Blackmagic Design導入事例:ホラー映画「Godless:The Eastfield Exorcism」の場合

Blackmagic Designによると、ホラー映画の新作「Godless:The Eastfield Exorcism」のカラーコレクション、編集、VFX、オーディオ編集にDaVinci Resolve Studioが使用されたという。この作業においては、DaVinci Neural EngineのAI機能、Fairlight Desktop Audio Editorコンソール、複数のDaVinci Resolve Mini Panel、DaVinci Resolve Speed Editorキーボードが頻繁に使用されたという。

同作は、ニック・コザキス氏が監督を務め、音響責任者としてベニー・ノップ氏、カラリストとしてティモシー・ホワイティング氏がポストプロダクションに参加した。同作は、オーストラリアのビクトリア州地方部にあるデイルズフォードとヘップバーンスプリングの美しい景観を背景に24日間にわたって撮影された。

同作は実際に起きた出来事に基づいており、熱心なキリスト教信者が、精神病を患った妻が悪魔に取り憑かれていると疑い始めた時、信仰と精神に迷いを持ち始める様子を描いている。「Godless:The Eastfield Exorcism」は、ジョージア・エアーズ氏が演じる、科学と信仰の間で悩む女性の恐怖を映し出す作品だ。ダン・ユーイング氏が演じる夫に、宗教に没頭する人々からの治療を受けるように説き伏せられた妻は、魂を救うためにティム・ポコック氏が演じるエクソシストの手により、地獄のような経験を受けることになる。

同作は、明るいリラックスした場所から、恐ろしい霧に包まれた自然の中や暴力的な儀式など、様々な要素のシーンが次々と切り替わる。本作のルック、雰囲気、ペース作りは作品の成功に欠かせなかったので、ビジョンを正確に実現するために、DaVinci Resolve Studioが使用されることになった。

DaVinci Resolve Studioはカラーコレクション、編集に使用されたことに加え、オーディオ編集にFairlightページ、VFXにFusionページが使用された。

Blackmagic Design導入事例:ホラー映画「Godless:The Eastfield Exorcism」の場合

ホワイティング氏は、次のようにコメントしている。

ホワイティング氏:Resolveではポストプロダクションに必要な機能が単一のプログラムに搭載されているので、非常に助かりました。この作品のポストプロダクションに関わったスタッフのほとんどは、何年にもわたってResolveを使用してきています。Resolveは毎年改善が施され、そのようなアップデートが無償で提供されているのは素晴らしいですね。

ポストプロダクションにおいては、DaVinci Neural EngineのAI機能が作業のあらゆる段階で使用された。DaVinci Neural Engineは、最先端のディープニューラルネットワークと機械学習に加え、AIを採用しており、これらを使用した、顔認識、オブジェクト検出、スマートリフレーミング、スピードワープリタイム、フッテージをアップスケールするSuper Scale、自動カラー、カラーマッチングなどの機能が搭載されている。

同作で使用されたDaVinci Neural EngineのAI機能には、複雑なロトスコープとキーイングの代わりとなるMagic Mask、スローモーション・エフェクト用のスピードワープ、静止ショットから動いている物体を隠すオブジェクト除去などが含まれる。

ホワイティング氏:Magic Maskを頻繁に使用しました。テーブルの上にある聖書を自動的にロトスコープし、明るくして目立たせたり、前景の動いている車両用にホールドアウトマットを生成し、それらの後ろの車両を隠したりしました。撮影中に照明が使えなくなってしまった日があったので、その日のショットにはMagic Maskを使用して、俳優たちの顔を選択して明るくしました。また、街や借りていた家から数時間離れた湖の側で撮影していた際に、風に吹き飛ばされた黒い物体がカメラにぶつかり、倒してしまったので、ほとんどのNDフィルターが壊れてしまいました。そのおかげで撮影時間が短くなり、天候も変わり、NDフィルターが使えなかったため、そのシーンでは露出に問題が生じました。そこで、Magic Maskを使用して俳優を選択し、前景と後景のエレメントの露出を調整しました。

オブジェクト除去では、顔のマイナス要素を除去したり、ドローンや物語の時代設定に合わない車などを除去する上で大いに役立ったと同氏は語る。この機能により、手動でロトスコープすることなく、ショットのオブジェクトを検出・トラッキングできた。これにより、カラーグレーディングやエフェクトなどを適用するためにマスクするのが難しい要素を分離することができたという。

Blackmagic Design導入事例:ホラー映画「Godless:The Eastfield Exorcism」の場合

ホワイティング氏:ビクトリア州地方部で撮影したので、ポストプロダクションで対処する必要がある要素がいくつか生じました。例えば、照明や天候の変化、フレームに映り込んだ車や人、異常発生した虫などです。Resolveのオブジェクト除去とオブジェクトトラッキングがなければ、反復的な作業のために何時間も費やして、クリエイティブになるための時間を取ることはできなかったでしょう。

ResolveのAIにより何日もの時間が節約でき、ニックと撮影監督のカール・アリソンにセットでどのような修正が可能かを見せられたため、編集で必要なものを得ることができました。

同作のADRの録音およびサウンド編集は、DaVinci Resolve StudioのFairlightページで、ノップ氏がFairlight Desktop Audio EditorとFairlight Desktop Consoleを使用して行った。

ノップ氏は、本作を完成させるためにFairlightが役立ったと語る。

ノップ氏:作品全体のサウンド編集にFairlightを使用したのですが、素晴らしかったです。Fairlight Desktop Audio Editorでは、作品内をすばやく移動し、クリップを編集できました。マウスとキーパッドでの作業と比較して手が疲れにくく、加えて、作業が遥かに楽しく行えました!また、Fairlight Desktop Consoleでミキシングを行ったのですが、12個のフェーダーですべてがコントロールできました。

Fairlightのクリップエフェクトを大変気に入っています。各クリップにVSTを直接追加でき、会話のクリーンアップ、クリップへのEQ適用、クリップのゲイン調整などを行うために、iZotope RXなどを使用できました。また、Fairlight Desktop Audio Editorであらゆる作業をこなしました。FairlightのADR機能も大変気に入っています。ネイティブで内蔵されており、とても簡単に使えます。ADRのキューを作成し、俳優が台詞を読み上げるタイミングを表示するカウントダウンや、台本が画面上に表示される機能は本当に素晴らしいですね。

Fairlightは短期間で優れたDAWになりました。本作はすでに完成していますが、アップデートで新しいAIノイズ除去やベクトルベースのオートメーションなどの驚くべき機能が次々と搭載されています。Blackmagic Designはユーザーの声に耳を傾け、常に改善を続けています。自分達が必要としていたことにすら気づかなかった便利な新しい機能が追加されていますが、フィードバックも大切にされています。

「Godless:The Eastfield Exorcism」は、北米ではTubiで視聴可能で、オーストラリア初のTubiオリジナル作品だ。同作のオーストラリアでの公開は、2023年メルボルン国際映画祭で予定されている。また、北米ではXYZ Films、カナダではElevation Pictures、オーストラリアおよびニュージーランドではUmbrella Entertainmentによりリリース予定。Instagramの@eastfieldexorcismmovieをフォローすることで、同作のアップデート情報を入手可能。

Blackmagic Design導入事例:ホラー映画「Godless:The Eastfield Exorcism」の場合