ATEM Television Studio HD8メイン写真

Blackmagic Designは、オールインワン型のライブプロダクションスイッチャー「ATEM Television Studio HD8」シリーズを発売した。ラインアップと希望小売価格は以下の通り。

  • ATEM Television Studio HD8:税込427,800 円
  • ATEM Television Studio HD8 ISO:税込569,800円

新ATEM Television Studio HDシリーズは、放送コントロールパネルを内蔵したプロ仕様のライブプロダクションスイッチャー。ハイエンドの作業に対応できる性能を有しながら小型で、機材ラックや中継車を使用できない小さな現場でも対応可能としている。フォーマット変換機能を搭載した8つのSDI入力、2つのAux出力、4つのクロマキーヤー、2つのダウンストリームキーヤー、SuperSource、2つのメディアプレーヤー、多数のトランジションを搭載している。ハードウェア配信、収録、オーディオミキサー、トークバック、マルチビュー、オプションの内部クラウドストレージなど、テレビスタジオの機能を搭載。ISOモデルでは、8つの入力すべてを編集用に収録できる。

コンパクトなデザインで、放送用機能を搭載。ATEM Advanced Chroma Keyer、Fairlightオーディオミキサー、DVE、グラフィック用のスチルストアなどを使用可能。機能の多くはフロントパネルで操作できるが、Mac/Windowsで無償のATEM Software Controlを使用すれば、より多くの機能にアクセス可能としている。

ディゾルブなどのトランジションや、ディップ・トゥ・カラー、DVEスクイーズ、DVEプッシュなどのエフェクトを選択可能。また、DVEを追加して、カスタマイズしたグラフィックによるピクチャー・イン・ピクチャー・エフェクトの作成できる。アルファチャンネル付きのグラフィックを、タイトルまたはグラフィック用としてメディアプレーヤーに保存し、ライブビデオ入力としてロードして、ライブ配信できる。

ATEM Television Studio HD8説明写真
ATEM Television Studio HD正面

スイッチャーとコントロールパネルがひとつのユニットに統合されており、小型化を実現。フロントパネルのボタンでは、ソースの選択、トランジションの開始、ビデオエフェクトの設定が可能。これらのボタンは、高価な放送用スイッチャーと同じハイエンドのボタンとしている。また、トランジションをマニュアルでコントロールできるTバーも搭載。フロントパネルにはオーディオミキサーコントロールがあり、専用のLCDにはライブメーターが搭載している。

3G-SDIビデオ入力を8つ搭載しているため、複数のカメラを接続し、様々なアングルからパフォーマンスを捉えられる。Blackmagic Studio CameraやBlackmagic URSA Broadcast G2など、SDI出力を搭載したビデオカメラは、低照明条件にも対応可能。また、プロ仕様のレンズを使用可能で、高い品質の映像を撮影できるという。それぞれのビデオフォーマットが異なる場合でも、全ビデオソースがスイッチャーに再同期される。ロケ先でのセットアップも簡単で、シンプルに機能するので技術的な心配は不要としている。

内蔵された多彩なプロ仕様ビデオエフェクトも特徴としている。ビデオエフェクトのトランジションは、Tバーフェーダーを使用するか、AUTOボタンを押して自動的に実行可能。様々なSMPTEワイプのほか、ビデオソース間をトランジションする際に、イメージを画面外にスライドまたはスクイーズさせるDVEエフェクトなどもある。

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ATEM Television Studio HD上面

内蔵のメディアプールには放送品質のグラフィックおよびアニメーションを保存でき、同じく内蔵されたメディアプレーヤーで再生可能。すべてのメディアがアルファチャンネル付きのRGBカラースペースをサポートしており、透明化とレイヤリングが可能。メディアプールには20個までのHD解像度スチルを保存可能。アニメーションやスティンガーに使用するモーショングラフィックスのクリップは、720HDで400フレーム、1080HDで200フレームまで保存できるという。

ATEM Television Studioは、グリーンバックのキーイングを行えるパワフルなATEM Advanced Keyerを4つ搭載しており、ニュースやオンセットでのプレゼンテーションに最適としている。クロマキーヤーはパワフルで、背景色をサンプリングしてキーパラメーターを自動生成できるカラーピッカーなどの機能を搭載。エッジやフレアを正確にコントロールでき、フォアグラウンド用のカラーコレクターを搭載しているため、フォアグラウンドレイヤーとバックグラウンドレイヤーをマッチさせて、シームレスな合成を作成できる。キーヤーは、パターンキーやDVEキーにも使用できる。

ATEM Television Studioは、DVEに加えて、SuperSourceマルチレイヤープロセッサーも内蔵。SuperSourceでは、4つのDVEレイヤーと1つのバックグラウンドレイヤーが、1つの入力ソースとしてレイヤーされる。SuperSourceは、複数のピクチャー・イン・ピクチャーを表示したい場合に最適で、1つのスタイリッシュなグラフィックを背景にインタビューを受ける複数の人を配置して表示できる。

ATEM Television Studio HDは、8つの独立した3G-SDI入力を搭載しており、各入力にそれぞれ専用のフォーマット変換機能を搭載。あらゆる1080pまたは720HD入力ソースを、スイッチャーのビデオフォーマットに変換可能だという。

ATEM Television Studioは3G-SDIプログラム出力を9つ搭載しているので、プログラムリターンフィードをすべてのカメラに送信できる。SDIプログラムリターンは、タリー、トークバック、コントロール情報をカメラに送信するので、全カメラに接続できる。また、ステージモニターおよびマスターレコーダー用に2つのAux出力も搭載。カメラのモニタリング用には、マルチビュー専用の3G-SDIおよびHDMI出力を搭載しているという。

ATEM Television Studio HDは、Fairlightオーディオミキサーを内蔵しており、複雑なライブのサウンドミキシングを実行できる。内部ミキサーは全SDI入力用に十分なチャンネル数があり、XLR、RCA、MADI入力用にも予備のチャンネルがある。各入力チャンネルに、6バンドの高品質パラメトリックEQ、コンプレッサー、リミッター、エクスパンダー、ノイズゲート、レベルおよびパンコントロールを搭載。オーディオミキサーはパワフルで、フロントパネルから専用のオーディオミキサーコントロールおよびLCDを使用して調整できる。

ATEM Television Studio HDはプロ仕様のマルチビューを搭載しており、すべてのビデオ入力、プレビュー、プログラムを1台のSDIまたはHDMIモニターで確認可能。各カメラのビューには、オンエア状態が確認できるタリーインジケーターが表示される。また、各ビューのラベルはカスタマイズ可能で、それぞれのオーディオメーターも表示される。マルチビューのレイアウトは、最大16個まで同時に表示でき、自由にカスタマイズ可能だという。

ATEM Television Studio HDは、ハードウェア配信エンジンを内蔵しており、ライブ配信に対応する。YouTubeやFacebook、Twitchなどのサービスに、コマ落ちなしでライブ配信が可能。配信はインターネットへのイーサネット接続で行うか、スマートフォンに接続してモバイルデータを使用することも可能。

ATEM Television Studio HDは、外付けUSBフラッシュディスクへの収録に対応する。オプションでM.2フラッシュディスクを取り付けている場合は、内部クラウドストレージに直接収録できる。内部ストレージおよびあらゆるUSBディスクは、ローカルイーサネット・ネットワークで共有できるので、他の作業者も編集、カラーコレクション、グラフィックの準備などのポストプロダクション作業に参加できる。収録はすべてH.264フォーマットとAACオーディオで行われるので、放送品質のビデオが小さいファイルサイズで得られる。また、アペンド収録にも対応しており、前に使用したファイルに収録を再開できるので、納品するファイルは1つですむという。

USB接続はウェブカムをエミュレートするので、あらゆるビデオソフトウェアとATEM Television Studio HDを使用できる。コンピューターに接続するだけで、ウェブカム対応のあらゆるビデオソフトウェアで作業可能。あらゆるビデオソフトウェアとの互換が保証されており、フル解像度の1080HD品質が得られるとしている。

ATEM Television Studio HD ISOは、すべての入力を個別のビデオファイルに収録できるので、ライブイベントの編集が可能。8つのビデオ入力ごとにタイムコードおよび同期が一致した個別のファイルが得られるほか、プログラムビデオも個別のマスタービデオファイルとして収録される。これらのファイルは、マルチカム編集に対応したあらゆるNLEソフトウェアで編集できる。DaVinci Resolveプロジェクトファイルも保存され、各入力のビデオファイルにリンクされる。ライブで行ったスイッチングが編集タイムラインに変換され、クリックして簡単に開くことができるという。

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ISOモデルはDaVinci Resolveプロジェクトファイルをサポートしているため、編集、カラーコレクション、VFX、オーディオミキシングを含む完全なポストプロダクションが可能。プロジェクトを開くと、ライブプロダクションが編集タイムラインとして表示される。Ultra HDで仕上げたい場合は、Blackmagic RAWカメラファイルに再リンクすることも可能としている。

ATEM Television Studio HD ISOモデルのもうひとつの大きな機能が、リモートカメラへの接続としている。Blackmagic URSA Broadcast G2、Blackmagic Studio Camera 4K Pro G2、Blackmagic Studio Camera 6K Proカメラを、H.264で直接スイッチャーに、ライブ配信できる。カメラコントロールおよびタリーも使用できる。プログラムオーディオもカメラに送信されるので、生放送のインタビューに最適としている。

ATEM Software Controlを使用すると、ATEM Television Studio HDの全機能にアクセスできるようになり、同スイッチャーの能力がさらに開放されるという。ATEM Software Controlのユーザーインターフェースはスイッチャーを視覚化したもので、パラメーターパレットで調整を実行できる。ATEM Software Controlを使用することで、ライブスイッチング、オーディオのミキシング、カメラ内でのカラーコレクション、メディアの管理が可能だ。複雑なマクロを構築して使用することもできるという。

ポッドキャストスタジオを構築する場合や、より多くのマイクが必要な場合は、ATEM Microphone Converterでオーディオ入力を拡張可能。同製品はMADIポートでATEM Television Studioに接続できるので、複雑なセットアップは必要なく、複数のユニットをデイジーチェーン接続して入力を追加できるという。

各コンバーターに搭載された4つのアナログ入力は、Mic/Lineの選択が可能で、ファンタム電源に対応。非常に高品質で、すべてのチャンネルが-129dBvと極めて低いノイズフロア、131dB(A)のダイナミックレンジ、0.002%の低歪み、均一の誤差許容範囲に対応している。各入力に8つの独立したADCがあり、ダイナミックレンジをまとめて拡張可能。また、オーディオ波形がスクロールするHDMIモニタリング出力もあるという。

ATEM Microphone Converter

Blackmagic Design CEO、グラント・ペティは次のようにコメントしている。

新ATEM Television Studio HD8スイッチャーシリーズは、極めてポータブルなデザインに多くの機能が搭載されています。ハイエンドな放送クラスのスイッチャーなので、ユーザーは品質に妥協する必要はありません。完全な放送用コントロールパネル、革新的なオーディオミキシング、配信および収録機能をすべて内蔵することで、これを実現しました。非常にエキサイティングな製品です!