アドビ、Lightroomに新しいAI技術を搭載メイン写真

アドビは、Adobe Lightroomデスクトップ版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Lightroomモバイル版やWeb版のightroomに新しいAI技術の搭載を発表した。本機能は提供を開始しており、Adobe Lightroomデスクトップ版、Adobe Lightroomモバイル版の最新バージョンで利用できる。

AI搭載機能「ノイズ除去」で画像からデジタルノイズを除去

(Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Camera Row)

撮影が難しい照明の条件下で撮影した写真を、Adobe Lightroomの新しいAI搭載機能「ノイズ除去」によって画像からデジタルノイズの除去が可能。ディテールを失うことなく品質を向上させることができるという。

例えば、ビーチで夕日の撮影、夜の街でスナップ写真撮影、誕生日パーティーでキャンドルに照らされた人物を撮影する際など、低照度下で高ISOファイルを扱う際に特に役立つという。この新機能は、現在RAWファイルのみ対応。近日中に他のファイルタイプでも利用できる予定があるとしている。

アドビ、Lightroomに新しいAI技術を搭載説明画像
ワンクリックで、画像に含まれるノイズをほぼすべて取り除くことが可能。使用前(左)と使用後(右)。写真提供:Katrin Eismann

マスクへのトーンカーブ適用

(Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Camera Raw)

マスクに対してトーンカーブを使ったコントラスト、トーン、カラーの調整が可能になり、画像の特定部分に対して高度にカスタマイズされた精密な編集が可能になる。

マスクとトーンカーブの組み合わせにより、写真の特定の部分の階調や色味をさらに細かくコントロールし、完璧な仕上がりの実現が可能としている。例えば、風景写真の影のディテールを目立たせたり、色味を補正したり、クリエイティブなエフェクトを加える編集の際に、この機能が有効としている。また、ポートレートでは、全体の露出に影響を与えずに、部分的に暖色を加えたり、明るくしたりできるという。

アドビ、Lightroomに新しいAI技術を搭載メイン写真
最適な色調を実現:選択領域のトーンカーブを調整したり、変更したい部分にのみ重点的にカラーエフェクトを適用。写真提供:Max Muench

AIマスク機能「被写体を選択」に新カテゴリーを追加

(Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Camera Raw)

2022年10月開催のAdobe MAXで発表したAIマスク機能「被写体を選択」により、ポートレートの編集やレタッチがこれまで以上に簡単に可能になるという。

さらに、今回のアップデートにより、あらゆるポートレートにおいて個人またはグループのマスクを自動作成する際にAIマスクのカテゴリーとして「服」や「ひげ」も指定が可能。シャツなどの衣服の領域だけを選択し、最小限の労力で色味を変更できる。また、ヒゲの部分を選んで濃くしたり質感を調整したりすることも可能だという。

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Adobe Lightroomを使ったポートレートのレタッチは、「被写体の選択」によりこれまで以上に簡単かつ最小限の労力で行えるように改善された。マスクのカテゴリに「服」と「ひげ」が追加された

瞬時に、手軽に補正「ポートレート」アダプティブプリセットの拡充

(Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Camera Raw、Adobe Lightroom iOS/Android/web版)

アダプティブプリセットは、昨年から提供を開始した全く新しいプレミアムプリセット。AIマスクの強力で高度な機能をベースに、写真の特定の部分を自動的に強調するプリセットを適用したり、アダプティブプリセットはワンクリックあるいはワンタップで簡単に適用でき、作品の仕上げ作業の迅速化を実現するという。

「洗練されたポートレート」では、人物の肌を滑らかにし、ライティングを強調することで、顔の特徴を洗練させ、思い通りの仕上がりを実現で可能。また、「ひげを濃く」を使えば、写真のモデルの髭を濃くし、インパクトを与えることができる。また、「衣服を強調」は、コントラスト、彩度、質感を高め、服のディテールを際立たせたいときに便利な機能としている。

既存のライブラリに新しく加わったアダプティブプリセットには、他にも、「強調」、「グラマー」、「歯を白く」、「髪の質感」があるという。

アドビ、Lightroomに新しいAI技術を搭載説明画像
最後の仕上げに、ワンクリックでポートレート全体を強調したり、「洗練されたポートレート」や「ひげを濃く」などを追加することが可能。適用前(左)と適用後(右)。写真提供:Kelly Castro

ビデオの白黒化

(Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Lightroom iOS/Web版のみ。Android版は近日提供予定)

昨年、Adobe Lightroomにビデオ機能が加わり、写真と同じ編集操作をビデオにも適用できるように改善された。今回のアップデートでは、あらゆるビデオを白黒にする機能を追加し、ワンクリックだけでビデオをクラシックな映画スタイルを彷彿とさせる洗練された白黒調に変換が可能。

この新しいビデオ機能は、見た目の整合性を保ちながら複数のビデオクリップに白黒処理を素早く適用できるため、時間の節約にもなるという。

ビデオの白黒化。動画提供:Marino Williams

マスク機能とアダプティブプリセットがWeb版でも利用可能に

(Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Camera Raw、Adobe Lightroom iOS/Android/Web版)

Adobe Lightroomデスクトップ版とモバイル版でよく使われている機能が、Web版でも同様に利用できるように進めているという。今回、各種選択オプションをはじめとするAIマスク機能をWeb版でも提供を開始する。

「被写体を選択」、「空」、「背景」の各AIマスク機能がAdobe Lightroom Web版でも使えるようになる。アプリのダウンロードやブラウザから離れることなく、ワンクリックで画像のコンテンツに基づいたマスクを検出、作成することが可能。また、先に紹介した新しいポートレートである、「歯を白くする」や「グラマー」など、Adobe LightroomでおなじみのアダプティブプリセットがすべてWeb版で利用可能。Web版に対応したAIマスクで選択した領域にそれらプリセットのどれでも自動的に適用できるという。

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Adobe Lightroom Web版で直接アダプティブプリセットを適用することで、画像の他の部分に影響を与えることなく、任意の部分を調整することが可能に。写真提供:Katrin Eismann

コンテンツクレデンシャル機能(テクノロジープレビュー)

(Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Camera Raw)

コンテンツクレデンシャル機能は、作品に適切な帰属証明とクリエイティブな透明性を追加するために、テクノロジープレビューとしてAdobe Lightroomでも利用できるようになる。コンテンツクレデンシャル機能を有効にすると、Adobe Lightroomで作成した作品に関連する編集やアクティビティ内容、帰属情報の概要が収集される。この検証可能なメタデータは、流通経路のすべての段階においてコンテンツに添付されるため、いつでも確認が可能。

アドビは、コンテンツの真正性と来歴証明のためのオープンな業界標準の採用を促進するため、2019年にコンテンツ認証イニシアチブ(CAI)を設立。CAIコミュニティは、クリエイター、カメラメーカー、メディア、テクノロジー企業の協力のもと、デジタルコンテンツの信頼性と透明性を高めるために、業界全体が利用できる帰属証明フレームワークとコンテンツ認証情報などの機能の開発を進めているという。

その他のアップデート枠線を追加して共有(Adobe Lightroom iOS版)

今回のアップデートでは、Adobe Lightroomモバイル版でフレームやボーダーを付けての写真の書き出し機能を導入。これにより、画像に注目を集めるユニークな効果を生み出したり、複数画像のビジュアルの一貫性を確立したりすることができ、ブランディングに役立てることが可能になるという。また、「枠線を追加して共有」で書き出す際には、SNSで最も一般的な投稿写真仕様のアスペクト比に合わせて画像をフォーマットすることもできるという。

トラベル」プリセット

(Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Camera Raw、Adobe Lightroom iOS/Android/Web版)

Adobe Lightroomに収録された新しい18種類のプレミアム「トラベル」プリセットを活用することで、写真の魅力を最大限に引き出すことが可能。これらを活用することで、クリエイティブの可能性を追求し、さまざまな色の組み合わせや編集テクニックを試すことが可能。このプリセットは、ボタンをワンクリックするだけでプロ並みの仕上がりを実現し、個々の被写体をそれぞれ手動で調整する必要がなく、一括で複数の調整を適用するため、作業時間の大幅な短縮を実現するという。

アドビ、Lightroomに新しいAI技術を搭載説明画像
「トラベル」プリセットは、Adobe Lightroomのどのプラットフォームでも利用可能。写真提供:Kotrin Eismann

充実したアップデートで、快適な使い心地を実現

(Adobe Lightroom Mac/Windows版)

編集設定のコピー&ペーストがさらに簡単に改善された。「詳細」や「グリッド」ビューに切り替えた際には、バッチ編集機能が画面下のわかりやすい場所に表示され、一度に複数の写真に編集設定をコピー&ペーストできるように変更された。

また、ユーザーからのフィードバックに基づき、Adobe Lightroomのデモや指導の際にツールチップ表示をオフにできる機能を追加。そして、切り抜き、スクロール、パンとズームの機能にパフォーマンスの改善を加え、Adobe Lightroomの使用体験をよりスムーズにし、作業時間を節約することで、写真を思うままに仕上げることに集中できるようになるという。