Blackmagic Designによると、ヴィルジニー・ルヴェリエ監督による伝記映画「Marinette」のVFXシーンが、Blackmagic URSA Mini Pro 12Kデジタルフィルムカメラで撮影されたという。

2022年に撮影された同作は、フランスの女子サッカーのパイオニアであり、サッカー界の大スターであるマリネット・ピションのストーリーである。AFCのグザヴィエ・ドレアン撮影監督は、同プロジェクトのきっかけと7週間に及ぶ撮影の準備について、次のようにコメントしている。

ドレアン撮影監督:5ヶ月に渡って長期的なプリプロダクションを行いました。

すぐに、多くの問題が出てきました。どうやって試合を撮影するのか、そしてフランスで撮影するのに、どうやってアメリカのスタジアムを再現するのか?撮影にはどのカメラを使用するべきか?

これらの問題を解決するために、私たちはMPCに頼ることにしました。MPCはVFXを専門としており、物語の大きな部分を占めるスタジアムを満員にするために必要な群衆の複製技術に関して、豊富な経験があります。

Blackmagic Design導入事例:伝記映画「Marinette(原題)」の場合

ドレアン撮影監督は、群衆ショットの複製には非常に時間がかかるということを理解していたという。MPCのVFX監督であるローレント・ララピディ氏と何度も話し合い、ララピディ氏とカメラアシスタントで、メインユニットとは独立したチームを立ち上げてエキストラを管理し、問題のシーンを実現することにした。

ララピディ氏:70人のエキストラでスタジアム全体を埋める必要がありました。

小道具や衣装、位置を頻繁に変えながら、70人のエキストラを様々な角度から撮影しました。非常に時間がかかる作業でしたが、独立したチームでこの撮影を進められたことで、プロダクションでかなりの時間を節約できました。

超ワイドショットではCGの群衆シミュレーションを使いましたが、"群衆のエレメント"を使えるようになったことで、より説得力のあるエフェクトを作成できるようになりました。

撮影クルーがURSA Mini Pro 12Kを使用していると聞いて、すぐに興味を持ちました。私はVFX監督として、最大解像度、歪みの少なさ、シンプルなカラーワークフロー、管理のしやすさなど、常に技術的な完璧さを追求しています。

Blackmagic Design導入事例:伝記映画「Marinette(原題)」の場合

ララピディ氏:URSA Mini Pro 12Kは、セットアップや操作が簡単で、よく考えられたカメラだと思います。技術チームが素早くチェックしたところ、使用できることになりました。また、このカメラは比較的軽量なので、スライダーに取り付けて機動性を保つことができ、人工芝の上でも扱いやすく、簡単にアングルを変更できます。

URSA Mini Pro 12KにはAtlas LensのOrionアナモルフィックレンズを装着。ほとんどのVFXショットは、メインユニットのショットに合わせて、アスペクトレシオ2:39の8K 48fpsで撮影された。

VFX監督のニランジャン・シヴァ氏は、ポストプロダクションで高解像度ファイルを扱うことの利点について、次のようにコメントしている。

シヴァ氏:私たちは、8Kからダウンサンプリングした4K EXRファイルを使用し、ACESカラーマネージドワークフローで作業しました。この利点は、画質を犠牲にすることなく、ビジュアルをクロップしたりズームインしたりできることです。

ドレアン撮影監督:ディテールや解像度が十分でない素材を使って、VFXで奇跡を起こすよう求められることは、映画業界において珍しいことではありません。しかしBlackmagicの12Kセンサーがあれば、その心配はありませんね。

Blackmagic Design導入事例:伝記映画「Marinette(原題)」の場合