメントを別途注文ができる。
Simmod Lensのフルコンバージョン
Simmod Lensのフルコンバージョンは、既存のFDレンズマウントに代わるEFレンズマウント、再設計されたEdmika Dampened Controlled Gear（DCG）絞りリング、SIMple Fitフォローフォーカスギア、マットボックスやアクセサリー取り付け用の外径80または85mmのフロントシネリング、そしてシネレンズキャップで構成されている。その結果、使い勝手が向上し、プロフェッショナルな制作に対応できるようになった。他のポピュラーなビンテージレンズメーカーへのコンバージョンも可能。
FD 85mm F1.2 Lのようなヴィンテージレンズは、SimmodのフルコンバージョンによってDPの手で末永く使用され、その投資が保護される。
Simmodのストーリー
Simmodは、数々の賞を受賞した撮影監督であり、ヴィンテージレンズの愛好家であるRon Sim CSC氏によって設立された。同氏はもともと、撮影の合間の空き時間にコンバージョンに取り組んでいたという。
同社は小さな会社から、世界でも有数のレンズシネモデリング会社へと急成長した。ここ数ヶ月は、大規模で精密な作業を可能にする新しい研究開発、機械、施設に多額の投資を行っているという。キヤノンFD 85mm F1.2 L用再生ガラス製リアエレメントの製造は、今後数ヶ月の間に発売される多くの開発品の最初の製品だという。
価格
キヤノンFD 85mm F1.2 L用真鍮製Edmikaレンズマウント付きSimmod FD-to-EFシネコンバージョンキット（再生リアエレメント＋JISドライバー付き）は、330USドル（税金・送料除く）で販売されている。
