ZEISSは、2023年8月8日~10日に米国ロサンゼルスにて開催されるSIGGRAPH 2023において、新しいカメラトラッキングシステム「ZEISS CinCraft Scenario」を展示する。
ZEISS CinCraft Scenarioは、先般ZEISSグループ傘下となった英Ncam Technologiesがもつユニークなカメラトラッキング技術をベースに、新たにZEISSがもつレンズメタデータを組み合わせ、さまざまな映像制作現場でより簡単にセットアップし、より使い易く精度の高いトラッキングを実現するシステム。
この新しいとカメラトラッキングシステムは、スタジオ内・屋外ロケ・グリーンバック・LEDボリュームを問わず、あらゆる撮影環境で使えることを大きな特徴としている。これはZEISS CinCraft Scenarioが一般的な反射マーカーによるトラッキングに加えて、美術セットや建築物など環境オブジェクトを認識してトラッキングできること、さらにLEDボリューム内に仕込まれた(撮影用カメラには写らない)デジタルマーカーにも対応して精度の高いトラッキングを提供できるためとしている。
ZEISSカメラトラッキングシステムのプロダクトマネージャーであるTom Evans氏は次のようにコメントしている。
カメラトラッキングがプリビズやバーチャルプロダクションに非常に便利なのは周知の事実ですが、ZEISS CinCraft Scenarioはそのトラッキングデータを保存し、そののちのポストプロダクションワークフローの効率化に大きく貢献します。
ZEISSのデジタルシネマ担当のプロダクトマネージャーである Sundeep Reddy氏は次のようにコメントしている。
Scenarioは、ZEISSおよびARRI/ZEISSレンズと組み合わせたときレンズ描写特性に関わるメタデータを引き出すことができ、レンズのマッピングとキャリブレーションに関わる煩わしい手順と時間を省略できます。
ZEISS CinCraft Scenarioは、映像制作業界で広く使われているカメラおよびレンズエンコーダーシステムと互換性を持ち、正確なトラッキングデータの出力が可能。システムはいくつかのハードウェアとソフトウェアの組み合わせで構成され、各ユーザーはそれぞれ必要とするデータの種類によって自由にシステム構成内容を選択できるという。
- CinCraft Cambar:環境認識データを CinCraft Originに送出
- CinCraft Link:CambarとOriginを接続し、スマートフォンなどのモバイル機器からUIにアクセス
- CinCraft Origin:カメラトラッキングに必要なカメラの動きと位置情報を計算し、業界標準のフォーマットでデータ書き出しを行うほか、Unreal Engineへ出力
ZEISSでは現在、2023年秋をめどにユーザーが自分でZEISS CinCraft Scenarioのシステム構成を選択できるコンフィギュレーターと、あらかじめ用意された4種のバンドルパックをオンライン並びに特約ディーラーから購入できるように準備中だという。